東京アカデミー横浜校
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こんにちは。公務員試験の予備校=東京アカデミー横浜校の公務員担当です。
昨日に続き、今日も今年の特別区の民法の問題の解説を書きますネ。
No.16は、「民法に規定する保証債務に関する記述として、判例、通説に照らして妥当なのはどれか。」という問題でした。
問題文は、著作権の問題もありますので、受験された方はお手持ちの問題を、持っていない方は特別区のサイトで公表されたら、そちらから入手してくださいネ。
正答 4
1.誤り。保証は、保証人と債権者との間の契約関係であるので、保証人と主たる債務者との間の契約関係とする前段が誤り(内田「民法Ⅲ(第4版)」402頁。後段は正しい(446条2項・3項)。
2.誤り。債務者が保証人を立てる義務を負う場合には、その保証人は、弁済をする資力を有することという要件を具備しなければならない(450条1項2号)。保証人がこの要件を欠くに至ったときは、債権者は、弁済をする資力を有することの要件を具備する者をもってこれに代えることを債務者に請求することができる(450条2項)。ただし、債権者が保証人を指名した場合には、450条1項・2項は適用されないので(450条3項)、「常に」要件を具備する者をもってこれに代えることを債務者に請求できるとする本肢は誤り。
3.誤り。債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、主たる債務者に催告すべき旨を請求できる(催告の抗弁権 452条本文)。ただし、①主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、または、主たる債務者の行方が知れないときは、その旨を請求できない(同条ただし書)。したがって、①の場合に請求できるとする本肢は誤り。
4.正しい(最大判昭40.6.30民集19巻4号1193頁)。
5.誤り。最判昭37.11.9民集16巻11号2270頁は、「継続的売買取引により将来負担することあるべき債務についてした責任の限度額並びに保証期間の定めのない連帯保証契約における保証人たる地位は、特段の事由のない限り、当事者その人と終始するものであって、保証人の死亡後生じた債務については、その相続人は保証債務を負担しない」と判示した。
保証の問題でしたので、受験生もきっと、「改正部分だ!」と身構えたはずです・・・。が、肩透かしを食らったような感じですネ。
選択肢5の判例は、有斐閣の判例六法では、個人根保証契約の元本確定事由を規定する465条の4の関連判例として掲載され、「★」が付けられています。
同書の民法で「★」が付けられている判例は、
債権法改正前の同法の下での判例のうち、改正により位置づけが変わり、又は、変更される可能性がある判例です(有斐閣「令和2年版判例六法」凡例9頁)。
ここからの出題というのは、ちょっと受験生には酷かなと思われますが、選択肢4が明らかに正しいので、惑わされずに解いた受験生が多かったようです(解答速報会での結果からも高い正答率でした)。
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