東京アカデミー長崎校
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10/27に文部科学省より発表されました、令和3年度『児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果』について、重要ポイントをまとめていきたいと思います。
〇いじめ
小・中・高等学校及び特別支援学校におけるいじめの認知件数は615,351件(前年度517,163件)であり、前年度に比べ98,188件(19.0%)増加。児童生徒1,000人当たりの認知件数は47.7件(前年度39.7件)。
令和2年度は全校種で大幅な減少となったが、令和3年度では全校種で再び増加となった。
いじめの重大事態の件数は705件(前年度514件)であり、前年度に比べ191件(37.2%)増加した。
令和3年度は新型コロナウイルス感染症の影響が続き、感染を予防しながらの生活となったが、部活動や学校行事などの様々な活動が徐々に再開されたことにより接触機会が増加するとともに、いじめ防止対策推進法におけるいじめの定義やいじめの積極的な認知に対する理解が広がったことなどで、いじめの認知件数が増加した。
年度末時点でのいじめの解消状況については、493,154件(80.1%)となっており、早期発見・早期対応ができた件数も多くなっている。
いじめの積極的認知により、早期に対応することで、重大事態に至る前に未然防止することが重要であるが、いじめ防止対策推進法に基づき、取り上げるべきものは適切に取り上げなければならない。
ここで、長崎県の認知件数を確認してみると、
全国平均47.7件よりも低い14.3件となっています。この点をみれば、現場の取り組みにおいて一定の成果が出ているのではないかと考える一面もありますが、【児童生徒課長通知】の『いじめを認知していない学校にあっては、・・・解消に向けた対策が何らとられることなく放置されたいじめが多数潜在する場合もあると懸念している。』というコメントも考慮したうえで、予断を許さない状況だと捉えることが大切であると考えます。
また、注目したいデータとして、「いじめが解消された」状態についてみておきたいと思います。いじめが解消された状態とは、
いじめに係る行為の解消;被害者に対する心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)が止んでいる状態が相当 の期間継続していること。この相当の期間とは,少なくとも3か月を目安とする。ただし,いじめの被害の重大性等からさらに長期の期間が必要であると判断される場合は,この目安にかかわらず,学校の設置者又は学校いじめ対策組織の判断により,より長期の期間を設定するものとする。
被害児童生徒が心身の苦痛を感じていないこと;いじめに係る行為が止んでいるかどうかを判断する時点において,被害児童生徒がいじめの行為により心身の苦痛を感じていないと認められること。被害児童生徒本人及びその保護者に対し,心身の苦痛を感じていないかどうかを面談等により確認する。
の2点が満たされていることが最低限の条件であり、それであっても、「必要に応じ,他の事情も勘案して判断するものとする。」とされています。そのように厳しく判断される『解消された』状態ですが、その割合は昨年度よりも上昇しており、 80.1%(前年度 77.4%) となっている点は、現場の先生方の取り組み、チーム学校としての連携などの成果だといえるのではないでしょうか。
今回は「いじめ」について確認しました。上記以外にもいじめの様態やいじめ発見きっかけなどについて、データをしっかりと押さえておきましょう。