東京アカデミー立川教室
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こんにちは。公務員試験の予備校=東京アカデミー立川校の福島です。
気温の寒暖差が激しいので、皆さん、健康管理には十分に気を付けましょう!
No.13 経済的自由権に関するア~オの記述のうち、判例に照らし、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。
ア.薬局の解説に適正配置を要求する規制は、国民の生命・健康に対する危険の防止という消極目的の規制であり、適正配置規制を行わなければ、薬局等の偏在や乱立により医薬品の調剤供給に好ましからざる影響を及ぼすため、その必要性と合理性は認められるが、その立法目的は、より緩やかな規制手段によっても十分に達成できることから、憲法第22条第1項に違反する。
イ.一般に許可制は、職業の自由に対する強力な制限であるから、その合憲性を肯定し得るためには、原則として、重要な公共の利益のために必要かつ合理的な措置であることを要するところ、租税の適正かつ確実な賦課徴収を図るという国家の財政目的のための職業の許可制による規制については、その必要性と合理性についての立法府の判断が、立法府の政策的、技術的な裁量の範囲を逸脱するもので、著しく不合理なものでない限り、憲法第22条第1項に違反しない。
ウ.憲法第29条が規定する財産権の保障とは、個人が現に有している具体的な財産上の権利の保障を意味するものであって、個人が財産権を享有し得る法制度としての私有財産制を保障するものではない。憲法第29条が規定する財産権の保障とは、個人が現に有している具体的な財産上の権利の保障を意味するものであって、個人が財産権を享有し得る法制度としての私有財産制を保障するものではない。
エ.財産上の権利につき使用、収益、処分の方法に制約を加えることは、公共の福祉に適合する限り、当然になし得るが、私有財産制の内容に規制を加えるには、法律によらなければならないため、ため池の堤とうに農作物を植える行為等を条例によって禁止することは、憲法第29条第2項に違反する。
オ.憲法第29条第1項は、「財産権は、これを侵してはならない。」と規定しているが、同条第2項は、「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」と規定している。したがって、法律で一旦定められた財産権の内容を事後の法律で変更しても、それが公共の福祉に適合するようにされたものである限り、これをもって違憲の立法ということはできない。
1.ア、イ
2.ア、ウ
3.イ、オ
4.ウ、エ
5.エ、オ
ア.誤り。薬事法距離制限違憲判決(最大判昭50.4.30民集29巻4号572頁)は、薬局の解説に適正配置を要求する規制は、国民の生命・健康に対する危険の防止という消極目的の規制であり、適正配置規制を行わなければ、薬局等の偏在や乱立により医薬品の調剤供給に好ましからざる影響を及ぼすため、その必要性と合理性は認められるが、その立法目的は、より緩やかな規制手段によっても十分に達成できることから、憲法第22条第1項に違反する。準拠テキスト憲法28、95、226頁。
イ.正しい(最判平4.12.15民集46巻9号2829頁=酒類販売免許制事件)。準拠テキスト憲法98頁。
ウ.誤り。森林法事件判決(最大判昭62.4.22民集41巻3号408頁)は、「憲法29条、1項において『財産権は、これを侵してはならない。』と規定し、2項において『財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。』と規定し、私有財産制度を保障しているのみでなく、社会的経済的活動の基礎をなす国民の個々の財産権につきこれを基本的人権として保障するとともに、社会全体の利益を考慮して財産権に対し制約を加える必要性が増大するに至ったため、立法府は公共の福祉に適合する限り財産権について規制を加えることができる、としているのである。」と判示している。憲法第29条が規定する財産権の保障とは、①個人が現に有している具体的な財産上の権利の保障、②個人が財産権を享有し得る法制度としての私有財産制を保障している(芦部242頁)。準拠テキスト憲法101頁。
エ.誤り。奈良県ため池条例事件判決(最大判昭38.6.26刑集17巻5号521頁)は、「ため池の堤とうを使用する財産上の権利を有する者は、本条例1条の示す目的のため、その財産権の行使を殆んど全面的に禁止されることになるが、それは災害を未然に防止するという社会生活上の已むを得ない必要から来ることであって、ため池の堤とうを使用する財産上の権利を有する者は何人も、公共の福祉のため、当然これを受忍しなければならない責務を負うというべきである。すなわち、ため池の破損、決かいの原因となるため池の堤とうの使用行為は、憲法でも、民法でも適法な財産権の行使として保障されていないものであって、憲法、民法の保障する財産権の行使の埒外にあるものというべく、従って、これらの行為を条例をもって禁止、処罰しても憲法および法律に牴触またはこれを逸脱するものとはいえないし、また右条項に規定するような事項を、既に規定していると認むべき法令は存在していないのであるから、これを条例で定めたからといって、違憲または違法の点は認められない。」と判示している。準拠テキスト憲法102、215頁。
オ.正しい(最大判昭53.7.12民集32巻5号946頁=国有農地売払特措法事件判決)。宍戸ほか「憲法Ⅰ基本権」355頁以下参照。
オの判例は難しいし、知らない受験生も多いと思います。しかし、他の肢の判例は、超有名なので正答を導き出すことは問題ないと思います。上記5つの肢のうち、4つの肢に出てくる判例は、当然、東京アカデミーオリジナルテキストの公務員試験準拠テキスト憲法に掲載!
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