東京アカデミー東京校
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皆さんこんにちは。
公務員試験の予備校=東京アカデミー 公務員担当です。
今回は、【行政法の傾向と対策】についてお話しします。
受験職種等により多少前後いたしますが、専門科目分野として概ね全40問の解答数となる中で、
行政法においては、例年5問程度出題されており、公務員受験を目指す以上、避けては通れない科目になります。
また、公務員になってから使う法律になりますので、しっかりと学びましょう。
◇総評
行政法全般について、細かい規定まで出題される可能性があります。
そのため条文をつねに参照し、重要判例を事案・結論について、正確に理解する必要があります。
◇試験別傾向
国家般職、地方上級ともに、取消訴訟等の行政事件訴訟関連の出題が多く見られます。
国家一般職は各分野から幅広く出題があります。地方上級は長や議会、住民の権利関連の出題が多いため注意が必要です。
◇分野別傾向
【行政行為】
行政行為では行政行為の効力が問われます。
独立の問題としては出題が少ない傾向ですが、行政行為の拘束力・公定力・不可争力・不可変更力・執行力という
5つの効力の概念が正誤に関わってくる問題が多いので注意しましょう。また瑕疵ある行政行為も問われやすいです。
取消し・撤回の効果、取消し・撤回権者といった点に注意しましょう。また行政行為が無効とされた判例を見ておくようにしましょう。
【行政上の強制措置】
行政の強制措置では、行政代執行法が中心となります。
行政代執行法は全部で6か条しかないため、一度通読しましょう。
【その他の行政作用形式】
行政立法、行政契約、行政指導が出題されやすい傾向です。
行政立法では「法規命令」と「行政規則」を押さえましょう。
判例としてはマクリーン事件(最大判昭53.10.4)、パチンコ玉遊器課税事件(最判昭33.3.28)、
監獄法事件(最判平3.7.9)などを確認しましょう。
行政契約については、民法の解除に関する規定を直ちに適用されないという点に注意する必要があります。
行政指導については、指導の処分性についての判例に注意しましょう(最判平17.7.15)。
なお、行政手続法は2014年改正で、①権限濫用型行政指導の明確原則(35条2項)、
違法な行政指導の中止を求めることができる規定(36条の3第1項)が新設され、2019年の地方上級で出題されています。
【行政手続法】
条文の知識が問われます。「申請に対する手続」「不利益処分手続」「行政指導手続」「意見公募手続」を中心に学習しましょう。
最頻出分野の一つです。国家一般職・地方上級ではほぼ毎年出題されています。
【情報公開法・個人情報保護法】
情報公開法及び個人情報保護法の条文がストレートに問われてくるので、条文を一読しておく必要があります。
【国家賠償】
国家賠償は、権力的活動に対する国家賠償(国家賠償法1条)が中心に出題されます。
判例の知識を問う問題がほとんどで、参考書や教科書に載っている重要判例はすべて押さえておく必要があります
(最判昭31.11.30、最判昭57.4.1、最判昭58.2.18、最判昭60.11.21、最判平5.3.11、最大判平17.9.14、最大判平27.12.16ほか多数)。
【行政不服申立て】
行政不服審査法の手続き規定が直接出題されています。
不服申立ての種類やある特定段階の手続きについて問うというよりも、手続き全体の理解ができているかが問われています。
総合問題という形が多いです。細かい条文も出題されるので注意しましょう。
【行政事件訴訟法】
行政事件訴訟法は、判例の理解を問う問題が多い傾向にあります。訴訟要件ごとに重要判例を押さえましょう。
特に「処分性」「訴えの利益」については、多くの判例があるため、事案と結論を押さえることが必須です。
また、条文の知識も問われます。訴訟類型についても押さえましょう。
条文を参照しつつ、参考書や教科書に載っている重要判例はすべて押さえておくと良いです。
【行政組織】
国家一般職での出題はあまり多くありませんが、地方上級では頻出です。
地方公共団体の地位・事務に関しては議会や長に着目し、勉強しましょう。
住民の権利は特に直接請求制度について、その要件などが問われます。
地方自治法の改正等、最新の変更点が出題されることが多いので注意が必要です。
出題される場合には、長と議会の関係や議会の機能が問われます。
あまり細かい条文は問われませんが、地方自治法、地方公務員法は参照しておく必要があります。
本ブログが皆さまの受験のお役に立てば幸いです。
東京アカデミーは公務員を目指す皆さまを応援します。