東京アカデミー高松校
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こんにちは、教員採用試験対策の予備校、東京アカデミー高松校の教員採用試験対策担当:石井です。
前回10/7に引き続き、今回も高知県教員採用試験で頻出の資料について紹介及び押さえておきたいポイントをまとめていきます。今回は、高知県教育委員会 人権教育・児童生徒課が作成した『Let’s feel じんけん』についてです。
高知県における人権教育は、同和教育の歴史を継承しながら取り組まれ、「差別の現実から深く学ぶ」ことをスローガンとして行われてきました。そしてそれらの成果のまとめとして、平成12年に人権教育指導資料(学校教育編)「Let’s じんけん」が発行されました。その後、新たな課題を踏まえ、新たな手法を加えながら、平成17年には改訂版、平成24年にはさらに改訂を重ね「Let’s feel じんけん~気付きから行動へ~」が発行されました。そして、生命・身体の安全に関わる事象や不当な差別による様々な人権課題(子どもの貧困、児童虐待、いじめ、在日外国人に対する差別扇動、インターネットによる人権侵害等)が生じるなか、平成30年3月に『Let’s feel じんけん~気付きから行動へ~平成30年改訂版』発行、その実践・指導事例集が令和3年3月に発行されています。現在のところ、実践・指導事例集が最新の資料となります。
高知県では5年に1度、「高知県人権施策基本方針-第1次改定版-」に基づき、人権に関する県民意識調査を行っています。現在、直近の調査は平成29年度のものが最新ですので、その結果についてまとめると、
となり、「すべての児童・生徒が、『自分や他人の人権』について考えるような教育を進める」こと、「『差別をすることは悪いことである』という意識を持たせる教育を進める」の2点が強く望まれていることが分かります。また、今後必要なことには、
「学校教育や社会教育を通じて、人権を尊重する教育活動を積極的に行う」と回答した割合が最も高く、次に「行政が人権尊重の視点に立って、県民の人権意識の高揚に向けた啓発活動や様々な施策を積極的に行う」が高くなっています。他にも、「公務員など人権に関わりの深い職業に従事する人の人権意識を高める」の割合は増加してきています。
高知県では、人権学習の手法として、(1)どのような内容について取り組むのかという普遍的・個別的な視点と、(2)どのような資質や能力を育てていくのかという資質・能力の側面の2つを大切にして進めていくことを示しています。
この2つに関しては、それぞれが独立した考え方、取組ではなく、お互いに関連し補強し合う関係であると捉えています。そして最終的には「自他の人権を守る実践行動」に繋げていくことが目標ですので、意見づくりの際、どちらか一方を重視するのではなく、目標を達成するために必要な学習の組み立て方であると捉えておきましょう。また、(2)どのような資質や能力を育てていくのかという資質・能力の側面について、知識的側面(知識)、価値的・態度的側面(態度)、技能的側面(技能)の3つの側面としてとらえること、としています。
ここで、私が教採担当として受験生に押さえてほしいと思っていることは、知識的側面(知識)についてです。教員を目指される皆様は子ども思いで、面倒見がよく、温かい人柄の人が大半です。一方で、人権に関する知識について例えば、HIV 感染者・ハンセン病患者、高齢者、インターネットによる人権侵害、女性、同和問題、アイヌの人々、権利と義務、個人の責任、法と規範、などについては、面接の意見づくりの中ではなかなか見受けることができません。このような知識を意見づくりに意図的に入れていくことが面接対策に繋がり、教師としての専門性を高くアピールすることができると推測します。
以上、今回は、高知県教育委員会 人権教育・児童生徒課が作成した『Let’s feel じんけん』について大切なポイントをまとめてみました。人権は生徒指導と大きく関連しますので、改訂版の生徒指導提要も熟読し、幅を広げておくとさらに良い意見づくりができると思います。
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