東京アカデミー東京校
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こんにちは。公務員試験対策の予備校=東京アカデミー東京校の公務員担当です。
早速ですが、今日の1問!国家公務員の総合職の憲法・統治=国会の問題を見てください。
専門(法律);国会に関する次の記述のうち、妥当なのはどれか。
1.国会の常会は、毎年1回召集され、会期は150日間であるが、
会期の延長が1回限り認められ、会期の延長の決定については、
両議院の議決が一致しないとき、又は参議院が議決しないときは、
衆議院の議決したところによるという
衆議院の優越が認められている。
2.両議院の意思の調整を図る機関として、両院協議会があり、
予算の議決、法律案の議決及び条約締結の承認の議決については、
衆議院と参議院で異なった議決をした場合、
必ず両院協議会を開くこととされ、
また、両院協議会で議決された成案は、
両院協議会を求めた議院においてまず審議され、
次いで他の議院に送付されるが、
成案について更に修正することはできないこととされている。
3.両議院の本会議及び委員会は、いずれも原則公開であり、
これらを秘密会とするためには、
出席議員の3分の2以上の多数で議決する必要がある。
4.議院の決議は、議院の意思の表明であり、一般には、
法律と同様の拘束力を有するものではないとされるが、
衆議院の内閣不信任議決及び参議院の内閣総理大臣問責決議については、
これが可決された場合、
内閣は、10日以内に衆議院が解散されない限り、
総辞職をしなければならない。
5.両議院は、議院の自律権の一つとして、議員の懲罰権を有する。
議事堂内の行為のみならず、
議事堂外における議員としての活動中の行為についても、
院内の秩序を乱したと判断されるものは懲罰の対象となり、
また、懲罰のうち、除名については、
議員の地位を失わせるものであるため、
各議院の総議員の3分の2以上の多数による議決が必要とされる。
これは、サービス問題でしたネ。頻出のところです。
肢1;常会は、毎年一回定期に召集される会(憲法52条)。
1月に召集されます(国会法2条)。
常会の会期は150日(国会法10条)。
会期の延長については、常会は1回、臨時会・特別会は2回まで、
両議院一致の議決で認められます(国会法12条)。
そして、会期の決定については、
衆議院の優越が認められています(国会法13条)。
したがって、本肢が正解。
肢2;両院協議会は、両議院の意見が対立した場合に
妥協案の成立をはかるために開かれます(国会法84-98条)。
両議院の機関として、
各院「独立活動の原則」の例外をなすものです。
そして、これは暗記事項!
⇒ 必要的両院協議会・・予算の議決、条約締結の承認、内閣総理大臣の指名
任意的両院協議会(憲法59条・国会法84条)
・・法律案の議決(衆議院が開くことを要求した場合、
または参議院が要求し、衆議院がそれに同意した場合に開かれます。
ということで、法律案の議決について必要的とする肢2は誤りです。
ちなみに、肢2の後段部分は正しいです。
すなわち、国会法93条1項は
「両院協議会で議決された成案は、
両院協議会を求めた議院において先ずこれを議し、
他の議院に送付する」、
2項は「成案については、更に修正することができない」とあります。
肢3;憲法57条1項は、「両議院の会議は、公開とする。
但し、出席議員の3分の2以上の多数で議決したときは、
秘密会を開くことができる」としています。
「公開」とは、会議の内容をひろく見聞させることをいい、
議院みずから会議録を公表するほか、
議員以外の者の傍聴の自由はもとより、
報道の自由が認められることをも含みます。
「両議院の会議」とは、議院の本会議のことをいいます。
これに対して、
委員会は完全な公開が原則ではありません(国会法52条1項本文)。
委員会には、議員のほか、報道の任務にあたる者その他の者で、
委員長の許可を得た者だけが傍聴できます(国会法52条1項但書)。
ちなみに、両院協議会は、秘密会とし、傍聴は許されません(国会法97条)。
したがって、委員会も原則として公開とする本肢も誤りです。
肢4;憲法69条。
参議院の内閣総理大臣問責決議については、法的効力はありません。
肢5;議院自律権とは、
各議院が内閣・裁判所など他の国家機関や
他の議院から監督や干渉を受けることなく、
その内部組織および運営等に関し
自主的に決定できる権能をいいます。
この自律権の1つとして、議員懲罰権があります(憲法58条2項)。
各議院が組織体としての秩序を維持し、
その機能の運営を円滑ならしめるために、
自律的に科す懲戒罰をいいます。
懲罰事由(以下の3つに限られません)
①正当な理由もなしに欠席すること(国会法124条)、
②会議中または議事規則に違いその他議場の秩序をみだし、
または議院の品位を傷つけること(国会法116条)、
③各議院において、無礼の言を用い、
または他人の私生活にわたる言論をすること(119条)。
懲罰の種類(国会法122条)
=公開議場における戒告、
公開議場における陳謝、一定期間の登院停止、除名
;除名は、議員にとって死刑に当たるような重罰であるため、
憲法は、特に、出席議員3分の2以上の
多数による議決を要するとしている(憲法58条2項)。
したがって、国会議員の除名は
総議員の3分の2の多数による議決ではないため、
本肢も誤りです。
なお、「院内」とは、議場外の行為でも、
会議の運営に関連し、または、議員として行った行為で
議院の品位を傷つけ、
院内の秩序を乱すことに相当因果関係のあるものは、
懲罰の対象となります。
すなわち、「組織体としての議院」の
内部を意味します(清宮四郎「憲法Ⅰ」(有斐閣)293頁)。
会期外の行為でも問題になりえます。
職務行為でなくても、
議事堂の廊下で演じた醜行のごときも
無関係とはいえません(清宮Ⅰ294頁)。
いかがでしたか?
2022年の受験に向けて、専門科目を勉強し始めている方は、すでに「憲法」の学習を終えている方も多いでしょう。
理解できたとしても、問題を解く際に学んだ知識をどう使って解いていくのか、
その訓練を積んでいかないと、知識はなかなか身に着きません。
そのためにも過去問題の演習は必須になります。
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