東京アカデミー横浜校
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こんにちは。公務員試験の予備校=東京アカデミー横浜校の公務員担当です。
今日は一昨日、1次試験実施の東京特別区について、
昨日、東京アカデミーでは解答速報会を実施しました。
参加された皆様、ありがとうございました。
今日は、今年出題された特別区の民法の問題についてお話しします。
先日のブログで、
改正されたところで出題が予想された分野=保証、相殺、賃貸借の出題はありましたが・・・
改正(変更)箇所からの出題はなく(あると言えば、そう言えなくもないのですが)、
旧法を知っていれば解ける問題でした。
リベンジ組の受験生への配慮でしょうか。
と書きました。その理由も問18を使ってお話しいたします。
No.18は、「民法に規定する賃貸借に関する記述として、判例、通説に照らして、妥当なのはどれか。」という問題でした。
問題を掲載することは著作権の問題もあるため、各肢の解説を書きますネ!問題は、後日、特別区のサイトで公表されるものでご確認いただくか、受験した方はお手持ちの問題でご確認ください。
正答 5
1.誤り。賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない(606条2項)。また、賃貸人が賃借人の意思に反して保存行為をしようとする場合において、そのために賃借人が賃借をした目的を達することができなくなるときは、賃借人は、契約の解除をすることができる(607条)。したがって、賃貸人による保存行為を拒むこと又は賃料の減額を請求することができるとする本肢は誤り。
2.誤り。賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる(608条1項)。したがって、賃貸借を終了した時に限り、必要費の償還を請求することができるとする本肢は誤り。
3.誤り。最高裁判所の判例(最判昭49.9.2民集28巻6号1152頁)は、①賃貸借の終了に伴う賃借人の家屋明渡債務と賃貸人の敷金返還債務とは、一個の双務契約によって生じた対価的債務の関係にないこと、②両債務の間には著しい価値の差が存しうること、③賃貸借終了後の問題なので、賃借人保護を強調するのは相当でないこと、④敷金は明渡しまでに賃貸人が取得することのある一切の債権を担保することを目的とすること、という理由で、同時履行の関係に立つものではないとした。中田・契約法413頁参照。
なお、被担保債権の範囲に関する改正民法622条の2第1項1号は、賃貸借契約の終了段階における敷金返還請求権の発生時期につき判例を明文化し明渡時説を採用した。明渡時説を採用すると、明渡債務と敷金返還債務は同時履行の関係に立たないことになる。中田・契約法412頁以下参照。
4.誤り。最高裁判所の判例(最判昭37.3.29民集16巻3号662頁)では、適法な転貸借関係が存在する場合、賃貸人が賃料の不払を理由として賃貸借契約を解除するには、賃貸人は賃借人に対して催告をすれば足り、転借人にその支払の機会を与える必要はないと判示した(同旨、最判平6.7.18判時1540号38頁)。学説は判例と同旨なのが、我妻・中Ⅰ462頁、中田・契約法434頁。反対説は星野215頁。
5.正しい(最判昭53.12.22民集32巻9号1768頁)。敷金関係の当然承継を否定する理由は、①敷金契約は、賃貸借契約における従たる契約ではあるが、賃貸借とは別個の契約であること、②旧賃借人の交付した敷金が当然に新賃借人の債務を担保するものとすることは、旧賃借人に予期に反する不利益を被らせる結果となることである(中田・契約法416頁)。
なお、改正民法は、この判例法理を明文化した(622条の2第1項2号)。中田・契約法417頁。
肢3・5は改正法の内容を問うものとも言えなくもありませんが、
問題文は「最高裁判所の判例では」と冒頭にあるため、
改正法の知識がなくても、改正前民法を学習した受験生でも解ける内容となっています。
リベンジ受験生への配慮と見られる、というのはそういう意味なのです・・・。
明日以降も特別区の問題について、解説を掲載したいと思います!
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