東京アカデミー大宮校
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こんにちは、東京アカデミー大宮校の国家試験担当です。
本日は東京アカデミーお茶の水校の通年講座(オンライン・Zoom配信)を担当される富岡先生より第34回国家試験の本試験よりピックアップしてもらい、解説と勉強方法についてコメントをいただきましたので紹介させていただきます。今後の学習にお役立てください。
■問題77
行政行為の効力に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 重大かつ明白な瑕疵のある行政行為であっても、取り消されるまでは、その行政行為の効果は否定されない。
2 行政行為の無効確認訴訟の出訴期間は、一定期間に制限されている。
3 行政行為の効力は、国家賠償請求訴訟によっても取り消すことができる。
4 行政庁は、審査請求に対する裁決など、判決と似た効果を生ずる行政行為であっても、自ら違法であると気付いたときは、職権で取り消すことができる。
5 行政庁は、税の滞納処分など、判決を得なくても強制執行をすることができる。
■正答5
■解説
1 誤り。 重大かつ明白な瑕疵(かし)のある行政行為については、無効な行政行為として、取り消されるまでもなく当然に効力のないものとして扱われる。
2 誤り。 行政行為の無効確認訴訟に出訴期間の定めはない。
3 誤り。 行政行為の効力の取消しは、行政不服申立てまたは行政訴訟によることとなっており、国家賠償請求訴訟によって取り消すことはできない。
4 誤り。 審査請求に対する裁決など、処分を行った行政庁は、違法であると気付いたとしても自ら職権で取消すことはできない。
5 正しい。 私人間では違法性が認められても強制執行は裁判所が行うが、行政庁は訴訟による判決を得ることなく強制執行をすることができる。
■勉強の仕方
行政法は国家試験では馴染みが薄く学習が疎かになりやすい分野ですが、福祉サービスには行政処分が絡むものが多く、行政法の知識は重要になります。基本的な行政行為の特徴として、私人間の関係とは異なり、行政庁にある程度の優越性が認められています。
行政行為の特徴的な効力として、執行力(裁判によらず自力で行政行為を強制的に執行する効力)、公定力(違法な行政行為でも重大かつ明白な瑕疵のない行為は、不服申立てや行政訴訟で取消されない限り有効なものとして扱われる効力)、不可争力(不服申立てや行政訴訟は一定期間を過ぎると提起できなくなる効力)、不可変更力(行政庁が行った判決と似た効果を生ずる行政行為は、処分庁の職権による変更ができない効力)があることを理解しておきましょう。
■問題91
社会福祉士及び介護福祉士法における社会福祉士と、精神保健福祉士法における精神保健福祉士に関する次の記述のうち、これらの法律に明記されている共通する責務として、正しいものを1つ選びなさい。
1 集団的責任の保持
2 権利擁護の促進
3 多様性の尊重
4 資質向上
5 倫理綱領の遵守
■正答4
■解説
1 誤り。 社会福祉士及び介護福祉士法(以下「法律」)には、集団的責任の保持という責務はない。なお、「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義」及び日本社会福祉士会の倫理綱領には規定されている。
2 誤り。 「法律」には、権利擁護の促進という責務はない。
3 誤り。 「法律」には、多様性の尊重という責務はない。なお、「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義」及び日本社会福祉士会の倫理綱領には規定されている。
4 正しい。 「法律」で、「社会福祉を取り巻く環境の変化による業務の内容の変化に適応するため、相談援助又は介護等に関する知識及び技能の向上に努めなければならない。」と規定している。(「法律」第47条の2)
5 誤り。 「法律」には、倫理綱領の遵守という責務はない。
勉強の仕方
社会福祉士及び介護福祉士法をはじめ、社会福祉士には遵守すべき責務や倫理があります。そのなかでも法律では、誠実義務、信用失墜行為の禁止、秘密保持義務、連携、資質向上の責務、名称の使用制限が定められており、基礎的な分野ですが非常に重要です。
倫理に関連するものとして他に、国際ソーシャルワーカー連盟(IFSW)による「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義」と日本社会福祉士会による「日本社会福祉士会の倫理綱領」を押さえておきましょう。
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