東京アカデミー東京校
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こんにちは。教員採用試験の予備校=東京アカデミーの福田です。
教員志望の方の中には12月4日(水)の公表後すぐにチェックした方もいらっしゃると思いますが、今日はOECD(経済協力開発機構)による生徒の学習到達度調査(PISA)の話題です。
PISAは義務教育修了段階の15歳(日本は高校1年生相当)を対象に2000年から3年ごとに、読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3分野で実施されています。初回の2000年の調査では読解力が調査の中心分野でその他は概括的な調査、2003年の中心分野は数学的リテラシー、2006年の中心分野は科学的リテラシー、2009年はまた読解力が調査の中心分野・・・というサイクルで繰り返され、79ヵ国・地域の約60万人の生徒が参加した2018年の調査では読解力が中心分野でした。
2018年の調査において、日本の生徒の読解力はOECD平均より高得点のグループに位置するものの、前回より平均得点(516点→504点)・順位(8位→15位)が統計的に有意に低下しました。つまり、誤差の範囲ではなく、明らかに読解力が低下したということです。
前回2015年調査からCBT(コンピュータ使用型)調査に移行しており、日本の生徒が慣れていないことが今回の読解力低下の一因とも言われていますが、果たしてどうでしょうか。
PISA2018における読解力の定義は、
自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、社会に参加するために、テキストを理解し、利用し、評価し、熟考し、これに取り組むこと
で、測定するのは
①情報を探し出す
②理解する
③評価し、熟考する
という「3つの読解プロセス」の能力だそうです。
“テキストを評価する”には、その信憑性や著者の視点を検討・把握する能力が求められます。例えば、モアイ像で有名なチリの「ラパヌイ島(イースター島)」がテーマの大問では、モアイ像を運搬する際に使われた植物や大木が島内から消滅した理由について推測する大学教授のブログ(架空のブログ?)や、アメリカの進化生物学者・生理学者・生物地理学者ジャレド・ダイアモンド氏の著書『文明崩壊』への書評、そして『文明崩壊』への疑義を報じる科学ニュースなどを読ませるものでしたが、まさにテキストから情報を探し、テキスト評価し、熟考することが必要な問題でした。
文部科学省・国立教育政策研究所による『OECD生徒の学習到達度調査2018年調査(PISA2018)のポイント』では、
◆読解力の問題で、日本の生徒の正答率が比較的低かった問題には、テキストから情報を探し出す問題や、テキストの質と信憑性を評価する問題などがあった。
◆読解力の自由記述形式の問題において、自分の考えを他者に伝わるように根拠を示して説明することに、引き続き、課題がある。
などとまとめられています。
PISAでは習熟度を一定の範囲で区切ったものを習熟度レベルと呼び、読解力の習熟度レベルは2018年調査では上から順に
レベル6以上
レベル5
レベル4
レベル3
レベル2
レベル1a
レベル1b
レベル1c
レベル1c未満
の9段階とされています。
読解力全体について、レベル5以上の生徒の割合が最も多いのはシンガポールの26%で、次いで北京・上海・江蘇・浙江の22%、カナダ、香港の15%、フィンランド、エストニア、アメリカの14%、日本は10%(OECD平均よりは上)だそうです。
また、3つの読解プロセスについて、レベル1a以下の生徒の割合が最も少ないのは、北京・上海・江蘇・浙江でそれぞれ6%・4%・5%、日本はそれぞれ18%・18%・20%(OECD平均よりは少ない)だそうです。
数学的リテラシーおよび科学的リテラシーは世界トップレベルとのことですが、読解力の低下はこれらの能力にもいずれ響いてくると思います。
なんだか先日のブログでご紹介した書籍『AIに負けない子どもを育てる』でも日本の子どもの読解力不足が論じられていましたが、図らずもそれが証明されたようです。教員志望の皆様は、読解力の育成が国語教員だけの仕事ではないことにも留意しておきましょう。
PISA2018のさらなる情報は、下記リンクからどうぞ。
国立教育政策研究所 OECD生徒の学習到達度調査(PISA) ← クリック!
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