東京アカデミー金沢校
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こんにちは。東京アカデミー金沢校の加藤です。
青と緑のハーモニーをどうぞ。
さて、今回は看護師国家試験における「不適切問題・採点除外問題」についてご説明いたします。
① 難易度が高すぎる。(主に必修問題ですが、一般問題の中にもそのような扱いをされる設問があります。)
② 選択肢が不適切である。(答えを1つ選ぶ問題なのに答えが2つ選べてしまう、選択肢に正解が含まれていない、など)
③ 設問の状況設定が不十分で正解を選びようがない。
これらの問題がどのような扱いを受けるかも、大きく3つに分かれます。
Ⅰ 受験者全員に対して採点除外とする。
Ⅱ 正解者は採点対象とするが、不正解者は採点除外とする。
Ⅲ 複数の選択肢を正答として扱う。
必修問題の合格基準は得点率80%以上です。50点満点なら40点以上の得点が求められます。
ただし、この採点除外問題の扱い次第では、状況が大きく変わります。
たとえば、採点除外問題が2問あり、その2問とも間違えていた。→満点が48点となる→80%以上が合格基準(48点×0.8=38.4点)、つまり39点以上が合格基準となる。
すると…必修問題の自己採点が39点で合格をあきらめていた人が、採点除外問題のおかげで、無事に基準をクリア! などの例も見られます。
実際に第111回看護師国家試験で採点除外等の取扱いをされた問題をご紹介しておきます。
労働力調査による労働力人口の令和元年(2019年)平均に最も近いのはどれか。
1. 4,800万人
2. 5,800万人
3. 6,800万人
4. 7,800万人
[正解] 3 (東京アカデミー自己採点会での正答率48.9%)
ハヴィガースト, R. J.の発達課題で善悪の区別を学習するのはどれか。
1.乳幼児期
2.児童期
3.青年期
4.中年期
[正解] 1 (東京アカデミー自己採点会での正答率41.4%)
(以上2問は…)問題として適切であるが、必修問題としては妥当でない。
➡【採点上の取扱い】 Ⅱ 正解した受験者については採点対象に含め、不正解の受験者については採点対象から除外する。
マズロー, A. H. の基本的欲求の階層で社会的欲求はどれか。
1.安全の欲求
2.帰属の欲求
3.承認の欲求
4.睡眠の欲求
[正解] 2・3 (正答を1つ選ぶのに、実際には2つの選択肢が正解。)
健康を人々の権利として明記したのはどれか。
1.世界保健機関〈WHO〉の健康に関する定義
2.ジュネーブ宣言
3.世界人権宣言
4.リスボン宣言
[正解] 1・3 (正答を1つ選ぶのに、実際には2つの選択肢が正解。)
(以上2問は…)設問が不明確で複数の選択肢が正解と考えられる。
➡【採点上の取扱い】 Ⅲ 複数の選択肢を正解として採点する。
いかがでしょうか?
午前問題1と午後問題7については、東京アカデミー自己採点会において正答率が際立って低かったため、東京アカデミー内でも採点除外問題になる可能性を当初から予測・指摘しておりました。
これは不適切問題に限ったことではありませんが、「おかしい、この問題の正解は2つあるように思うけれど、一体どちらを選べばいいんだろう…💦」という設問に出会った場合、必要以上にそこで止まって悩み続けない、引きずらない、というのもテクニックの一つとして頭の片隅に入れておいてください。
チェックをつけておいて、後で時間が余ったら見直すようにしましょう。
➡「採点除外等の取扱いをした問題」を含む第111回看護師国家試験についての厚生労働省の発表は、コチラ👈でご確認いただけます。
第111回はこの4問でしたが、第107回は10問(!)、第106回は8問もの不適切問題・採点除外問題がありました。
いろいろな事情があるとはいえ、必要以上に難しい問題や、混乱を招くような問題は、なるべく少なくしてほしいものです。
では、暑い日が続きますが、体調管理にはくれぐれもお気をつけくださいね。