東京アカデミー津田沼校
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こんにちは。公務員試験対策の予備校=東京アカデミー津田沼校の福島です。
今年の東京特別区の解答速報では、全問題で正答を導き出しました。
とある予備校の解説講義では、何問か、間違った選択肢を正答として解説しているところがあり、
試験実施日から特別区の正答の公表が行われるまでの間、受験生は結構、混乱していました。
しっかりとした分析力、そして正答の根拠を出せる講師陣の実力。東京アカデミーのウリの一つです!
もし、東京特別区の最終合格を目指すのであれば、ぜひ、東京アカデミー津田沼校の講座で最短経路で走りぬいてください!
もちろん、地元の千葉県や千葉市、国家公務員一般職にも対応しています!
今日は、行政法のNo.6を見てみましょう。受験生の間ではどれが正解なのか、試験直後には議論が起きていました。
しかし、この問題は、法学入門で学ぶか、行政法の一番初めの講義で学ぶところです。
ちゃんとした書籍・講師で学んでいれば、確実に1問取れた問題です。
憲法でも学びますネ。
肢5の判例も大法廷判決ですから、重要判例です。
このような基本的なところをおろそかにしないようにしましょう。
こういった何が基本的で、何が重要で、というところもプロの講師から学ぶことで、効率よく合格に必要な力を身に着けることができます!
No.6 行政法の法源に関する記述として、通説に照らして、妥当なのはどれか。
1.行政法の法源には、成文法源と不文法源とがあり、成文法源には法律や条理法が、不文法源には行政先例がある。
2.条約は、国内行政に関するもので、かつ、国内の立法措置によって国内法としての効力を持ったものに限り、行政法の法源となる。
3.命令は、内閣が制定する政令等、行政機関が制定する法のことであり、日本国憲法の下では、委任命令と独立命令がある。
4.判例法とは、裁判所で長期にわたって繰り返された判例が、一般的な法と認識され、成文法源とみなされるようになったものをいう。
5.慣習法とは、長年行われている慣習が法的ルールとして国民の法的確信を得ているものをいい、公式令廃止後の官報による法令の公布はその例である。
正答 5
1.誤り。法源とは、法の存在する形式のことをいうが、法源には、立法者が成文の形式で定立する成文法源と、そうでない不文法源があるので、前段は正しい。成文法源には、憲法、条約、法律、命令、条例・規則があり、不文法源には、慣習法、判例法、法の一般原則(条理)がある(櫻井敬子・橋本博之「行政法(第6版)」(弘文堂)11頁)。成文法源に条理を含むとする本肢は誤り。
2.誤り。条約とは、文書による国家間の合意をいう(野中俊彦ほか「憲法Ⅱ(第5版)」(有斐閣)424頁)。条約のうち国内行政に関するものは、行政法の法源として機能する(塩野宏「行政法1(第5版)行政法総論54頁」。条約の中には、①国内における立法措置なしに国内法としての効力を持つ自動執行条約(self-excuting treaty)と、②国内法による立法措置によって国内法としての効力が生ずるものがある(宇賀克之「行政法概説1行政法総論(第4版)」(有斐閣)5頁)。本肢は②に限り行政法の法源となるとしているが(二元論的考え方)、①も行政法の法源たりうるので、誤り。なお、佐藤幸治「日本国憲法論(第2版)」(成文堂100-101頁)参照。
3.誤り。行政機関により制定される成文法源を命令という(櫻井・橋本11頁)。そのうち、内閣の制定する命令を政令という(伊藤正巳「憲法(第3版)」(弘文堂)671頁)。したがって、前段は正しい。
日本国憲法の下では、法律の規定を執行するために必要な細則を定める執行命令(憲法73条6号)と、法律によって委任された事項を定める委任命令(憲法73条6号ただし書参照)のみが認められている。明治憲法8条で緊急勅令として法律に代わる代行命令が、また9条その他で法律から独立して発せられる独立命令が認められていたが、日本国憲法はそれらを一切認めない(伊藤670頁、野中俊彦ほか「憲法Ⅱ(第5版)」(有斐閣)418頁))。憲法41条の「唯一の立法機関」に反するからである(伊藤422頁)。したがって、日本国憲法の下では独立命理例があるとする本肢は誤り。
4.誤り。判例を法源として位置づけるべきかについては議論がある。日本では最高裁判決は、当該事案の差戻審では法的拘束力を有するが(裁判所法4条)、他の事件では、下級審の裁判所でも先例である最高裁判決に従わないことは可能であるからである。したがって、判例を当然に法源と見ることはできない。しかし、実際上は、最高裁判決は先例として、以後の下級審判決により尊重され、大きな影響力を持つことが多い(宇賀・前掲書12頁など通説。「事実上の拘束力」説)。そのため、最高裁判決が実際上、不文法源としての機能を果たしていることが多いが、成文法源とみなされるわけではないので、本肢は誤り。
5.正しい。慣習法とは、慣習のうち、人々の法的確信を得たものをいうので(櫻井・橋本11頁)、前段は正しい。行政上の法律関係についても慣習法の成立する余地があり、それは特に公物利用権などにみられる。また、政令の公布につき官報によることを認めた最高裁判決があるが(最大判昭32.12.28刑集11巻14号3461頁)、これは法令の公布が官報によることの慣行を認めたものと解される(塩野・前掲60-61頁。宇賀・前掲書11頁、大橋洋一「行政法Ⅰ現代行政家庭論」(有斐閣)53頁も参照)。その他、慣習法の例として、「法令を官報によって公布すること」を挙げている文献として、原田大樹「例解行政法」(東京大学出版会)18頁、下山憲治ほか「行政法NBS日評ベーシックシリーズ(電子書籍版)」(日本評論社)位置No.646がある。したがって、後段も正しい。