東京アカデミー高松校
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こんにちは、教員採用試験対策の予備校、東京アカデミー高松校の教員採用試験対策担当:石井です。
6/1よりWEB採点を開始した『23教育時事確認テスト』ですが、多くの方に実施していただき、貴重なデータを得ることができましたので、実施された方に向けた中間報告をまとめたいと思います。※問題のネタバレ含みますので、必ず解答してから読むようにご注意ください。
【6/11 23教育時事確認テスト 設問別解答率】
【解説】
全問の正答率が70%を超えており、レベル的、内容的に学習価値の高い問題であるといえます。正答率が60%を割ると、難易度が高いと考えられますし、正答率が90%を超えると簡単すぎます。難易度が高すぎても低すぎても学習意欲は持続しませんので、この問題については適度に学習モチベーションを保ちながら取り組むことができたのではないでしょうか。これからは試験日までは時間との戦いになると思いますが、効率よく学習に取り組むには、こういった意欲が持続する問題を選ぶことが大切になってきます。
2023年の試験に出題が予想される「次期教育振興基本計画について(答申)」(2023(令和 5)年 3 月 8 日 中央教育審議会)の問題は1、2が対象となっています。この2問を見てみると、どちらも正答率50%台とやや難易度が高かったようです。問題2は選択肢別解答率をみると、誤答が一つの選択肢に集まっている様子がないため、正答を暗記することで解決すると思われます。
問題1においては、本文中の『(1)2040 年以降の社会を見据えた持続可能な社会の創り手の育成 』『(2)日本社会に根差したウェルビーイングの向上』からの引用となっていますが、どちらも次期教育振興基本計画の重要なコンセプトですので必ず押さえておきたいポイントです。
誤答されているところで気になる点は、「 Society 5 . 0 においてどのような資質能力をもつ人材が期待されているか?」についての理解です。「主体性」、「リーダーシップ」、「創造力」、「課題設定・解決能力」、「論理的思考力」、「表現力」ときて最後に挙げられているのが、「チームワーク」です。この「チームワーク」こそが、日本社会に根差したウェルビーイングの特徴である利他性、協働性、社会貢献意識など、人とのつながり・関係性に基づく要素(協調的要素)を表すもので、教育を通じて向上させていくことが重要とされています。この部分の誤答として『プログラミング能力』がありますが、確かに Society 5 . 0社会をイメージさせるものですが、文部科学省はこれまでプログラミング能力を育成することを目的とした教育ではなく、「プログラミング的思考」「情報活用能力」の育成を掲げてきました。「プログラミング能力」はその技術や手法が変われば時代により変化していくものです。そのように変化するものを資質能力と捉えるのではなく、プログラミング的思考力や行動力、情報及び情報手段を主体的に選択し、活用していくための個人の基礎的な力は、時代を超えて普遍的に求められる資質・能力であると捉えていることをしっかり押さえておきましょう。
最も正答率の低かった問題は、12の『人権教育を取り巻く諸情勢について~人権教育の指導方法等の在り方について[第三次とりまとめ]策定以降の補足資料~(2022(令和 4)年 3 月改訂 学校教育における人権教育調査研究協力者会議)』です。奈良県、岐阜県、高知県、大阪府 ・ 豊能地区 ・ 大阪市 ・ 堺市、名古屋市で2022年夏に出題されています。また、2023年3月に、
といった主に3点について改訂が追加されていることから、2023年夏の出題が大いに予想されます。
この問題については、正答の解答率を誤答のそれが上回っていることが大きな特徴です。正答と誤答の違いは、( C )が「判断力」か「実践力」かだけですので、ここを「判断力」とした人が多かったという結果になっています。誤答した理由としては、直前にある「意欲・態度」の部分が、学習指導要領にある学力の3要素「知識・技能」「思考⼒・判断⼒・表現⼒」「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度(主体性・多様性・協働性)」を連想させ、その中にある「判断力」を解答にしたのかもしれません。
この資料の基となる人権分野の頻出資料「人権教育の指導方法等の在り方について(第三次とりまとめ )」(2008年3月 人権教育の指導方法等に関する調査研究会議)に立ち返って、
人権教育の目的を達成するためには、まず、人権や人権擁護に関する基本的な知識を確実に学び、その内容と意義についての知的理解を徹底し、深化することが必要となる。また、人権が持つ価値や重要性を直感的に感受し、それを共感的に受けとめるような感性や感覚、すなわち人権感覚を育成することが併せて必要となる。さらに、こうした知的理解と人権感覚を基盤として、自分と他者との人権擁護を実践しようとする意識、意欲や態度を向上させること、そしてその意欲や態度を実際の行為に結びつける実践力や行動力を育成することが求められる。
の部分をしっかり押さえておくとよいでしょう。
今回は、『23教育時事確認テスト』の結果をみて気付いたことをまとめてみました。試験日が近づくにつれ、焦る気持ちや不安な気持ちがこみあげてくるものだと思います。そういった気持ちになることは悪いことではなく、むしろ普通のことです。ただ一歩、前に踏み出す意欲を高め、試験当日の自分自身に、「あの時意欲をもって勉強してくれてありがとう」といってもらえるようにベストを尽くしてほしいと思います。
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