東京アカデミー立川教室
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今日は、行政法のNo.7を見てみましょう。
No.7 行政法学上の行政行為の取消し又は撤回に関する記述として、判例、通説に照らして、妥当なのはどれか。
1 行政行為の取消しとは、行政行為の成立時は適法であったものが、後発の事情で当該行政行為を維持できなくなった場合に、これを消滅させることをいい、取消しは将来に向かってのみその効果を生じる。
2 行政行為の撤回とは、行政行為に成立当初から瑕疵があり、当該瑕疵を理由に行政行為を消滅させることをいい、行政行為が撤回されると、当該行政行為は成立時に遡って消滅する。
3 上級行政庁は、その指揮監督する下級行政庁が瑕疵ある行政行為を行った場合は、法律の根拠がなくても、指揮監督権を根拠として当該行為の撤回をすることができる。
4 最高裁判所の判例では、旧優生保護法により人工妊娠中絶を行い得る医師の指定を受けた医師が、実子あっせんを行ったことが判明し、医師法違反等の罪により罰金刑に処せられたため、当該指定の撤回により当該医師の被る不利益を考慮してもなおそれを撤回すべき公益上の必要性が高いと認められる場合に、指定権限を付与されている都道府県医師会は、当該指定を撤回できるとした。
5 最高裁判所の判例では、都有行政財産である土地について建物所有を目的とし期間の定めなくされた使用許可が当該行政財産本来の用途又は目的上の必要に基づき将来に向かって取り消されたときは、使用権者は、特別の事情のない限り、当該取消による土地使用権喪失についての補償を求めることができるとした。
この問題は、確実に1点、取らなければなりません!基本的な問題になります。どの基本書にも掲載されている内容です。
正答 4
1.誤り。取消しとは、行政行為に当初から瑕疵があった場合に、当該行政行為を取り消して遡及的に無効にすることをいう(橋本博之・櫻井敬子「行政法(第6版)」(弘文堂)94頁)。したがって、将来に向かってのみその効果が生じるとする本肢は誤り。
2.誤り。撤回とは、行政行為の適法な成立後、公益上の理由が生ずるなどの後発的な事情の変化により当該行為を維持することが必ずしも適当でなくなった場合に、これを将来的に無効とすることをいい、これも行政行為である(橋本=櫻井・前掲書94頁)。したがって、行政行為に成立当初から瑕疵がある、遡及的に効果が消滅するという点で誤り。肢1と肢2が入れ替わっている。
3.誤り。撤回の場合、処分庁のみが撤回権者であり、監督官庁には撤回権がないのが原則である。監督庁は、処分庁に撤回を命じることは可能であるが、その場合も実際に撤回するのは処分庁となる(橋本=櫻井・前掲書95頁)。したがって、上級行政庁が法律の根拠なくして撤回できるとする本肢は誤り。
4.正しい(菊田医師事件=最判昭63.6.17判時1289号39頁。橋本博之「行政判例ノート(第4版)」(光文堂)53-54頁)。
5.誤り。撤回と損失補償に関する「築地市場事件」で最高裁判所は、都有行政財産である土地について建物所有を目的とし期間の定めなくされた使用許可が当該行政財産本来の用途又は目的上の必要に基づき将来に向かって取り消されたときは、使用権者は、特別の事情のないかぎり、右取消による土地使用権喪失についての補償を求めることはできないとしている(最判昭49.2.5民集28巻1号1頁=百選Ⅰ19事件=橋本・ノート5-15事件。https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=51977)。補償を求めることができるとする本肢は誤り(橋本=櫻井・前掲書97-98頁)。
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