東京アカデミー函館教室
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東京アカデミー函館校です。
今日お話しするのは民法の「代理」についてです。
「代理」は実務の場面でも多く使われる仕組みですし、試験対策上も
複数の概念が絡んでくるので混乱しやすい内容です。
しっかり整理して、周りの受験生に差をつけていきましょう。
1.まず「代理」の要件は?
法律行為の「代理」が成立する要件は①顕名②法律行為③法律行為に先立つ代理権の授与になります。実体法上(つまり民法の条文に書かれているのは)①と②のみですが、要件事実(実務の現場で使う、法律関係を整理するためのチャート)としては③も必要になり、下記に示す試験に頻出の論点との関係で、ココが大事な要件になってきます。
2.では試験対策上の諸問題について
まず【①の顕名はあるけれど③の代理権が授与されていない場合】これが「無権代理」にあたり、契約は本人に効果帰属しない(113条1項)ということになります。
そして【①の顕名もないし、③の代理権も授与されていない場合】このタイプが例えば他人物売買(560条)として、代理人自身のためにしたものとみなされる(100条)ことになります。
ここで、例えば「無権代理」の責任は「だれがどうやって負うのか」という論点や「相続が絡んだ場合に責任はどうなるのか」という論点が出てくるわけですね。
また、試験に頻出の「表見代理」(109条~112条)は「そもそも代理権がないのにあるように見える」場合を想定した話ですから、「無権代理」と密接にかかわってきます。
一方、他人物売買の話に絡めるなら、「契約不適合責任」の追及による解除(564条、541条、542条)がかかわってきます。
このように、「代理」という1分野の理解は、民法の複数の分野の理解に大きく影響してきます。ぜひ確実な理解を目指して学習しましょう!