東京アカデミー広島校
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先日の続きですが、その前に今日で熊本地震から5年になります。被災された皆様へ心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。
「令和4年度 広島県・広島市公立学校教員採用候補者選考試験」では出願書類のうち自己アピール用紙に変化があり、教員になって実践したいことに、4つの具体的テーマが与えられました(前回4/12ブログご参照)。
社会に開かれた教育課程、主体的・対話的で深い学び、情報機器の活用、個に応じた指導、の中から一つテーマを選び、そのテーマになって教員になって特に実践したいことを書いてください。(800字以内)
ごく簡単ですが、ポイントをおさらいしましょう。
<社会に開かれた教育課程>
昔から地域との交流は多少なりともありましたが、どちらからと言えば地域が学校を支えるという側面が強かったと言えます。2015年中央教育審議会答申でコミュニティスクール(学校運営協議会制度)の推進を図ることが盛り込まれ、現在では地域による学校への支援という一方的な関係ではなく、地域と学校が相互に、組織的・継続的に連携・協働していくことが重要とされています。臨採などの経験がある方は総合的な学習の時間をイメージすると良いでしょう。学生の方も学校と関わるボランティアなどの経験があれば題材を見つけられるかもしれません。
<主体的・対話的で深い学び>
小学校では令和2(2020)年度から、中学校では令和3(2021)年度から全面実施、高校では令和4(2022)年度から年次進行で実施される学習指導要領の大きなポイントです。教員による一方的な講義形式の教育とは異なり、児童生徒の能動的な参加を取り入れた教授・学習法で臨採・講師等で、教科授業をしたことがある方はイメージしやすいと思います。学生の方も理想の授業を思い描けば比較的書きやすいテーマでしょう。ある目的のため、「どのように授業に関心を持たせ」、「見通しを持たせ、振り返る活動をどう取り入れ」、「例えばどんな形で意見交換し」、達成していくのか具体的な中身が必要でしょう。
<情報機器の活用>
近年、ICTを自分の授業にどう取り入れ活用するか? について面接試験などで問われるケースがあります。しかし、これまで一部モデル校を除いて学校のICT環境が整っているとは言えなかったこともあり、授業ですぐに実践できることは一斉学習における画像、音声、動画の活用などに事実上ほぼ限られていた面がありました。
しかし、GIGAスクール構想の前倒しにより、広島県内でもこの4月から多くの自治体で1人1台端末が配備され、授業での活用が始まっています(※使用開始が少し先になる自治体もあります)。1人1台端末になると一斉学習での活用に加え、例えば調べ学習、一人一人の学習状況に応じた学習、自宅への持ち帰りによる家庭学習など個別学習や、意見交換などの協働学習まで、活用範囲が劇的に拡がります。繰り返しますが、現場ですでに使用が始まっていることを念頭に置いた上で考える必要はあるでしょう。
※GIGAスクール構想については11/23、3/13ブログをご参照ください。
<個に応じた指導>
臨採などで勤務されていても、例えば養護教諭や栄養教諭の方の中には、学級全体への指導経験がほとんどない場合もあるかと思います。個に応じた指導であれば、過去にどんな児童生徒が印象に残っているかを振り返ると題材が見つけやすいテーマかもしれません。例年受講生の方の自己アピール用紙を拝見していると、校種教科限らず普段から児童生徒に真摯に向き合っている姿が思い浮かびます。一方面接では、働き方改革の中で一人一人に対応する時間をどう捻出するのかまで掘り下げて問われたこともあります(自己アピール用紙そのものに時間捻出のことを先回りして記載しておく必要まではないかと思いますが・・)。もちろんICTの活用によって個に応じた指導の手段は劇的に変わります。なお、教師視点である「個に応じた指導」を児童生徒視点で整理したものが「個別最適な学び」です(2/5ブログもぜひご覧ください)。
4つのうちどのテーマを選ぶにせよ、提出書類、筆記試験、面接試験通して必ず目を通してほしい答申があります。
こちらの文部科学省HPからご覧頂くと、「令和の日本型学校教育」の構築を目指して(答申)が、【概要】【本文】【総論解説】とそれぞれあります。
令和になり、日本の教育の良いところ、改善すべきところを見つめ直し再整理したものです。大雑把なまとめ方になりますが、アクティブラーニング(主体的、対話的、深い学び)、カリキュラムマネジメント(校種間連携、教科横断的学習、地域社会との連携、PDCA)を軸に、学校(教員)も児童生徒もICTを駆使し、個々の学習進度に応じて、他方で他の児童・生徒とかかわりを持ちながら、時に地域社会の力も借りて、多様な児童生徒を取り残すことなく資質・能力を伸ばしていこうということかと思います。今回のテーマ4つすべてがつながっていることがお分かりになるのではないでしょうか。
次回は全体を通してそのほかに心掛けたいことについてお話しします。