東京アカデミー池袋校
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まずは、論文試験の出来具合で1次合否が決まる特別区の経験者採用を取り上げてみましょう。
特別区経験者採用の1次試験では、教養試験の他に職務経験論文および課題式論文が課されます。(「児童相談所等での経験を求める採用試験・選考」を除く。)
注意すべき点は、1次試験の合格者が論文(2本)の総合成績で決定されるということです。教養試験の成績が一定点に達しないと論文は採点されないのですが、教養試験の成績自体は1次の合否とは無関係。つまり、1次試験・選考を突破するには、何よりも論文試験対策をしっかりと行わなくてはなりません。職務経験論文、課題式論文のそれぞれについて、受験にあたって留意すべきことをまとめておきます。
<職務経験論文>1200字以上、1500字程度 1時間30分
特別区経験者採用の職務経験論文のきわだった特色は、単に自らの職務経験について述べるだけではなく、「仕事の優先順位」「トラブル対応」など、日頃の仕事の進め方に関わるキーワードが毎回与えられるという点です。したがって、答案を作成するさいには、「仕事の優先順位」や「トラブル対応」などのテーマについて自らの見解を明確に示し、それを裏付ける経験や実績を具体的に述べていくようにする必要があります。
あと、2020年からは「採用区分における立場として論じてください。」という指示が加えられている点にも注意が必要です。「採用区分における立場」とは 1級職=係員、2級職=主任、3級職=係長(など)です。1級職で受験する場合には係員(チームの一員)の立場で論述すればよいわけですが、2級職以上で受けるのならあくまでチームーダー・サブリーダーの立場から述べなくてはなりません。取り上げるべき職務経験の内容が異なってくるので、くれぐれも気をつけてくださいね。
<課題式論文>1200字以上、1500字程度 1時間30分
2題中1題を選んで論述できます。特別区経験者採用の課題式論文は、課題文が長いⅠ類採用試験(大卒程度試験)での論文とは対照的に、例年、「〇〇〇について」という、ごくシンプルな論題。また、内容的にも、「少子高齢化」「情報化/デジタル化」「グローバル化」など、最近の社会環境の変化がもたらす具体的な課題について論述させるⅠ類の論文に対し、経験者採用の課題式論文では「行政運営のあり方」について書かせるものが多いと言えます。
したがって、経験者採用試験・選考を受けるみなさんは、「行政運営のあり方」に関連する主要なキーワードに着目してください。たとえば、「広報・広聴活動」「説明責任」「協働」「住民参加/住民参画」「行政の効率化(スリム化)」「コンプライアンス」「危機管理」……などなど。こうした種類のキーワードについて、しっかり論述できるように備えておくのが対策の基本でしょうね。
次に、東京都キャリア活用採用選考の論文試験についてです。
<論文>1000字以上、1500字程度 1時間30分
2016年以降、何らかの着眼点を示した上で「都が取り組むべきことは何か」を論述させるというスタイルが定着しています。ちなみに、「都が取り組むべきこと」に先立つ部分は「首都東京の防災力を高めるために」(2016年)「将来、東京の人口減少が見込まれる中で、東京が持続的な成長を続けていくために」(2018年)「誰もがいきいきと生活できる、そして活躍できる都市・東京の実現に向けて」(2019年)「環境との共生とデジタル化による利便性を兼ね備えた東京をつくっていくために」(2021年)など。とくに2021年は「環境との共生とデジタル化~~」と与えられた課題がかなり具体的。「環境」「デジタル」に関連する政策をある程度知っていないと書きようがないでしょう。
こうした出題傾向を考慮するなら、「『未来の東京』戦略」などの資料を読み込み、主要な政策課題ごとに都がどのような取組みを進めているのかをきちんと把握しておく必要は絶対あるでしょうね。