東京アカデミー大阪校
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面接練習において、「〇〇市の魅力を3つあげてください」という質問を受講生によく投げかけます。すると「利便性が良いところです」といった回答が1つ入っていることが多い印象です。受講生が考える利便性の正体は一体なんなのかと言うと、、、たいていは「鉄道網」が充実しているかどうかです。確かに、大阪校受講生が多く居住する京阪神間は全国でも屈指の鉄道利便性を誇る地域です。京阪間(JR・阪急・京阪)、阪神間(JR・阪急・阪神)のともに狭小な地域に3本のもの路線が走っています。
今回は、まちづくりにおいて大きな役割を担う鉄道を、行政的な視点で取り上げたいと思います。
◆まちづくりに直結!?見直される路面電車
現在全国のどの都市に路面電車が走っているかご存じですか!?(大津市の京阪京津線等、一部区間に1㎞以下の路面区間を含むケースは除く)
札幌市・函館市・宇都宮市・東京都・高岡市・富山市・豊橋市・福井市・堺市・岡山市・広島市・高松市・高知市・松山市・長崎市・熊本市・鹿児島市に走っており、青字のものは公営の路面電車です。1970年代頃までは、大阪市や京都市、名古屋市等の大都市においても市電の愛称で大規模な公営路面電車が走っていました。大まかな路面電車の盛衰の歴史は以下のとおりです。
1895年 京都で初の路面電車が開通
1932年 路面電車の全盛期!全国67都市、83事業者、路線延長1,479kmとなる
1960年代半ば~ モータリゼーションの進展により衰退
2000年代後半~ LRT化によりまちの交通手段として見直す自治体も
2010年代後半頃より、路面電車をまちの重要な交通手段として見直す動きが出てきています。富山市や福井市では既存の路線同士を結合し、利便性を高める取り組みを行いました。
また最近のトピックとしては、宇都宮ライトレールの開業でしょう。国内での路面電車の新規開業は実に75年ぶりの出来事です。開業から1周年を迎えましたが、利用者数は当初の予想を上回り順調に推移しています。
実際に乗車してみると、まちづくりと路面電車の密接なつながりが見えてきました。
低床車なので高齢者や車いすの方、ベビーカーでもスムーズに乗り降りが可能です。多様な方が利用しやすい移動手段となっています。また実際に乗車してみると、とても揺れが少ない、静かな印象でした。
ライトレールの沿線では、高層マンションや商業施設等の建設が進んでいました。
宇都宮市では、コンパクトシティをいくつかつくっていき、その中に、高齢者が車の運転ができない社会が訪れたとしても移動ができる利便性の高いデマンドタクシー等の地域内交通を整備する、そしてそれぞれのコンパクトシティを公共交通、バスや鉄道あるいはLRTといった路面電車等で結びつけるまちのあり方=ネットワーク型コンパクトシティという構想を掲げています。
沿線には大規模な工場が隣接しているため、通勤手段においても自動車からライトレールへの移管が進み、渋滞が減少しています。環境にやさしい移動手段として、企業も通勤利用を推進しています。
みなさんもぜひ、まちづくりの視点から路面電車に乗ってみてはいかがでしょうか。
次回、利便性ってなに!?鉄道を考える(後編)では以下の3点について紹介する予定です。
ご期待ください!
・利便性確保のために自治体が鉄道会社の株主に!?
・リニア新幹線の役割は!?
・新幹線は2種類ある!?新幹線と整備新幹線の違い
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