東京アカデミー立川教室
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こんにちは。教員採用試験対策の予備校=東京アカデミー立川校の福島です。
新聞報道もありましたが、文部科学省は、10月13日に「令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」を公表しました。
この調査は、毎年10月に公表されています。
児童生徒の問題行動等について、全国の状況を調査・分析することにより、
教育現場における生徒指導上の取組のより一層の充実に資するものとするとともに、
その実態把握を行うことにより、児童生徒の問題行動等の未然防止、早期発見・早期対応に、
また、不登校児童生徒への適切な支援につなげていくものとして、
この調査は行われています。
この調査結果を踏まえて、教育委員会をはじめとする学校の設置者、私立学校主管部局等における問題行動等への取組や、不登校への支援等の一層の充実に資する、と文部科学省は説明しています。
東京都を受験する方は、論文や集団面接(受験者間の話し合い)の対策に、必ず目を通しておきましょう。
概要でも27頁、調査結果は133頁です。
小・中・高等学校及び特別支援学校におけるいじめの認知件数は517,163件(前年度612,496件)であり、前年度に比べ95,333件(15.6%)減少です。
児童生徒1,000人当たりの認知件数は39.7件(前年度46.5件)。平成26年度以降認知件数の増加が続いていましたが,令和2年度は全校種で大幅な減少となりました。
いじめの重大事態の件数は514件(前年度723件)であり,前年度に比べ209件(28.9%)の減少。
〔現状分析〕
令和2年度は新型コロナウイルス感染症の影響により,生活環境が変化し児童生徒の間の物理的な距離が広がったこと,
日常の授業におけるグループ活動や,学校行事,部活動など様々な活動が制限され,子供たちが直接対面してやり取りをする機会やきっかけが減少したこと,
年度当初に地域一斉休業があり夏季休業の短縮等が行われたものの例年より年間授業日数が少ない学校もあったこと,
新型コロナウイルス感染症拡大の影響による偏見や差別が起きないよう学校において正しい知識や理解を促したこと,
これまで以上に児童生徒に目を配り指導・支援したこと等により,いじめの認知件数が減少したと考えられる、
〔課題〕
生活環境や行動様式が大きく変化し,発見できていないいじめがある可能性にも考慮し,引き続きいじめの早期発見,積極的な認知,早期対応に取り組んでいくことが重要。
また,重大事態の件数は減少しているものの,引き続き憂慮すべき状況。
いじめ問題に適切に対応することで,限りなく件数を零に近づけるべきではあるが,
いじめ防止対策推進法に基づき,取り上げるべきものは適切に取り上げなければならない。
今年も学年別最多は小学校2年生でした・・・。
小・中・高等学校における暴力行為の発生件数は66,201件(前年度78,787件)であり,前年度から12,586件(16.0%)減少。
児童生徒1,000人当たりの発生件数は5.1件(前年度6.1件)。
小学校における暴力行為は近年大幅に増加していたが,令和2年度は減少している。
また中学校・高等学校の暴力行為は近年減少傾向にあり,令和2年度は大幅な減少となっている。
いじめの認知件数と同様に,新型コロナウイルス感染症による学校生活への影響が,暴力行為の件数の減少につながっていると考えられる。
新型コロナウイルス感染症による影響を踏まえ,
従来,年度間に「欠席日数」30日以上の児童生徒について調査してきたが,
令和2年度は「児童・生徒指導要録」の「欠席日数」欄及び「出席停止・忌引き等の日数」欄の合計の日数により,年度間に30日以上登校しなかった児童生徒について調査。
また長期欠席の理由に「新型コロナウイルスの感染回避」を追加されていますので、確認をしておきましょう。
「新型コロナウイルスの感染回避」により30日以上登校しなかった児童生徒数は,小学校14,238人,中学校6,667人,高等学校9,382人となっている。
小・中学校における不登校児童生徒数は196,127人(前年度181,272人)であり,前年度から14,855人(8.2%)増加。
在籍児童生徒に占める不登校児童生徒の割合は2.0%(前年度1.9%) 。
過去5年間の傾向として,小学校・中学校ともに不登校児童生徒数及びその割合は増加している(小学校H27:0.4%→ R02:1.0% ,中学校 H27:2.8%→ R02:4.1%)。
不登校児童生徒の65.7%に当たる128,833人の児童生徒が,学校内外の機関等で相談・指導等を受けているとのことです。
不登校児童生徒数が8年連続で増加、
約55%の不登校児童生徒が90日以上欠席しているなど、
憂慮すべき状況は続いています。
児童生徒の休養の必要性を明示した「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」の趣旨の浸透の側面も考えられるのですが、
生活環境の変化により生活リズムが乱れやすい状況や、
学校生活において様々な制限がある中で交友関係を築くことなど、
登校する意欲が湧きにくい状況にあったこと等も背景として考えられる、と文部科学省は説明しています。
高等学校における中途退学者数は34,965人(前年度42,882人)であり,中途退学率は1.1%(前年度1.3%)。
中途退学者数は,平成25年度以降,平成30年度に増加したほかは、毎年減少している。
小・中・高等学校から報告のあった自殺した児童生徒数は415人(前年度317人)で,調査開始以降最多となっている。
児童生徒の自殺が後を絶たず大幅に増加していることは,極めて憂慮すべき状況です
「調査結果からは、
新型コロナウイルス感染症によって学校や家庭における生活や環境が大きく変化し,子供たちの行動等にも大きな影響を与えていることがうかがえる。
いじめや暴力行為が減少したとは言え、
様々な活動の制限は子供たちが得られるはずだった学びの機会や経験が減少した可能性を含んでおり、
必ずしも肯定的に捉えることはできない。
人と人との距離が広がる中、
不安や悩みを相談できない子供たちがいる可能性があること、
子供たちの不安や悩みが従来とは異なる形で現れたり、
一人で抱え込んだりする可能性があることにも考慮する必要があり、
引き続き周囲の大人が子供たちのSOSを受け止め、組織的対応を行い、外部の関係機関等に繋げて対処していくことが重要である。
このため、共通する施策として、
個々の児童生徒の状況に応じた必要な支援や、
スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、関係機関との連携による教育相談体制の充実を推進する。
また、未然防止と早期発見・早期対応の取組や
家庭・地域社会等の理解を得て地域ぐるみで取組を推進する。
上記に加え,いじめについては、いじめ防止対策推進法の定義に基づくいじめの認知と組織的対応を徹底することを管理職をはじめ全ての教職員等向けに周知を図る。
また自殺については、令和3年6月に取りまとめられた「児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議審議のまとめ」を踏まえ、
SOSの出し方に関する教育を含めた自殺予防教育や教職員に対する普及啓発等の実施を推進する。
東京都教育委員会の発表については、コチラをご覧くださいネ!
東京都教育委員会の取組、今後の対応などもしっかりと掲載されております。
東京都の教員採用試験では、こちらも押さえておく必要があります。
ポイントは・・・
1)暴力行為の発生件数は1,784件であり、前年度と比べ、571件減少。
小学校では110件、中学校では453件、高等学校では8件減少。
2)いじめの認知件数は、前年度と比べ、22,041件減少となる42,538件。全ての校種で減少。
3月31日時点のいじめの解消率は77.0%であり、前年度と比べ、小学校、中学校、高等学校で低下し、特別支援学校で上昇。
3)小・中学校における長期欠席者のうち、不登校児童・生徒数は小学校6,317人、中学校11,371人であり、前年度と比べ、小学校で1,100人、中学校で520人増加。
不登校出現率は小学校1.06%、中学校4.93%であり、前年度と比べ、小・中学校ともに上昇。
学校復帰率は小学校28.7%、中学校22.2%であり、前年度と比べ、小・中学校ともに上昇。
4)高等学校における長期欠席者数は6,916人であり、前年度と比べ、全日制で増加し、定時制で減少。
中途退学者数は1,505人であり、前年度と比べ、全日制では354人減少し、定時制では306人減少。
教員採用試験においても、コロナ禍における教育現場での実践を意識しておく必要があります。
東京アカデミーの講義の中でも、こちらを扱います。文部科学省のこの結果を見ると分かります通り、様々な対策を打っていますが、それを一人で調べるのは大変です。
そこで、教員採用試験対策の予備校を利用すれば、体系的に、また周辺の資料についても押さえることができますし、
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