東京アカデミー広島校
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みなさんこんにちは、公務員試験の予備校、東京アカデミー広島校の寺尾です。
本日は憲法記念日ですので、憲法の問題について考えてみましょう!
今回は試験にも頻出論点の「議員定数不均衡」の問題についてお話しします。
ところで、皆さんは投票に行かれたことはありますか?選挙で投票できるのは1人1票で、2票ではないですよね。
選挙では、選挙人の1票が選挙結果に及ぼす影響力の平等、すなわち、投票価値の平等まで保障するのが、憲法14条に定める法の下の平等の趣旨です。
ですが、実際は地域によって、1票の重みに地域格差が存在し、以前から訴訟が繰り返し提起されてきました。
例えば、以下の場合を考えてみてください。
A県の有権者数が200万人、議員定数が2だった場合
B県の有権者数が600万人、議員定数が2だった場合
これらの場合、選出される議員数は同じなのに、A県とB県では1票の価値に1:3の差が存在します。ですが、地域によっては住民の転出・転入や死亡率・出生率など様々要因から人口分布に差が出てきますし、投票の地域格差を完全になくすことは非常に難しいです...。
そこで、どの程度の格差までなら許されるのかという問題が生じます。
学説では、1票の格差が1:2を超えたら違憲とする説が有力です。なぜなら、1人に2票与えたことと一緒になってしまうからです。
最高裁の判例では、衆議院議員選挙については最大格差1対2.129の格差を違憲状態と判断しました(最大判H27.11.25)。そして、最新の判例では1対1.98の格差を合憲と判断しています(最大判H30.12.19)。
なお、参議院議員に関しては、衆議院議員と異なり地域代表的性格を有すること及び半数改選制度が要求されている特殊性から、衆議院よりも大きな格差を許容してきました。
最高裁大法廷は、1対4.77の格差を違憲状態と判断し(最大判H26.11.26)、最新の判例では、1対3.08の格差を合憲と判断しています(最大判H29.9.27)。
その後、2018年に定数6増(選挙区2増、比例区4増)と定数枠の創設を柱とする公職選挙法が成立したことから、一票の格差は1対3.00となりました。
この問題は、昭和の時代から繰り返し議論されてきました。
皆さんも是非考えてみてください。