東京アカデミー立川教室
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こんにちは。公務員試験の予備校=東京アカデミー立川校の福島です。
今日も、2021年5月2日実施の東京都Ⅰ類の専門科目について、民法のNo.14<占有権>についての解説いたします。
No.14 民法に規定する占有権に関する記述として、妥当なのはどれか。
1.占有者の承継人は、その選択に従い、自己の占有のみを主張し、又は自己の占有に前の占有者の占有を併せて主張することができ、前の占有者の占有を併せて主張する場合であっても、その瑕疵は承継しない。
2.悪意の占有者は、果実を返還し、かつ、既に消費し、又は過失によって損傷した果実の代価を償還する義務を負うが、収取を怠った果実の代価を償還する義務は負わない。
3.占有物が占有者の責めに帰すべき事由により滅失したときは、その回復者に対し、善意であって、所有の意思のない占有者は、その滅失により現に利益を受けている限度で賠償する義務を負い、その損害の全部を賠償することはない。
4.占有者が、盗品又は遺失物を、競売若しくは公の市場において、又はその物と同種の物を販売する商人から、善意で買い受けたときは、被害者又は遺失者は、占有者が支払った代価を弁償しなければその物を回復することができない。
5.占有者がその占有を妨害されたときは、占有保持の訴えにより、損害の賠償を請求することができるが、他人のために占有を有する者は、その訴えを提起することができない。
正答 4
1.誤り。前段は正しい(187条1項)。しかし、前の占有者の占有を併せて主張する場合には、その瑕疵も承継するので(187条2項)、後段は誤り。
2.誤り。前段は正しい(190条1項)。しかし、悪意の占有者は、収取を怠った果実の代価を償還する義務を負うので(同条項)、後段は誤り。
3.誤り。191条は、「占有物が占有者の責めに帰すべき事由によって滅失し、又は損傷したときは、その回復者に対し、悪意の占有者はその損害の全部の賠償をする義務を負い、善意の占有者はその滅失又は損傷によって現に利益を受けている限度において賠償をする義務を負う。ただし、所有の意思のない占有者は、善意であるときであっても、全部の賠償をしなければならない。」と規定している。したがって、同条ただし書により、本肢は誤り。
4.正しい(194条)。
5.誤り。198条は「占有者がその占有を妨害されたときは、占有保持の訴えにより、その妨害の停止及び損害の賠償を請求することができる」と規定しており、占有保持の訴えを起こすことができるのは「占有者」のみとなっているように見える。しかし、197条は、「占有者は、次条から第202条までの規定に従い、占有の訴えを提起することができる。他人のために占有をする者も、同様とする。」としており、他人のために占有を有する者も占有保持の訴えなどの占有の訴えを提起できるので、本肢は誤り。
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