東京アカデミー札幌校
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札幌校の手島です。
以前のブログで、判例の読み方のポイントや学習の重要性をご紹介したことが
ありました。今日はその2回目になります。
今回お伝えしたいことは「あいまいな知識では絶対にダメ」ということです。
具体的な例を過去問から抜粋して説明してみようと思います。
【令和2年 財務専門官 憲法 第2問】
選択肢エ⇒尊属に対する尊重報恩を保護するという立法目的にのっとり,尊属を卑属又はその配偶者が殺
害することを普通殺人と区別して重罰を科すことは,かかる立法目的のために刑を加重すること
自体が合理的な根拠を欠くため,憲法第 14 条第 1 項に違反する。
この選択肢は「誤り」です。この判例について、正しくは以下に掲載する判例のとおりです。
※最大判S48.4.4「尊属殺重罰規定違憲判決」
尊属殺人を定めた刑法200条は、尊属殺の法定刑を死刑または無期懲役刑のみに限っている点において、その立法目的達成のため必要な限度を遥かに超え、普通殺に関する刑法199条の法定刑に比し著しく不合理な差別的取扱いをするものと認められ、憲法14条1項に違反して無効である。
太字で強調している点を目で追うだけでも、選択肢の誤りに気付くことができると思います。
つまり、判例は「死刑または無期懲役に限る」のは極端だととらえているのであって、「刑を加重する」こと自体をダメと言っているわけではないのです。
これを結論だけ覚えて「尊属殺重罰規定は14条に反して違憲」と認識していたのでは、正解にたどり着くことはできません。
ただ、判例のどの部分まで把握するかというのも、一概には言えません。
公務員試験の場合、判例重視の科目は憲法・行政法と2科目ありますが、
どこまで判例の理解を深めるかはそれぞれ異なります。
各位、時間がないとしても、過去問で扱った判例程度はテキストで
確認しておくと後で身を助けることになるかもしれません。
どうぞご参考にしてください。