東京アカデミー京都校
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東京アカデミー京都校です。
前回では、「障害のある子供の教育支援の手引~子供たち一人一人の教育的ニーズを踏まえた学びの充実に向けて~」の経緯についてご説明しました。今回はその内容について触れていきます。この手引きは、333pとかなりボリュームが多く、別冊含めると363pにもなります。
一人でこれを読み込むとかなり大変ですよね。。このブログでは、ポイントをお伝えします。
学校教育は,障害のある子供の自立と社会参加を目指した取組を含め,「共生社会」の形成に向けて,重要な役割を果たすことが求められている。そのためにも「共生社会」の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進が必要とされている。
そのための環境整備として,子供一人一人の自立と社会参加を見据えて,その時点での教育的ニーズに最も的確に応える指導を提供できる,多様で柔軟な仕組みを整備することが重要である。小中学校等における通常の学級,通級による指導,特別支援学級や,特別支援学校といった,連続性のある「多様な学びの場」を用意していくことが必要である。
早期からの教育相談・支援,就学相談・支援,就学後の継続的な教育支援の全体を「一貫した教育支援」と捉え直し,個別の教育支援計画の作成・活用等の推進を通じて,子供一人一人の教育的ニーズに応じた教育支援の充実を図ること。
それぞれの子供の発達の程度,適応の状況等を勘案しながら,小中学校等から特別支援学校又は特別支援学校から小中学校等といったように,双方向での転学等ができること,新たに通級による指導の開始や終了ができること,特別支援学級から通常の学級への学びの場の変更ができることなどを,全ての関係者の共通理解とすることが重要である。また子供一人一人の障害の状態等の変化に応じて適切な教育を行うためには,就学時のみならず就学後も引き続き教育相談を行う必要がある。
合理的配慮は,子供一人一人の障害の状態等を踏まえて教育的ニーズの整理と必要な支援の内容の検討を通して,個々に決定されるものである。これを踏まえて,設置者及び学校と本人及び保護者により,個別の教育支援計画を作成する中で,発達の段階を考慮しつつ,合理的配慮の観点を踏まえながら,合理的配慮について可能な限り合意形成を図った上で決定し,提供されることが望ましい。その内容は,個別の教育支援計画に明記するとともに,個別の指導計画においても活用されることが重要である。合理的配慮の決定・提供に当たっては,各学校の設置者及び学校が体制面,財政面をも勘案し,「均衡を失した」又は「過度の」負担について,個別に判断することとなる。
基礎的環境整備の充実は欠かせない。そのため,必要な財源を確保し,国,都道府県,市区町村は,インクルーシブ教育システムの構築に向けた取組として,基礎的環境整備の充実を図っていく必要がある。さらに、特別支援学校以外の学校の基礎的環境整備の充実を図ることが重要である。同時に,基礎的環境整備を進めるに当たって,ユニバーサルデザインの考え方も考慮しつつ進めていくことが重要である。
6月18,19日に実施されました北海道・札幌市、高知県の教養試験では、本手引きについて両自治体1問出題がありました。北海道・札幌市、高知県ともに、第1編「障害のある子供の教育支援の基本的な考え方」からの出題でした。では予想問題を解いてみてください。
次の文は「障害のある子供の教育支援の手引~子供たち一人一人の教育的ニーズを踏まえた学びの充実に向けて~」(令和3年6月 文部科学省)で示されている「 早期からの一貫した教育支援 」の内容として適切でないものを①~⑤の中から選んでください。
①障害のある子供が,将来の進路を主体的に選択できるよう,子供一人一人の実態や進路希望等を的確に把握し,早い段階からの進路指導の充実を図ることが大切である。
②子供一人一人の障害の状態等の変化に応じて適切な教育を行うためには,環境の変化が大きい就学時に重点的に教育相談を行う必要がある。
③障害のある子供が,将来の進路を主体的に選択できるよう,子供一人一人の実態や進路希望等を的確に把握し,早い段階からの進路指導の充実を図ることが大切である。
④実際に進学した場合に必要な教育上の合理的配慮を含む支援の内容の整理等,子供一人一人の教育的ニーズを踏まえた早期の準備が必要である。
⑤特別支援学校では,個別の教育支援計画を活用し,本人及び保護者との共通理解を図りながら,小学部・中学部・高等部等で一貫性のあるキャリア教育を推進することが重要である。
いかがでしたか?答えは②です。
当手引き2篇 4章の4「継続的な教育相談の実施」に「子供の教育的ニーズの変化に応じた適切な教育を行うためには,就学時のみならず就学後も引き続き,保護者との教育相談を行う必要がある。」とあります。
「障害のある子供の教育支援の手引~子供たち一人一人の教育的ニーズを踏まえた学びの充実に向けて~」のPDFデータのURLを貼っておりますので、併せて確認してみてください。
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/1340250_00001.htm (文部科学省HPにジャンプします)