東京アカデミー岡山校
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こんにちは。
さて今回は、『2023 年度公務員試験で間違わない為のみんなが間違う正答率の低い模試問題解説』と題して、今年の模試の中から 正答率が低かった問題をピックアップして解説していきます!
本日は「国家一般職模試」の経済の分野からの出題を見ていきましょう。
一度、国家一般職模試を受験したことがある方は復習としてもう一度解いてみましょう!
【No.39】 国際経済に関する記述として最も妥当なのはどれか。 正答率10.6%
1 対外資産負債残高は,一定時点において海外に対する債権債務関係を示した統計で,企業会計の考え方を活用した貸借対照表が使われており,期間中に発生した金融取引などが反映される。日本の 2020 年の対外純資産残高は 300 兆円以上の黒字となっている。
2 国際収支とは,国の一年間の国際取引の受取りと支払い勘定の記録を示したストック統計である。国際収支は大きく分けて,経常収支,資本移転等収支,金融収支,誤差脱漏からなり,「経常収支-資本移転等収支+金融収支-誤差脱漏= 0」の原理が成り立つ。
3 国際収支の項目のうち,第一次所得収支は無償の援助や国際機関への分担金などが該当し,第二次所得収支は海外で保有する資産から生じる配当や利子,海外の企業などから得た給料などの収支が該当する。
4 日本の国際収支を財務省「国際収支状況」でみると,2020 年は貿易収支が赤字となる一方,サービス収支は訪日外国人旅行者が減少したことから大幅な黒字となった。このため,経常収支は前年から約 1 割増加した。
5 WTO(世界貿易機関)の統計によると,2020 年の世界の物品貿易量は前年に比べて 10% 以上の減少となった。地域別に輸入量の減少幅をみると,アジアや欧州,北米で減少幅が著しく大きく,中東や南米,アフリカで減少幅が比較的小さかった。
1 正しい。対外資産負債残高は,一定時点において海外に対する債権債務関係を示したストックの統計である。企業会計の考え方を活用した貸借対照表(バランスシート)が使われており,期間中に発生した金融取引のほか,為替相場の変動や株価,債券価格の変動が反映される。対外純資産残高は,政府や企業,個人が海外に持つ資産から負債を引いた金額である。財務省「本邦対外資産負債残高」によると,日本の 2020 年の対外純資産残高は 356 兆 9,700 億円の黒字となっている。
2 誤り。国際収支は,ストックではなくフロー統計である。また,「経常収支+資本移転等収支-金融収支+誤差脱漏= 0」の原理が成り立つ。
3 誤り。第一次所得収支と第二次所得収支の記述が逆である。第一次所得収支は海外での資産から生じる収支のことであり,第二次所得収支は対価を伴わない資産の提供に係る収支のことである。
4 誤り。日本の国際収支状況をみると,2020 年は貿易収支が前年の約 20 倍増加し,3 兆 106 億円の黒字(前年は 1,503 億円の黒字)となった。輸出の落ち込み以上に輸入額が減ったことがその要因である。また,サービス収支は訪日外国人旅行者が減少したことから赤字額が膨らんだ(3 兆 7,357 億円の赤字,前年は 1 兆821 億円の赤字)。訪日外国人旅行者の減少はサービス収支を赤字化させる要因になる。経常収支は前年から17.3%(3 兆 3,316 億円)減少し,15 兆 8,790 億円の黒字となった。
5 誤り。WTO(世界貿易機関)の統計によると,2020年の世界の物品貿易量は前年に比べて 5.3 %の減少となった。地域別に輸入量の減少幅をみると,中東,南米,アフリカなど資源輸出国が集まる地域で減少幅が大きく,アジア,北米,欧州で減少幅が比較的小さかった。アジアでの輸入量の減少幅が他地域と比べて小さかった理由としては,中国をはじめ東アジアや東南アジアでは新型コロナウイルス感染者が欧米ほど増加せず,経済的なダメージが比較的小さかったことなどが挙げられる。
今回のポイントは国際収支に関しては項目ごとの定義とその項目に含まれる具体例をおさえた上で,直近の日本の国際収支状況を把握しておく必要があることです。