東京アカデミー京都校
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東京アカデミー京都校です。
国家一般職、国家専門職の試験まであと二か月と少しになりました。そろそろスパートをかけていく時期ですね。
さて今回は、そんな試験の中から国税専門官にスポットを当てて、予想される問題を1問紹介したいと思います。
今年受験される方はぜひチャレンジしてみてください。
・精神的自由に関する次のア~オの記述のうち,妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。
ア 子どもに対する教育権は,憲法上,第一義的には国に与えられており,親の子に対する教育の自由は,国の教育権の及ばない範囲において,第二義的に与えられるものであるとするのが判例である。
イ 学生の大学内における集会であっても,学問的な研究やその結果発表のための集会ではなく,実社会の政治的社会的活動としての集会である場合には,大学の有する特別の学問の自由と自治は享有しないとするのが判例である。
ウ 各人が自由にさまざまな意見,知識,情報に接し,これを摂取する機会をもつことは,思想及び人格の形成や発展に不可欠であるとしても,それが憲法第2 1 条第1 項の趣旨,目的から当然に導かれる原理であるとまではいえないとするのが判例である。
エ 他人の名誉を棄損した行為を新聞紙上で謝罪する「謝罪広告」は,単に事態の真相を告白し陳謝の意を表明するにとどまる程度のものであれば,これを強制することができるとするのが判例である。
オ 政教分離規定によって国に禁じられている宗教活動とは,当該行為の目的が宗教的意義を有し,その効果が宗教に対する援助,助長,促進又は圧迫,干渉になるような行為であり,特定宗教と関係のある私立学校に対する助成金の支給などは,これに該当し許されないとするのが判例である。
1 ア,エ
2 ア,オ
3 イ,ウ
4 イ,エ
5 ウ,オ
いかがでしたか?正解できましたか?答えは4番でした。
昨年2021年の国税専門官の憲法では、幸福追求権、社会権が出題されていました。
一昨年20年国税専門官の憲法は、人権の享有主体制、思想良心が出題されていました。
国税専門官では、毎年出題の内容が変わっているため上記以外の内容が予想されますので、精神的自由が出題されるのでは?と考えています。
正答 4
ア 誤り。判例は,「憲法上,親は一定範囲においてその子女の教育の自由をもち,…それ以外の領域においては,国は,子ども自身の利益の擁護のため,又は子どもの成長に対する社会公共の利益と関心にこたえるため,必要かつ相当と認められる範囲において,子どもの教育内容を決定する権能を有する。」としており,国と親の教育権を第一義・第二義的というようには分けて考えていない(最大判昭5 1 . 5 . 2 1 旭川学テ事件訴訟)。
イ 正しい。判例は,「学生の集会が真に学問的な研究またはその結果の発表のためのものでなく,実社会の政治的社会的活動に当る行為をする場合には,大学の有
する特別の学問の自由と自治は享有しないといわなければならない」としている(最大判昭3 8 . 5 . 2 2)。
ウ 誤り。判例は,「憲法2 1 条1 項の規定は,表現の自由を保障している。そうして,各人が自由にさまざまな意見,知識,情報に接し,これを摂取する機会をも
つことは,その者が個人として自己の思想及び人格を形成,発展させ,社会生活の中にこれを反映させていく上において欠くことのできないものであり,民主主
義社会における思想及び情報の自由な伝達,交流の確保という基本的原理を真に実効あるものたらしめるためにも必要であって,このような情報等に接し,これ
を摂取する自由は,右規定の趣旨,目的から,いわばその派生原理として当然に導かれるところである」としている(最大判平元. 3 . 8 レペタ法廷メモ訴訟)。
エ 正しい。判例は,「謝罪広告を命ずる判決にもその内容上,これを強制することが加害者の人格を無視し著しくその名誉を毀損し意思決定の自由ないし良心の自
由を不当に制限することとなり,強制執行に適さない場合もありうるが,単に事態の真相を告白し陳謝の意を表明するに止まる程度のものにあっては,これを強
制することもできる」とし,本件の謝罪広告は,「公表事実が虚偽かつ不当であったことを広報機関を通じて発表すべきことを求めるものにすぎず,この種の謝罪
広告を新聞紙に掲載すべきことを命ずることは,良心の自由を侵害するとはいえない」としている(最大判昭3 1 . 7 . 4 謝罪広告事件訴訟)。
オ 誤り。判例は,政教分離規定(憲法2 0 条3 項)によって国に禁じられている宗教活動とは,当該行為の目的が宗教的意義を有し,その効果が宗教に対する援助,
助長,促進又は圧迫,干渉になるような行為を指すとしつつ,そのような目的・効果がないのであれば,特定宗教と関係のある私立学校に対し一般の私立学校と
同様な助成をすることも許されるとしている(最大判昭5 2 . 7 . 1 3 津地鎮祭事件参照)。
次回もお楽しみに!