東京アカデミー東京校
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皆さんこんにちは。東京校教採チューターの後藤です。
今回は教職教養内の「教育課程」と「カリキュラム」についてお話しさせていただきます。
これらは、教育の目的や目標の達成のために作成される計画です。
授業作成のためには必須事項であり、本時を作る際には単元を、単元を作るには年間指導計画に反映させていくことが必要になります。
『教育課程=カリキュラム』のことであると考える方が多いかと思われますが、実はこの二つは学術的には別の概念です。
まず、『教育課程』というのは、学校教育の目的や目標を達成するために、教育の内容を児童(生徒)の心身の発達に応じて授業時数との関連において総合的に組織した学校の教育計画です。
そのため、教育課程を作成するのは各学校です。
一方、『カリキュラム』というのは教師の指導と児童生徒の学びにかかわるすべての経験内容であり、教育課程を含む、あらゆる教育活動であるといえます。
そのため、教育課程が実質陶冶(教科の目標や内容の理解など)であるのに対して、カリキュラムは実質・形式陶冶(人間関係や環境、教員のふるまいなどから生徒が学ぶことなど)でもあるということ=隠れたカリキュラム(ヒドゥン・カリキュラム)も含まれるのです。
つまり、カリキュラムの中に、教育課程が存在するということです。(カリキュラム>教育課程)=カリキュラムのほうが広義なのです。
しかし、通常使われるカリキュラムは教育課程路ほぼ同義で使われるので、皆さんはカリキュラムと教育課程は本来別のものであると頭に入れていただいて、でも使われている多くは同義ですよ、と考えてもらえればいいかと思います。
セサミでのカリキュラムの扱われ方も、教育課程と同義の単語として扱われています。そのため、カリキュラムの歴史的な流れや、教科間のカリキュラムなど、多くのカリキュラムが出ますが、教育活動内での課程であると思ってください。
例えば、
一教科のみは「教科カリキュラム」、
地理と歴史、科学と物理、のような関連する教科内で関連付けて行うものを「相関カリキュラム」、
地理・歴史・公民など、関連する教科を全て融合したものを「融合カリキュラム」と言います。
一方、地理・理科・家庭科など教科間で連携したものを「クロス・カリキュラム」と言います。
これらとは考え方を変えて、子供たちの経験を重視し、経験や生活上の課題を解決することを主眼にした学びを「経験カリキュラム」と言います。
これは、デューイの『経験主義』が大きく作用していると言えるでしょう。
一時期はこの経験主義的な考え方は「知識を軽視」「系統性が無い」などと言われてしまい知識注入主義を興隆させましたが、現在は授業と実社会の関係・切実性(社会レリバンス)を意識して、子供を大人社会へ参入させる学びが重視されています。
これらは統一試験にも反映される予定です。
ところで、皆さんはカリキュラムと聞いてすぐに思いつくのは『カリキュラム・マネジメント』ですよね!!
特に新学習指導要領では重視されていて、教育の目標を効果的に達成するために教科横断的な学習が必要とされる中、それを実現するにはカリキュラムを常時マネジメントして、<PDCAサイクル>を回していくカリキュラム・マネジメントが大変重要です!
(PDCAサイクルとは、カリキュラムや実施した物事に対して、Plan(企画)-Do(実施)-Check(評価)-Action(改善)の一連の流れを通して改善していくことで、経済界から輸入された言葉です。)
なお、最近はPDCAサイクルのPの前にR(Research:調査)を加えた、《R-PDCAサイクル》が行われ始めています!!
さらに、米国軍人式思考方法である<OODAループ>というものも着目され始めています。これは、「観察(Observe)・方向付け(Orient)・決心(Decide)・実行(Act)」の流れを繰り返すループです(ウーダループと呼ばれます)。
では皆さん、また今度👍