東京アカデミー立川教室
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こんにちは。東京アカデミー立川校の福島です。
台風14号が近づいておりますが、上陸の可能性は低くなりましたネ。でも、雨風には十分に注意しましょう。
No.14 国会に関する次の記述のうち、妥当なのはどれか。
1.両議院は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判するが、当該裁判により議員の資格を失うこととなった者は、これに不服がある場合、その結論を司法裁判所で争うことができる。
2.憲法に基づく両議院の議員懲罰権は、議院内部の秩序を乱した議員の懲罰を目的とするものであるから、議場外の行為で会議の運営とは関係のない個人的行為は懲罰の事由とはならない。
3.憲法上、予算先議権など衆議院のみに認められた権能がある一方で、参議院のみに認められた権能はない。
4.法律案について、衆議院で可決し、参議院でこれと異なる議決をした場合、必ず両院協議会を開かなければならず、両院協議会で意見が一致しないときは、衆議院で総議員の3分の2以上の多数で再び可決すれば、法律となる。
5.国会の会期中に議決に至らなかった案件は、原則として後会に継続しない。これを会期不継続の原則といい、憲法上、明文で規定されている。
1.誤り。55条本文は「両議院は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判する」と規定しており前段は正しい。しかし、この「裁判」は、76条の例外であって、司法裁判所の管轄外と解されており、裁判に不服があっても、司法的救済の道は存しないと解されている(佐藤幸治「日本国憲法論(初版)」(成文堂)460頁、592頁。芦部信喜著・高橋和之補訂「憲法(第7版)」(岩波書店)352頁等、通説)。したがって、後段は誤り。準拠テキスト憲法157~8頁。
2.正しい。58条2項は、「院内の秩序を乱した議員を懲罰することができる」としているが、これは、各議院が組織体としての秩序を維持し、その機能の運営を円滑ならしめるために、自律的に科す懲戒罰である(芦部・前掲328頁)。ここいう「院内」とは、議場外の行為でも、会議の運営に関連し、または、議員として行った行為で、議院の品位を傷つけ、院内の秩序を乱すことに相当因果関係のあるものは、懲罰の対象となる。すなわち、「組織体としての議院」の内部を意味する(清宮四郎「憲法Ⅰ(第3版)」(有斐閣)293頁)。会期外の行為でも問題になりうる。職務行為でなくても、議事堂の廊下で演じた醜行のごときも無関係とはいえない(清宮Ⅰ294頁)。したがって、議場外の行為で会議の運営と関係のない個人的行為は懲罰事由にはならない。例えば、旅館における醜行や私の宴席における無礼の言動の如きは、院内の秩序と関係のない行為として、懲罰の原因とはならない(清宮Ⅰ294頁)。準拠テキスト憲法158~9頁。
3.誤り。憲法上、予算先議権など衆議院のみに認められた権能があるとする前段は正しい(60条1項)。参議院のみに認められた権能として、参議院の緊急集会において認められる諸権能があり(高見勝利ほか「憲法Ⅱ(第5版)」(有斐閣)162頁)、後段は誤り。準拠テキスト憲法145、154頁。
4.誤り。法律案について、衆議院で可決し、参議院でこれと異なる議決をした場合(59条2項)、「衆議院が、両院協議会を開くことを求めることを妨げない」ので(59条3項)、両院協議会を必ず開かなければならないものではないので、前段は誤り。また、両院協議会で意見が一致しないとき、「衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは、法律となる」のであって(59条2項)、「総議員の3分の2以上」ではないので、後段も誤り。準拠テキスト憲法145頁。
5.誤り。国会の会期中に議決に至らなかった案件は、原則として後会に継続しないとする原則を、会期不継続の原則といい(安西文雄ほか「憲法学読本(第3版)」(有斐閣)287頁)、前段は正しい。しかし、この原則は、憲法上、明文で規定されておらず(高見Ⅱ・114頁)、国会法で規定されており(国会法68条)、後段が誤り。準拠テキスト憲法152頁。
問題文も短く、頻出事項ばかりなので、過去問題の演習をやっていれば確実に1点、取れるでしょう。
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