東京アカデミー岡山校
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こんにちは。
さて今回は、『2023 年度公務員試験で間違わない為のみんなが間違う正答率の低い模試問題解説』と題して、今年の模試の中から 正答率が低かった問題をピックアップして解説していきます!
本日は「公務員共通 警察官・消防官型模試」の数的の分野からの出題を見ていきましょう。
一度、警察官・消防官型模試を受験したことがある方は復習としてもう一度解いてみましょう!
【問題】 正答率24.5%
地方自治に関する記述として最も妥当なのはどれか。
1 地方公共団体の組織や運営については,地方自治の本旨に基づいて法律で定めるとされているが,この地方自治の本旨には,自由主義的要素である住民自治と民主主義的要素である団体自治の二つの側面がある。
2 地方公共団体は,議事機関として議会を設置すると憲法に定められているが,町村において議会を置かず,その町村の有権者全員による町村総会を設けることは認められている。
3 憲法第 94 条では,地方公共団体は,「法律の範囲内で条例を制定することができる」と規定されており,公害規制などについて,国の法令で定められている規制基準よりも厳しい基準を条例で定めることはできない。
4 国会が,ある特定の地方公共団体のみに適用される特別法を制定するには,当該地方公共団体の住民投票において,3 分の 2 以上の賛成による同意が必要である。
5 地方公共団体の住民は,直接請求権として,条例の制定・改廃を請求することができるが,請求を行うには,有権者の原則 3 分の 1 以上の連署をもって,当該地方公共団体の首長に対して請求しなければならない。
1 誤り。住民自治と団体自治の記述が逆である。住民自治とは,地方公共団体が地域住民の意思に基づいて運営されるという原理で民主主義的な要素をもつのに対し,団体自治とは,地方公共団体が国から独立して団体自らの意思と責任で自主的にその地方の政治を行うとする原理で自由主義的・地方分権的要素をもっている。
2 正しい。地方自治法 94 条は,条例により町村には議会を置かず,町村総会を設置することを認めている。町村総会は,住民自治を高度に実現するものであるからである。
3 誤り。最高裁判所は,「既存の法令の執行を妨げるような条例の制定は許されないが,法令の規制目的と条例の規制目的が異なるか,同じ目的でも法令が別段の規制を施すことを許容する趣旨であると解されるときは,国の法令と条例との間になんら矛盾抵触はなく,条例が国の法令に違反する問題は生じえないことから,法令による規制よりも厳しい規制を定めた条例も許される」とした(徳島市公安条例事件,最大判昭50.9.10)。
4 誤り。ある特定の地方公共団体のみに適用される特別法を制定するには,当該地方公共団体の住民投票において,3 分の 2 以上ではなく過半数の同意が必要である(憲法 95 条)。
5 誤り。条例の制定・改廃を請求するには,有権者の原則 3 分の 1 以上ではなく,50 分の 1 以上の連署である(地方自治法 74 条)。有権者の原則 3 分の 1 以上の連署が必要なのは,地方議会の解散請求,首長・議員の解職請求,副知事や副市町村長などの主要公務員の解職請求のときである(地方自治法 76 条,80 条,81条,86 条)。
ここでのポイントは「地方自治の概要と理念」です。住民自治と団体自治,直接請求権と住民投票,条例制定権,長と議会について,それぞれの内容を整理しておきましょう。