東京アカデミー松山校
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公務員の予備校、東京アカデミー松山校のくにかねです。
公務員試験の重要科目である「憲法」。
この憲法を勉強する上で外せないことが「最高裁違憲判決」です。
実は憲法の最高裁違憲判決は、たったの10例(2021年時点)。
この違憲判決を制する者が、憲法を制する第一歩なんですね。
さて、2022年5月25日に最高裁判所で違憲判決が下されました。
「在外邦人の国民審査の投票制限について」
必ず試験に出ますから、対策しておきましょう。
憲法第79条第2項にも定められている重要な規定です。
---------引用ここから---------
最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後初めて行はれる
衆議院議員総選挙の際国民の審査に付し、 その後十年を経過した後
初めて行はれる衆議院議員総選挙の際更に審査に付し、その後も同様とする。
---------引用ここまで---------
2021年の衆議院解散時にも行われた国民審査は
最高裁判所の裁判官がふさわしいかどうかを国民が審査する目的があります。
過半数の票が集まれば、その裁判官を解任することができる制度です。
今回の争点は、
国民審査の投票が海外に住んでいる日本人には認められていないという点です。
意外ですよね、日本人なのに投票ができないのは変な感じがします。
判決理由では
「国民主権の原理に基づき選挙権と同様の性質を持つ」と指摘し、
「国民審査法が在外国民に審査権の行使を全く認めていない」ことが、
憲法第15条(公務員の選定及び罷免権)と、憲法79条(最高裁判所の構成、国民審査)
に違反すると裁判官15人の全員一致の意見で結論づけられました。
これから次の国民審査までに法整備されることが期待されますね。
在外邦人の選挙権をめぐった争いが関連して出題されることが
予想されるので、これまでの違憲判決をもう一つ振り返ります。
2005年の最高裁違憲判決です。
これは、2000年に公職選挙法が改正されたときに
比例区のみ在外投票が可能になった規定が違憲だと判決が下されました。
それから2年後の2007年に公職選挙法の再改正がなされ、
選挙区・比例区両方に投票することができるようになりました。
選挙権・国民審査で違憲判決が下されるようになった背景に、
グローバル化が一番の要因になっていると考えられます。
外務省が発表している海外在留邦人数調査統計によると
令和4年版では、海外在住の日本人は130万人いることが分かります。
人口推移を見ても、海外に住んでいる日本人は年々増加しているため、
グローバル化が進む中、実情に合わない法律が存在していることも事実です。
毎年、何かの法律が変わっています。公務員試験でも法改正に関わる分野は要注意です。
最後に、国民審査に関わる問題にチャレンジしてみましょう。
次の文章は、最高裁判所判決の一節である。これを読んで空欄[ ア ]~[ ウ ]に正しい語を入れ、その上で、[ ア ]~[ ウ ]を含む文章として正しいものを、選びなさい。 最高裁判所裁判官任命に関する国民審査の制度はその実質において所謂[ ア ]の制度と見ることが出来る。それ故本来ならば[ イ ]を可とする投票が有権者の総数の過半数に達した場合に[ イ ]されるものとしてもよかったのである。それを憲法は投票数の過半数とした処が他の[ ア ]の制度と異るけれどもそのため[ ア ]の制度でないものとする趣旨と解することは出来ない。只[ イ ]を可とする投票数との比較の標準を投票の総数に採っただけのことであって、根本の性質はどこ迄も[ ア ]の制度である。このことは憲法第79条3項の規定にあらわれている。同条第2項の字句だけを見ると一見そうでない様にも見えるけれども、これを第3項の字句と照し会せて見ると、国民が[ イ ]すべきか否かを決定する趣旨であって、所論の様に[ ウ ]そのものを完成させるか否かを審査するものでないこと明瞭である。 (最大判昭和27年2月20日民集6巻2号122頁) 1.[ ア ]は、レファレンダムと呼ばれ、地方公共団体の首長などに対しても認められる。 |
正解は5番。ちょっと難しかったかもしれません。
この問題は、国民審査の性質を
「解職制度」とするか「任命行為」とするかの見解が書かれています。
これを踏まえると、
問題文ではア=解職、イ=罷免、ウ=任命という文字が入ります。
一方で選択肢では
1番のア=「国民投票」なので×
2番のア=「解職」なので×
3番のア=「選定」、イ=「罷免」なので×
4番のア=「罷免」なので×
5番のウ=「任命」なので○
となるわけです。これを本試験までに解けるようにする。
まだまだ時間はあります。しっかり試験対策していきましょう!
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