東京アカデミー東京校
ブログ
こんにちは。教員採用試験の予備校=東京アカデミーの福田です。
さて、今日は悪名名高い(?)給特法、即ち『公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法』改正について、取り上げたいと思います。給特法そのものは、多分試験には出ないと思います。
1971年に成立した給特法には、教員の働き方の特殊性を考慮し、時間外勤務・休日勤務手当を支給しない代わりに給料月額の4%を「教職調整額」として支給すると定められています。
「教職調整額」は1966年の文部省による教員の残業時間の調査に基づいて決定されましたが、当時の教員の平均残業時間は、1ヶ月約8時間でした。
しかし、文部科学省の最新の「教員勤務実態調査」(2016年度調査/2018年秋結果公表)で計算すると、10年前の第1回調査(2006年度)と比較して教員の勤務時間は伸び、過労死ライン(月80時間)を超える残業をしている教員は小学校で約30%、中学校で約60%にも上ります。
文部科学省「教員勤務実態調査」(平成28年度) ← Clickでリンク
文科省も危機感を抱き、今年1月には『新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(答申)』を公表しました。
教員の「自発的行為」とされてきた放課後の部活動指導や授業準備なども「勤務時間」とし、残業の上限は原則「月45時間・年360時間」とするガイドラインを定めました。
文部科学省:新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(答申) ← Clickでリンク
今年11月19日(火)に衆議院で、12月4日(水)に参議院で可決・成立した改正給特法では、このガイドラインを法的な拘束力のある指針に格上げし、自治体に遵守を求めています。
そして、皆さんも報道でご存じの通り、勤務時間を年単位で管理する変形労働時間制の導入が(2021年度から自治体ごとの判断により、条例を制定することで)可能になりました
繁忙期の勤務時間の上限を平均で週40時間を超えない範囲で引き上げる代わりに、夏休みなどの間に休日をまとめ取りできるようにする狙いがあります。
改正法では、制度を導入する学校で部活動を外部人材に委託するなど業務削減を進めているかどうかを教育委員会が確認するよう求め、残業上限時間を守らない学校の教員からの相談受付窓口の設置を促す付帯決議もつきました。
しかし、「夏休みも暇ではない」「学期中は遅くまで働くことが当然となるかも」「4~7月は働き詰めで、その疲れを夏だけで癒すのは非現実的」等、学校現場の評判は良くないようです。
普通に残業代が出るようにすれば良いのでは、という意見も当然あるでしょう。
2018年12月の朝日新聞で、
文科省の試算によると、教員の働き通りに「残業代」を支払う場合、1年間で少なくとも9千億円が必要だ。消費増税分の一部が、幼児や高等教育の無償化などに充てられることになり、「財務省から、さらに教育費で財源を引き出すことは困難になっていた」と、特別部会の部会長を務める小川正人・放送大学教授(教育行政学)は話す。
という記事もありましたが、『学校における働き方改革特別部会(第8回 2017年11月28日) 議事録』によると、文科省の財務課長が、
という主旨の答弁をされています。
まずは何とかして、教員の残業時間を減らさないことには、財源の手当てがつかないということなんですね(毎年会計検査院が指摘する通り、国の無駄な出費も多いでしょうが)。
実際、変形労働時間制だけでは解決しないでしょうし、心身の疲労で休職・退職する教員の存在を考えれば残業代が出れば解決でもないでしょう。
教員がやるべき業務とそうではない業務の仕分け、ICTの授業や事務への導入、事務スタッフの増員や事務専業部門の設立、スクールカウンセラー/ソーシャルワーカー・部活指導員など外部専門人材の登用等を進めていく必要があります。
教育委員会・学校・教員だけでなく、自治体として地域全体の教育力の向上や地域住民の学校への協力促進のための施策も不可欠になるでしょう。保護者が学校に関わる時間を増やそうと思えば、社会全体の変化も求められます。
今はどの教育委員会も働き方改革を叫んでいますが、それがどんな内容か、こちらは試験で出る可能性も多少あります。特に東京都の場合は、過去の出題傾向から考えて、教養試験で出題されても驚きません。
ちなみに、以前もブログでご紹介しましたが、東京都は『一般財団法人 東京学校支援機構(略称:TEPRO<ティープロ>)』を設立して、来年度から事務業務を教員の代わりに行うほか、外部専門人材と学校を繋いだり、ICT活用を支援したり、学校と教員をサポートする予定だそうです。教員の皆さんの負担が減れば良いですね。
一般財団法人 東京学校支援機構 ← Clickでリンク
大阪市では学校の事情に応じて「家庭訪問の保護者による希望実施制」「林間学校の短縮」「夏休みのプール開放中止」等が実施されているそうです。こういう施策に抵抗のある教員・教員志望の方もいらっしゃるかもしれませんが、教育的意義があるから何でもやるのではなく、優先順位を付けて取り組んでいくしかないのでしょう。
皆さんも志望先自治体の働き方改革の内容をチェックしておきましょう。
学校・教員はブラック - そう考えて教員志望を取りやめる方が増えると、さらに悪循環です。いろんなところで工夫・改善の動きは出てきているようですので、教員志望の方はぜひ初志貫徹で!
さて、東京アカデミーでは、現在1月から始まる対策講座のお申込みを受け付けております。一般選考で受験される方のためのコース、特例選考で受験される方のためのコース、一般選考で受験するけれども人物試験を重視したコース、専門試験対策短期講習などがあります。
特に、専門試験対策短期講習は1月スタートが最初で最後の募集です!ぜひ、この機会にご検討ください。
詳しくは、下記のリンクからご確認ください。
詳細はコチラ → 東京アカデミー東京校 教員採用試験対策講座
12/22(日)より、「来校キャンペーン」を実施しております。
詳細は下記をご覧ください。
【教員採用】ゼッタイ合格宣言Part3‼ 2020年記念の年に<来校キャンペーン> 受講料割引あり!
東京アカデミーは、教員を目指して頑張る貴方を応援します!