東京アカデミー函館教室
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東京アカデミー函館校です。
今日は改正民法から実際にどのように出題されたのかという点について
お話したいと思います。
出題テーマは「時効の更新・完成猶予」です。
【問題】
債権の消滅時効に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.催告によって時効の完成が猶予されている間に債権者が再度の催告をしたときは,再度の 催告の時から6か月を経過するまでの間は,時効は完成しない。
イ.時効の利益の放棄は債務者の意思表示のみにより効力を生じ,債権者の同意を要しない。
ウ.裁判上の請求がされ,その後,その請求に係る訴訟が訴えの取下げによって終了したときは,その終了の時から6か月を経過するまでの間は,時効は完成しない。
エ.消滅時効が完成した後に債務者が債務の承認をした場合において,その承認が時効完成の事実を知らずにされたものであるときは,債務者は,承認を撤回して時効を援用することができる。
オ.不動産の仮差押えがされたときは,その被保全債権の消滅時効は,その仮差押えの登記がされた時から新たにその進行を始める。
1.アイ 2.アオ 3.イウ 4.ウエ 5.エオ
正しい肢はイとウなので、正答は3になります。
「イ」と「エ」に関しては改正前後で変わらなかった内容になりますし、過去問でも
繰り返し出題されている内容でもあります。
したがって、ここの部分の正誤の判別は確実につけなければなりません。
これに対して「ア」と「ウ」が新しい概念である、時効の「完成猶予」について、
「オ」が時効の「更新」についての理解を問う出題となります。
旧法下では一律に時効の「中断」と扱われていた部分が、改正によって「完成猶予(時効進行がいったんストップするだけ)」と「更新(時間経過がリセットされてもう一度最初から
進行を開始する)」に分けられました。
時効の「更新」が認められるケースは限定されているので、こちらを軸にして
少しずつ考えを整理しつつ暗記していければ良いのではないかと思われます。
このように、改正によってより緻密な条文の理解が必要になった部分もあるので
暗記一辺倒だけでは厳しくなったといえるかもしれません。
とはいっても、大事な部分を効率よく理解してあとは選択肢を見ながら吟味する
というスタイルは、改正後も変わらずに有効なスタンスといえると思います。
ぜひ参考にしてみてください。