東京アカデミー立川教室
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こんにちは。東京アカデミー立川校の福島です。早速、今日も解いてみましょう!憲法の問題は今日が最後です。
No.15 司法権に関するア~オの記述のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。
ア.法律上の争訟とは、当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であって、かつ、それが法律を適用することにより終局的に解決することができるものに限られるため、具体的事件性を前提とせずに出訴できる制度を法律で設けることはできない。
イ.特定の者の宗教法人の代表役員たる地位の存否の確認を求める訴えは、その者の宗教活動上の地位の存否を審理、判断するにつき、当該宗教団体の教義ないし信仰の内容に立ち入って審理、判断することが必要不可欠である場合であっても、法律上の争訟に当たるとするのが判例である。
ウ.法律が両院において議決を経たものとされ適法な手続により公布されている場合、裁判所は両院の自主性を尊重すべきであり、同法制定の議事手続に関する事実を審理してその有効無効を判断すべきではないとするのが判例である。
エ.衆議院の解散は、極めて政治性の高い国家統治の基本に関する行為であり、その法律上の有効無効を審査することは、当該解散が訴訟の前提問題として主張されている場合においても、司法裁判所の権限の外にあるとするのが判例である。
オ.自律的な法規範を持つ社会ないし団体にあっては、当該規範の実現を内部規律の問題として自主的措置に任せるのが適当であるから、地方公共団体の議会の議員に対する懲罰議決の適否については、それが除名処分である場合も含めて、裁判所の審査権の外にあるとするのが判例である。
1.ア、イ
2.ア、オ
3.イ、ウ
4.ウ、エ
5.エ、オ
ア.誤り。最大判昭56.4.7民集35巻3号44頁=板曼荼羅事件最高裁判決は、「法律上の争訟とは、当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であって、かつ、それが法律を適用することにより終局的に解決することができるものに限られる」としており、前段は正しい(通説。清宮1371頁、小林・講義(下)350頁、伊藤624~625頁、野中ほか・憲法Ⅱ275頁)。しかし、81条は必ずしも憲法裁判所としての権能を認めたものではないけれども、禁じているわけでもなく、司法概念の歴史性からは、法律で憲法裁判権を最高裁判所に与えることは禁じていないとする法律事項説も有力である(宮沢・昭和29年7月の国会での参考人意見、芦部391~392頁、佐藤幸治・日本国憲法論588頁、中村・30講245頁、宍戸ほか・憲法学読本324頁)。①現行法上、かなり抽象的なかたちで具体的事件とかかわりなしに、裁判所が法令の違憲審査を行う場合があるということ(地方自治法242条の2「住民訴訟」、公選法203・204、207・208条「選挙訴訟」などの、いわゆる客観訴訟は、具体的な権利侵害を要件としていない)、②81条の文言上、必ずしも最高裁判所がそういう権能を行使することが排斥されているわけではないこと、から、法律で訴訟手続を定めるならば、最高裁判所は憲法裁判所として活動することは可能となると解している。したがって、具体的事件性を前提とせずに出訴できる制度を法律で設けることはできないとする本肢は誤り。準拠テキスト憲法179頁。
イ.誤り。特定の者の宗教法人の代表役員たる地位の存否の確認を求める訴えは、その者の宗教活動上の地位の存否を審理、判断するにつき、当該宗教団体の教義ないし信仰の内容に立ち入って審理、判断することが必要不可欠である場合には、「法律上の争訟」に当たらないとするのが判例であるため(最判平5.9.7民集47巻7号4667頁)、「法律上の争訟」に当たるとする本肢は誤り。
ウ.正しい(最大判昭37.3.7民集16巻3号445頁=警察法改正無効事件)。準拠テキスト憲法179頁。
エ.正しい(最大判昭35.6.8民集14巻7号1206頁=苫米地事件)。準拠テキスト憲法181頁。
オ.誤り。自律的な法規範を持つ社会ないし団体にあっては、当該規範の実現を内部規律の問題として自主的措置に任せるのが適当であるとする前段は正しい(最大判昭35.10.19民集14巻12号2633頁)。しかし、同判例は、地方公共団体の議会の議員に対する懲罰議決の適否について裁判所の審査権の外にあるとしたが、除名処分は、「議員の身分の喪失に関する重大事項で、単なる内部規律の問題に止らない」から、司法審査が及ぶとした。したがって、除名処分も審査権の外にあるとする本肢は誤り。準拠テキスト憲法181頁。
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