東京アカデミー立川教室
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ここからは、私が実際に受験した受験先ごとにどのような対策をしていたのかについてお話していきたいと思います。まずは特別区の筆記試験についてです。
私は国家総合職の試験などを受験しなかったため、特別区が一番初めの試験でした。そのため、3月ぐらいからは特別区の対策をメインにしていました。まずは文章理解です。文章理解の項目でもお話したのですが、特別区の文章理解の出題形式は要旨把握というものになり、他の試験も文章理解の解き方とは全く違います。そのため、4月ぐらいからはひたすら要旨把握の問題(主に特別区の過去問)のみを解いていました。また、特別区の試験で特に教養科目は、数年前に出題された問題とほぼ同じ問題が繰り返し出題される確率が高いと言われています。そのため、過去問を何度も繰り返し、特別区でよく出る形式の問題の解き方や知識を身に付けておくことが大切になります。私は特別区の過去問は10年以上解き、その10年間の問題は同じような問題が出たら絶対に得点できる!というレベルまで覚えるようにしていました。過去問を10数年分眺めてみると、特に自然科学や数的処理などでは似た形式の問題が数年おきのスパンで出題されていることが分かります。そしてこのようによく出題されている分野は過去問の知識だけではなく、もう一度参考書を見直して違う角度の問われ方をしても答えられるように勉強をしていました。
また、特別区の試験として目立つ傾向として、もう一つ上げるとしたら、判断推理の中に毎年一問暗号の問題が出題されることです。暗号の問題は、〇進法の問題、アルファベットの暗号、いろはにほへとの暗号など、様々なものが出題されます。しかし、これらの暗号問題はその法則をひらめかないと正解にたどり着くことができません。また、数年に一度は、ほとんどの人が正解することができないような複雑な暗号が出題されることがあります。そのため、暗号問題は最後に回し、他の問題を先に解いた方が良いのではないかと思います。特別区の教養問題はかなり時間が厳しい試験になるため、数年に一度の難問に当たってしまった時に暗号を先に解くとかなりのタイムロスになります。暗号は最後に回し、時間があったら解く、もし無理だったら適当にマークシートを塗る、ぐらいの心構えでいるほうが、時間を有効に使えるのではないかと思います。
また、専門科目については、民法、学系科目で他の試験とは異なった対策をしていました。まずは民法です。特別区の民法は条文がそのまま問題文として出されることが多いです。そのため、私は特別区の試験が近くなってからは、問題の答え合わせをする際に隣に六法を置き、そこで登場した条文をこまめに見るようにしていました。また、学系科目については、人物の名前とその人が言った言葉の結びつきをしっかりと覚えることを大切にしていました。特別区の問題は、この結びつきが分かっていれば切ることのできる選択肢がとても多いです。それに加えて、国家公務員の試験で出されるような少しひねった知識や、参考書にあまり登場しないような人物の名前などが多く出されるということもあまりありません。そのため、私は特別区の試験の直前には国家公務員の過去問などは解かずに、特別区レベルの知識を多く頭に入れるようにしていました。国家公務員試験を受験する人は、そのような難しい知識も覚える必要がありますが、私個人の感想としては、特別区を受験する直前にそのような知識を詰め込む必要はないのではないかと思いました。
また、特別区は教養も専門も問題が選択式なので、自分の得意不得意に合わせて戦略を練ることができます。私が特別区の教養試験で捨てると決めていた科目は、物理(2問)、世界史(1問)、日本史(1問)、思想(1問)の計5問です。特別区の教養試験は48問中40問選択なので、8問捨てることができます。しかし、最初から8問分MAXで捨てるつもりでいるのはあまりおすすめできません。知識系の問題では捨てないと決めていたものでも、難しく解けない問題が出てくることも多いので、大体43~45問程捨てないで解くつもりで勉強し、その中で本番にわからなかったものを数問選択しないというやり方が良いのではないかと思います。しかし、逆に考えてみると、3~4科目は完全に捨てても大丈夫ともいうことができます。併願先で出題される問題によりどこまで捨てられるかということは変わってくるのですが、私の場合、特別区で解かないと決めた4科目は国家公務員試験でもそれぞれ1問ずつしか出題されず、かつA日程の試験でも出題予定がなかったため、完全に捨ててしまっていました。
また、教養試験と同じく、専門試験も55問中40問選択なので、15問分捨てることができます。特別区の専門試験は、国家公務員の試験とは異なり、その科目を選択したら、5問分全て解かなければいけないという決まりはありません。そのため、11科目(民法ⅠとⅡを別に考えた場合)から、8科目を選択するというよりは、55問の中から好きなものを40問解くというイメージになるかと思います。このような試験形式になるため、併願先の試験形式によっては難しいかもしれませんが、一つの科目の中でも、ここの分野は苦手だから捨てよう、ということもできてしまいます。私は、民法の債権の分野を完全に捨ててしまっていましたが、家族法は勉強しており、本番でも選択しました。国家公務員の試験では、債権を捨てていた場合、民法Ⅱを選択するとほぼ解けないことになるため、選択することができません。しかし、特別区の試験なら、家族法だけ解いて得点源にすることができます。また、これに加えて、私は特別区の試験までに社会学の勉強を完全に終えることができる自信が無かったので、社会学は全体の3分の2程度までを頑張って覚えて、残りの3分の1が出たら捨てようと決めていました(残りの3分の1は国家公務員の試験までに完成させようと思っていました)。明確な捨て科目を1~2科目作るというやり方もありますが、教養試験と同様に解くと決めていたものでも難しくて解けない問題というのは必ず出てくるので、なるべく多くの科目に手を付けつつも、私のように一部の分野を捨てるというやり方もできるのではないかと思います。もちろん、これも併願先で出題される科目と照らし合わせて考える必要があります。