東京アカデミー大阪校
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新型コロナウイルスの感染者が確認された県立学校の休校判断について、鹿児島県が原則「学校判断」としていることが分かった、というニュースがありました。
ここで、2021年夏実施の大阪府・大阪府豊能地区・大阪市・堺市教員採用試験より問題です。
Q「次の各文は、学校保健安全法の条文または条文の一部であるが,下線部については誤りが含まれているものがある。条文または条文の一部として下線部が誤っているものはどれか。」
1.学校には,健康診断,健康相談,保健指導,救急処置その他の保健に関する措置を行うため,保健室を設けるものとする。
2.学校においては,救急処置,健康相談又は保健指導を行うに当たつては,必要に応じ,当該学校の所在する地域の医療機関その他の関係機関との連携を図るよう努めるものとする。
3.学校においては,毎学年定期に,児童生徒等(通信による教育を受ける学生を除く。)の健康診断を行うよう努めるものとする。
4.校長は,感染症にかかつており,かかつている疑いがあり,又はかかるおそれのある児童生徒等があるときは,政令で定めるところにより,出席を停止させることができる。
5.学校の設置者は,感染症の予防上必要があるときは,臨時に,学校の全部又は一部の休業を行うことができる。
正解(下線部が誤っているもの)は3番で、学校保健安全法第13条第1項には「健康診断を行わなければならない」とあります。
この問題では、「設ける(努める)ものとする」のか、「させる(行う)ことができる」のか、もしくは「行わなければならない」のかという点が問われていますが、
権限や責任を有するのはだれかという点も押さえておきたい内容です。
学校保健安全法では、感染症による出席停止と感染症予防のための臨時休業について定めており、
〇「出席停止」をさせる権限は各学校の校長(選択肢4:学校保健安全法第19条)
〇「臨時休業」を行う権限は学校の設置者(選択肢5:学校保健安全法第20条)
に与えています。
また、これと紛らわしいためによく選択肢の一つとして併せて出題されることが多いですが、
非常変災等による臨時休業を決定するのは各学校の校長(学校教育法施行規則第63条:非常変災その他急迫の事情があるときは、校長は、臨時に授業を行わないことができる)です。
つまり、鹿児島県教育委員会は「各校の実状に合わせ迅速に対応するため」に、台風などの非常時に校長が休校判断できることを定める学校教育法施行規則に基づく県立学校管理規則を挙げて、「学校判断」の法的根拠としているようです。
このような問題については、「決定するのは校長なのか、それとも設置者なのか」などと条文をそのまま丸暗記するだけでなく、校長が決定する権限をもつもの、学校の設置者が決定する権限をもつもの、文部科学省が決定する権限をもつものと、しっかり整理して理解しておくことが必要です。
(東京校の2022.1.27のブログにも関連した内容を掲載しておりますが、オープンセサミ参考書「教職教養Ⅱ」をお持ちの方は、P192にこうした学校運営に関する法規をまとめて掲載しております。)
関連として、2021年8月27日に文部科学省より「学校で児童生徒等や教職員の新型コロナウイルスの感染が確認された場合の対応ガイドライン」が出されていますが、感染状況等を踏まえ、必要な見直しを行うということでしたので、今後も要注意です。
2021年夏試験では面接試験の中で、「感染拡大防止に係る対応について子どもに対して気をつけていることはなにか」(大阪府豊能地区1次集団面接)といったコロナ関連の質問も多くされていましたが、こういった現在のニュースに関連したこと、根拠となることについては2022年夏の筆記試験でも問われる可能性大ですのでしっかり学習しておきましょう。
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