東京アカデミー池袋校
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公務員の経験者採用(社会人採用)とは、民間企業等での職務経験をもつ人を対象とする特別枠の採用試験(選考)のことです。2000年代の終わり頃、団塊世代の大量退職にともない採用者が激増した時期に社会的注目を集めました。現在ではかなり多くの自治体が導入し、公務員に転職する有力なルートとして知られています。
ところで、社会人経験を経てから公務員に転職する道は、経験者採用(社会人採用)に限りません。他のルートも存在します。一つは、新卒者対象の採用試験。近年、新卒者対象の採用試験(事務職/大卒程度)の年齢制限が緩和される傾向にあり、社会人経験者が新卒者と同じ採用試験を受けて入職するケースも非常に増えているのです。もう一つは、2020年度から本格的に始まった就職氷河期世代採用試験ですね。(当初予定では、今年が最終年。)今回はこれら3つのルートのうち、経験者採用(社会人採用)に絞って解説します。
それではまず、経験者採用(社会人採用)のおおまかな特徴をあげておきましょう。
★1次試験の実施時期はまちまちだが、県や指定都市など主要な地方自治体については6月か9月に行うケースが多い。(関東地方ではほとんどが9月。)
★1次試験では従来、教養試験を課していたが、近年では通常の教養試験より平易な「社会人基礎試験」や民間の就活でおなじみの「SPI3」(リクルート)を利用するケースも急増してきている。
★多くの自治体が論文試験を課す。論文の内容はこれまでの職務経験を具体的に述べる「経験論文」と社会的課題についての見解を論述する「課題式論文」に大別される。どちらを課すかは自治体によってさまざま。なお、特別区のように経験論文と課題式論文、両方を課すケースもある。
★最終的に合否のカギを握るのは面接試験で、配点ウェイトも非常に高い。実施形態はオーソドックスな個別面接が大半だが、「プレゼンテーション面接」や「集団討論」などを課す自治体も少なくないので注意が必要。
教養試験や論文試験の内容は自治体ごとにかなり違っていますから、志望先自治体の実施内容をきちんと確認する必要があります。1次試験に課されるのが教養試験なのか、それともSPI3なのかで対策はまったく異なります。また、同じく「論文」といっても、経験論文と課題式論文とでは答案の構成のしかたは別です。
最も念入りな対策が必要なのは、やはり面接試験でしょうね。経験者採用(社会人採用)では、これまでの職務経験が評価されます。(「これからの伸びしろ」ではなく、「これまでの実績」がシビアに見られると考えるべき。)したがって、
・これまでの職務経験を通じてどのようなスキル、知識を身に付けてきたか
・それらのスキル、知識をこれからの公務員としての職務に具体的にどのように活かせるのか
これら2点について、面接官が納得するような語り方(述べ方)をじっくり検討しなくてはなりません。