東京アカデミー池袋校
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こんにちは。東京アカデミー池袋校の公務員担当です。今回は、東京消防庁の取り組みの中でも特に力を入れている「重点施策」について、深掘りしていきたいと思います。
東京消防庁には6つの重点施策が掲げられています。詳細は東京消防庁ホームページ(https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/kk/priority/priority.html)をご覧いただきたいのですが、施策のスローガンとそのポイントが載っています。
それぞれの項目を詳細に見ていきます。
1.全庁一丸となった安全文化の醸成と活力ある職場づくり
<補足>
2019年1月、八王子市の住宅火災現場で消火活動中だった隊員が死亡する事故や、同年10月、台風19号の福島県内での救助活動中に東京消防庁のヘリコプターで吊り上げられた女性が約40メートルの高さから落下する事故が発生するなど、職員自身の安全管理能力が以前にも増して問われています。
そのような中、東京消防庁は今年4月、消防や救急の活動での重大事故を防ぐための専門部署「安全推進部」を新たに設置しました。約50人の部署で構成され、組織を横断し事故原因の検証や再発防止策の充実強化に取り組み、活動中のヒューマンエラー(人為的ミス)を減らすといった安全対策を推進するものです。消防の職務上での事故防止に特化した部署を創設するのは全国の消防本部で初の試みだということです。
2.あらゆる災害に安全・確実・迅速に対応できる消防活動能力の向上
<補足>
隊員一人ひとりの技術もそうですが、消防車や消防設備も日々進化し続けており、特に東京消防庁は、そのはしりとなることが多いです。
東京消防庁は2021年、全国の消防に先駆けて「トイレカー」を導入しました。長時間にもわたる消火や救助活動中、隊員たちは泥や煤(すす)を浴びた状態で公衆トイレを使用することを躊躇していました。大型トラックの荷台部分に男性用・女性用の便器が設置されているほか、手洗い用のシンクも完備されています。初年度である2021年度は44回出動し、静岡県熱海市の土砂災害現場にも後方支援として配置されたそうです。
3.一人でも多くの命を救うための救急活動体制の強化
<補足>2020年の東京消防庁管内の救急隊出動件数は、720,965件でした(前年比-104,964件)。また、救急搬送された方のうち初診医師により軽症(軽易で入院を要さない)と判断された割合は52.7%で半数以上を占めています(出典:東京消防庁「東京の救急」)。前年と比べ減少していますが、依然として高い水準が続いています。
4.都民との連携による地域防災力の強化
<補足>
総務省消防庁によると、2021年4月時点での消防団員数について、東京都、福井県、岐阜県では前年比で増加したものの、その他の43道府県では減少し、全国で約1万人の減少となりました。共助の一つとして、消防団の担うものは大きいと思われますので、消防団の意義や目的、活動内容などは調べておくと良いでしょう。また、活動のない団員に自治体から報酬が与えられたり、団員個人への報酬を消防団が再徴収したりなどの問題も取り沙汰されており、消防団を取り巻く情勢にも注意が必要です。
6.DXの推進と消防行政の質の向上
<補足>
2021年4月の東京消防庁トップである消防総監の交代により、DX(デジタルトランスフォーメーション)が強く推し進められるようになりました。それを象徴する出来事として、2021年のⅠ類1回目試験の論文のテーマにDXが出題されました。DXの取り組みとしては、東京消防庁公式アプリ、「あつまれ どうぶつの森」を活用した情報発信、Youtube東京消防庁公式チャンネルなどが挙げられます。
重点施策は、東京消防庁が重きを置いている政策だけあって、採用試験でもしばしば問われてきます。
論文試験では、2017年度2回目試験で「資料『最近1年間で防火防災訓練に参加したことがない最も大きな理由』から読み取れる課題を2つあげ、その対応策についてあなたの考えを具体的に述べなさい。」がテーマで出されています。これは重点施策の4に該当します。また、2020年度試験は、「資料を読み取り、行政機関が発信する情報を都民に広く周知するための効果的な方法を考え、具体的に述べなさい。」のテーマで、これも重点施策の6に該当しています。
面接試験では、2018年度の1回目で「公務員の不祥事についてどのように思うか」や「消防学校で規律を守らない人がいた場合どうするか」や「なぜ歩きスマホはいけないのか」、2021年度の1回目で「どうすれば不祥事を防げるのか」などの倫理・マナーについての質問がされています。これは重点施策の1です。
重点施策を熟読するだけでも、論文や面接の対策につながることがわかったと思います。施策から、東京消防庁が現在抱える課題点も明らかになっていますので、みなさんが東京消防庁で働く上での抱負や目標を考えるヒントにもなりうると考えます。ただし、消防行政に関わる出来事があった時には、重点施策に変更が加わります。東京消防庁のホームページをこまめにチェックしておきましょう。