東京アカデミー京都校
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東京アカデミー京都校です。
今回は、特別支援教育についてお話します。
特別支援教育については、試験でも出題頻度の高い分野なのは皆さんもご存じだと思います。
直近3年分の全国で出題された教育原理の問題数の中で特別支援教育の分野は何番目だと思いますか?
学習指導要領、生徒指導に次いで第3位となっております。3年間で全国の出題数の合計は、学習指導要領では211問、生徒指導は175問、特別支援教育は168問となっていました。生徒指導とは僅差ですね!
この数字は教職教養の全分野においてもTOP3の出題頻度です。
そんな頻出度の高い特別支援教育ですが、今回は2021年6月に改訂された「障害のある子供の教育支援の手引~子供たち一人一人の教育的ニーズを踏まえた学びの充実に向けて~」について取り上げたいと思います。
それでは経緯を見て行きましょう。
2006(平成18)年に国連総会において採択された「障害者の権利に関する条約」が2008(平成20)年5月に発効した(日本は2007(平成19)年に署名,2013(平成25)年12 月に批准)。同条約では,障害のある子どもが障害のない子どもと共に教育を受けるという障害者権利条約のインクルーシブ教育システム構築の理念が示されており,それを踏まえ中央教育審議会初等中等教育分科会によりまとめられました。ここでは、障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組みであり,障害のある者が『general education system(教育制度一般)』から排除されないことを、自己の生活する地域において初等中等教育の機会が与えられること,個人に必要な『合理的配慮』が提供されること等を保証する教育システムの構築を提言しています。
以上を受けて、学校教育法施行令改訂が改正されました。
この改正では、通常の小学校・中学校・義務教育学校に就学するのが正当であるという前提のもとで,個々の教育的ニーズによって当該の小学校・中学校・義務教育学校で十分な教育・支援を行うことができない場合に,特別支援学校に就学するという転換が行われました。
学校教育法施行令改正に伴い、就学指導という在り方そのものが見直されたことをうけ、新たに「教育支援資料~障害のある子供の就学手続と早期からの一貫した支援の充実」がまとめられました。
一人一人の教育的ニーズに応じたインクルーシブ教育システムを構築していくための新しい特別支援教育の在り方について,新しい時代の特別支援教育の在り方に関して、当報告がまとめられ、これからの特別教育を進展させるための方向性として 下記の2つが提案されました。
①障害のある子供と障害のない子供が可能な限り共に教育を受けられる学びの場の整備,
②障害のある子供の自立と社会参加を見据え,一人一人の教育的ニーズに最も的確に応える指導を提供できるよう,通常の学級,通級による指導,特別支援学級,特別支援学校といった,連続性のある多様な学びの場の一層の充実・整備
この2021年1月の報告を受けて、就学支援の在り方についても、「教育支援資料」が見直され、早期からの教育相談・支援,就学相談・支援,就学後の継続的な教育支援の全体を「一貫した教育支援」と捉え直し,個別の教育支援計画の作成・活用等の推進を通じて,子供一人一人の教育的ニーズに応じた教育支援の充実を図ることを基本的な考え方として重要であると明記されています。
次回に、障害のある子供の教育支援の手引~子供たち一人一人の教育的ニーズを踏まえた学びの充実に向けて~(令和3年6月)の内容について触れていきます。
では改訂前の「教育支援資料」について教員採用試験ではどんな問題が出題されたのでしょうか。直近でも出題が見られます。
2021年夏実施では、岩手県、東京都、大阪府・大阪府豊能地区・大阪市・堺市からの出題がありました。出題としては序論、第3篇の障害についての定義からの出題でした。出題を見てみると、その目的や、述べられているポイントなどが出題されている印象です。次回は、「障害のある子供のの教育支援の手引き」についてお話します。