東京アカデミー立川教室
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こんにちは。公務員試験の予備校=東京アカデミー立川校の福島です。
今日も、2021年5月2日実施の東京都Ⅰ類の専門科目について、民法のNo.11<制限行為能力>についての解説いたします。
No.11 民法に規定する制限行為能力者に関する記述として、妥当なのはどれか。
1.制限行為能力者は、成年被後見人、被保佐人、被補助人の3種であり、これらの者が単独でした法律行為は取り消すことができるが、当該行為の当時に意思能力がなかったことを証明しても、当該行為の無効を主張できない。
2.制限行為能力者の相手方は、その制限行為能力者が行為能力者となった後、その者に対し、1か月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。
3.家庭裁判所は、精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者については、本人、配偶者、四親等内の親族、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。
4.被保佐人は、不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をするには、その保佐人の同意を得なければならないが、新築、改築又は増築をするには、当該保佐人の同意を得る必要はない。
5.家庭裁判所は、保佐監督人の請求により、被保佐人が日用品の購入その他日常生活に関する行為をする場合に、その保佐人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。
正答 2
1.誤り。民法は、意思能力が完全でない者を定型的に、未成年、成年被後見人、被保佐人、および被補助人に分類し、これらの者は独立して取引をする能力(行為能力)が制限されていると扱う(四宮・能見47頁、49頁)。したがって、未成年を含まないとする前段は誤り。なお、意思能力の下限は一般に7~10歳くらいの子供の判断能力とされていることから、15歳くらいの子には問題なく意思能力が認められるのではないかと思われるが、未成年者の場合に行為能力が制限されるのは、社会的な経験が十分でないために、適切な判断ができない危険を考えて、特別に行為能力を制限したものというべきであるとされる(四宮・能見47頁)。
また、制限行為能力者が、当該行為の当時に意思能力がなかったことを証明できれば、当該行為の無効を主張することができる(四宮・能見45頁など通説)。したがって、後段も誤り。
2.正しい(20条1項)。
3.誤り。精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、保佐開始の審判をすることができる(11条)。したがって、本肢は誤り。後見開始の審判は、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者についてである(7条)。
4.誤り。被保佐人が、新築、改築、増築又は大修繕をすることをするには、保佐人の同意が必要なので(13条1項8号)、本肢は誤り。
5.誤り。13条2項は、「家庭裁判所は、第11条本文に規定する者又は保佐人若しくは保佐監督人の請求により、被保佐人が前項各号に掲げる行為以外の行為をする場合であってもその保佐人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、第9条ただし書に規定する行為については、この限りでない。」と規定している。この「9条ただし書に規定する行為」とは、「日用品の購入その他日常生活に関する行為」であり、被保佐人は単独で行うことができるので、本肢は誤り。
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