東京アカデミー立川教室
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こんにちは、東京アカデミー立川校の国家試験担当です。
東京アカデミーでは、第35回国家試験に向けた対策講座を実施しております。前回7月6日のブログでは「合格するための学習方法」をお伝えいたしましたが、本日は過去問を取り上げて、より具体的に国家試験の学習方法をイメージしていただきたいと思います。前回に引き続き立川校・横浜校で通学講座を担当している上村講師の解説です!
★上村講師より★
第34回の国家試験から3問ピックアップしてみました。この3問はほとんど同じ話を別の言い方で聞いているだけです。きちんと理解して、頭の中に整理できていれば簡単ですが、教科書を読んで、ノートをまとめているだけの人にとっては難しい問題だと思います。すべての選択肢に解説をつけましたので、問題を解いて、解説を読んでみて下さい。単なる暗記では正答にたどり着けないことがお分かりいただけると思います。
71 血糖とその調節に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
(1)筋肉グリコーゲンは、血糖維持に利用される。
(2)インスリンは、筋肉への血中グルコースの取り込みを抑制する。
(3)健常者の血糖値は、食後約3時間で最高値となる。
(4)糖新生は、筋肉で行われる。
(5)アドレナリンは、肝臓グリコーゲンの分解を促進する。
(1)× グリコーゲンは、肝臓と筋肉に貯蔵されています。グリコーゲンをグルコースに戻す時、最終的にグルコース6ホスファターゼが必要になります。筋肉の細胞にはグルコース6ホスファターゼがないので、筋肉グリコーゲンは血糖維持には利用されません。「筋肉にはグルコース6ホスファターゼがない」という知識があれば、筋肉では糖新生は行えないという話も理解できるはずです。
(2)× インスリンは「食後」「合成」「取り込み」などがキーワードになります。筋肉など、細胞へのグルコースの取り込みを促進します。その結果、血糖値が下がるわけです。
(3)× 健常者の血糖値は、食後30分~1時間で最高値となり、2時間くらいで正常値の100ng/dL程度に落ち着きます。
(4)× 糖新生は肝臓や腎臓で行われます。筋肉で糖新生は行えません。なぜだかわかりますか?(1)の解説をもう一度読んでみて下さい。
(5)○ 食後の代謝に関わるホルモンがインスリンだけなのに対して、飢餓時の代謝に関わるホルモンは、アドレナリン、ノルアドレナリン、グルカゴン、成長ホルモン、コルチゾールなどたくさんあります。いずれにしても飢餓時の代謝のキーワードは「分解」です。まとめると、「食後は合成、インスリンだけ」「飢餓時は分解、インスリン以外のホルモン」です。
72 たんぱく質とアミノ酸の代謝に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
(1)過剰なたんぱく質の摂取は、アミノ酸の異化を抑制する。
(2)ロイシンは、体たんぱく質の合成を抑制する。
(3)インスリンは、体たんぱく質の合成を抑制する。
(4)絶食時には、体たんぱく質の合成が抑制される。
(5)アルブミンは、トランスサイレチンより代謝回転速度が速い。
(1)× 単純な理解として、たんぱく質は摂れば摂るほどよいというわけではないということです。たんぱく質は体内で常に合成と分解を繰り返してちょうどいい状態をキープしているので、過剰に摂取したたんぱく質は分解されて窒素になります。よって、たんぱく質を過剰に摂取したからといって、アミノ酸の異化を抑制することにはならないといえます。
(2)× アミノ酸の中でも、バリン、ロイシン、イソロイシンのBCAA(分岐鎖アミノ酸)は筋肉の合成に必要です。その中でも特にロイシンが重要な役割を担っていることがわかっています。激しい運動を行うと筋繊維が損傷しますが、その損傷を修復する働きがあるのが、体内でロイシンから合成されるHMB(β-ヒドロキシ-β-メチル酪酸(β-hydroxy-β-methylbutyrate))という物質であると考えられています。科学的根拠はまだまだ乏しいと思いますが、このHMBはサプリメントとして色々なメーカーから発売されています。
(3)× 食後の代謝に関わるホルモンはインスリンだけです。「食後は合成、インスリンだけ」「飢餓時は分解、インスリン以外のホルモン」です。
(4)○ (3)の選択肢と全く同じところを別の視点から聞いているだけです。単純に、飢餓時(絶食時)には分解が進みますが、それを促すのは、インスリン以外のホルモン(グルカゴン、アドレナリン、コルチゾールなど)です。分解が進むということは、合成は抑制されるわけなので、当然のことながら体たんぱく質の合成は抑制されます。
(5)× 覚えるだけです。アルブミンの半減期は2~3週間、トランスサイレチンの半減期は2~3日です。代謝回転速度はトランスサイレチン(プレアルブミン)のほうが速いです。代謝回転速度の速いたんぱく質を、急速代謝回転たんぱく質(ラピッドターンオーバープロテイン:RTP)といい、短期間の栄養状態の指標として利用されます。レチノール結合たんぱく質(半減期0.5日)、トランスサイレチン(半減期2~3日)、トランスフェリン(半減期7日)の3つなので、名前だけでなく、半減期までしっかり覚えておきましょう。
74 空腹時の脂質代謝に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
(1)脂肪組織では、リポたんぱく質リパーゼの活性が上昇する。
(2)脂肪組織では、トリグリセリドの分解が抑制される。
(3)肝臓では、脂肪酸の合成が促進される。
(4)肝臓では、エネルギー源としてケトン体を利用する。
(5)筋肉では、エネルギー源として脂肪酸を利用する。
71番、72番と結局は同じことを聞いている問題です。「食後の代謝」と「飢餓時の代謝」です。
(1)× リポたんぱく質の活性が上昇するのは、「食後」です。「空腹時」には、ホルモン感受性リパーゼの活性が上昇します。ただ言葉で覚えてもだめなので、セットできちんと理解しておきましょう。理解できれば簡単です。
(2)× 「分解が抑制=合成が促進」なので、「食後」の代謝です。
(3)× 脂肪酸の合成が促進されるのは「食後」です。
(4)× 空腹時には、脂肪酸が分解されます(脂肪酸のβ酸化)。その際、ケトン体と呼ばれる物質が発生します。大まかな流れとしては、「脂肪酸→アセチルCoA→ケトン体」となりますが、ケトン体は「ケトン体→アセチルCoA→TCAサイクルへ」というイメージでエネルギー源として利用することができます。肝臓にはケトン体をアセチルCoAに戻す酵素がないため、肝臓では、ケトン体をエネルギー源として利用することはできません。「飢餓時には脳はケトン体をエネルギー源として利用できる」という文章が有名ですが、ケトン体は肝臓以外の細胞でエネルギー源として利用できます。
(5)○ 空腹時には、脳以外の細胞では脂肪酸をエネルギー源として利用することができます。空腹時でも脳は脂肪酸を利用することはできません。さらに、空腹時に限らず、赤血球は脂肪酸をエネルギー源として利用することはできません。これも、ただ覚えるだけではなく、なぜそうなるのかを考えてみてください。
いかがでしたか?学習方法は様々ですが、ご参考いただけるものがありましたら皆さんの国家試験対策に取り入れてみてください。
東京アカデミーでは、8月に横浜校、東京校(新宿)で夏期講習を実施いたします。オンライン生講義(ZOOM)での実施となりますのでご自宅からご参加いただく事ができます。国家試験のポイントとなる内容を丁寧に解説いたしますので是非ご受講ください。
★夏期講習
人体・疾病/基礎栄養学/臨床栄養学の3科目を関連付け、代表的な疾患と病態のメカニズムの理解を深めます。
↓夏期講習日程
横浜校:8/2(日)、8/16(日)、8/30(日) 10:00~17:15 (上村講師)
東京(新宿)校:8/10(月・祝)、8/15(土)、8/22(土) 10:00~17:15 (大津講師)
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