東京都教員採用試験　受験倍率について（中高保健体育）

こんにちは。東京アカデミー立川校の教員採用試験対策担当です。

東京都は飲食店への“時短営業”解除となりましたが、「withコロナ」は続いていきます。必要以上にストレスを溜め過ぎず、ただし油断せずに日々過ごしていきたいですね。

 

さて、本日のブログは2021年夏実施東京都教員採用試験の「倍率」がテーマです。

中でも例年倍率が高い「中高保健体育」を取り上げてみます。

 

まずは過去5年間の中高保健体育の試験実施状況をまとめてみましたので、ご覧ください。

実施年	受験者数	一次合格者数	一次倍率	二次合格者数	最終合格倍率
2017年夏	1417	277	5.1	122	11.6
2018年夏	1174	257	4.6	150	7.8
2019年夏	1137	292	3.9	166	6.8
2020年夏	1022	334	3.1	207	4.9
2021年夏	1005	152	6.6	104	9.7

 

最終合格倍率

今年実施の最新試験では、最終合格倍率9.7倍、約10名に1名しか合格できないという結果となりました。言い換えると、本年の東京都保健体育受験生のうち約９割に当たる901名が最終合格を逃しています。

仮に倍率が2桁を記録していたら、2017年夏の試験以来4年ぶりという高倍率でした。

前年が4.9倍と過去10年でみても最低値だったので、急上昇した印象です。

二次試験合格者数は104名に留まり、過去10年でも最少となりました。前年が207名最終合格していますので、今年は前年比でほぼ半減となりました。

他の中高共通科目と比較してもダントツで、次点が中高公民の6.7倍ということを考えると今年の中高保体が厳しい試験だったことが伺えます。

 

一次合格倍率

一次試験の合格倍率は6.6倍でした。一次試験の合格倍率が6倍を超えたのは5年ぶりとなりました。

受験者数が前年と比較してほとんど変化していないのに対して、一次合格者数は前年334名が今年は152名と半分以下で、保健体育の高倍率の要因は一次試験でかなり選別されたことにあるようです。

東京都は、2018年から「分野別最低基準点」を設けており、生徒にしっかりと指導できる基礎知識を持っているということを示すためにも学力試験で高得点を出して、一次試験を突破しなければなりません。

 

一次→二次合格倍率

一次試験合格者の二次試験合格倍率は単純に計算すると以下のようになります。

2020年夏試験：一次合格者334名→二次合格者207名なので、1.6倍

2021年夏試験：一次合格者152名→二次合格者104名なので、1.5倍

 

ただし、東京都は一次試験が免除されている「前年度期限付任用名簿登載者」の方たちが二次試験から参加してきます。前年度期限付任用名簿登載の方は前年度試験で惜しくも最終合格を逃した成績上位者の方々なので、見た目の数字以上に最終合格の難易度を上げていると思われます。

 

今後の展望

ここ数年、東京都では大量採用が落ち着きを見せています。 

★小学校

実施年	採用見込者数	最終合格者数
2019年夏	1570	1614
2020年夏	1090	1546
2021年夏	1010	1164

 ★中高共通

実施年	採用見込者数	最終合格者数
2019年夏	1110	1189
2020年夏	1200	1278
2021年夏	1100	939

 

小学校の採用見込者数は、2019年から2020年で大幅減、2021年もさらに減り、最終合格者数も徐々に減ってきています。

中高共通の採用見込者数・最終合格者数ともに2019年→2020年で増加しているものの、今年の最終合格者数は採用見込者数より少ない結果となりました。

 

小学校は1クラス35人学級の実現へ向けて動き出し、教員不足が懸念されますが、採用数を増やすタイミングは自治体の予算と計画次第でまだ不透明かと思われます。

 

今年の募集要項に「東京都は年齢構成上50歳代の教員が多く、毎年1,500人規模で退職します。」と書かれていますが、３年前の2018年度の募集要項には「～毎年2,000人規模で退職します。」と書かれています。退職者数は減ってきています。

原則、退職者が減少すれば、新規採用人数は減っていきます。この流れに沿えば、今後も採用見込者数は減っていくので、倍率は高くなることが予想されます。

 

最後に

終盤は保健体育に限った話でなくなってしまいましたが、今年の採用試験で残念ながら一次試験を突破できなかった方から、専門試験で思うように得点できなかったという話をお聞きします。

保健体育の専門試験は学習指導要領（解説）と各競技のルール等からの出題が中心ですが、

• 「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」（スポーツ庁　平成30年3 月）
• 「熱中症環境保健マニュアル2018」（環境省　平成30年3月）
• 「学校環境衛生管理マニュアル［平成30年度改訂版］」（文部科学省　平成30年5 月）

などから引用されての出題もあります。

こういった比較的新しいガイドライン・マニュアル・ルールブックにも目を通せると良いですね。

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