高校進路ご担当先生・保護者様向け情報
高等学校で最終学年(高校3年生)になられた生徒様の進路指導をご担当される先生(保護者様)におかれましては、進路実現に向けた説明会など、本格的なサポートをされている時期と存じます。
新型コロナウイルス感染症に関連して、全国的に、大学進学希望者は「地元志向」が強くなったと言われております。それと同時に、公務員への就職希望者の中には、例年以上に「地方公務員(地元の市町村職員・警察官・消防官)」を志望するケースが増えたのではないでしょうか。
また、厚生労働省より公表されている「新型コロナウイルス感染症に起因する雇用への影響に関する情報について」から、高等学校新卒者の“求人数”および“就職者数”が、ともに上位にある「製造業」や「建築業」、「飲食業」に雇用調整などが多く実施され、「民間企業」就職は厳しい時代にあると言わざるを得ません。
「安定志向」がより一層強くなり、「民間企業」から「公務員」への転職を意識する方が必然的に増え、「地方公務員」への就職は難しくなることが予想されます。
このような中、公務員に就職するために、生徒様には試験直前期(6~8月)に、しっかりとした学習プランを立て、対策を進めていただく必要がございます。
そこで、生徒様が効率的に公務員試験の対策を進められるよう、公務員予備校のノウハウを駆使した学習プランと学習時のポイントをおまとめいたしました。生徒様のご指導や進路実現にお役立ていただければ幸いです。
試験まで残すところ3カ月程度しかない中、効率的な対策を取るためには、「1日単位」や「本試験までの間のプラン」を見せ、ある程度の方針を示す必要がございます。学習時間に限りがあるからこそ、時期や科目ごとの学習時間の分配が重要となります。
そこで次のような学習プランを生徒様にご紹介してみてはいかがでしょうか。
1日単位の学習プラン
時間 | 6時 | 7時 | 8時 | 9時 | 10時 | 11時 | 12時 | 13時 | 14時 | 15時 | 16時 | 17時 | 18時 | 19時 | 20時 | 21時 | 22時 | 23時 | 24時 |
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平日 | 起床・身支度 | 文章理解(朝学習) | 食事・登校 | 授業 | 食事・休憩 | 授業 | 部活動 | 下校・食事 | 一般知能 | 入浴・自由時間 | 政治(寝る前) | 就寝 | |||||||
休日 | 一般知能(朝学習) | 食事・登校 | 部活動 | 食事・休憩 | 部活動 | 下校・休憩 | 一般知能 | 食事 | 政治・経済・社会 | 入浴・自由時間 | 一日のまとめ(寝る前) |
まず、上記の1日単位の学習プランで注目していただきたいのが、“朝学習(7~9時の時間帯)”です。公務員試験は開始時間が早い試験だと午前9時より開始される試験もあり、朝の早い時間帯から頭を動かす訓練をしておくことも重要です。朝学習には文章理解の長文読解などでトレーニングするとよいでしょう。
次に注目していただきたいのが、“就寝前”です。レミニセンス効果(寝ている間の記憶定着効果)をご存知でしょうか。寝ている間は脳が記憶を整理して、定着させている時間帯です。そして、寝る前に覚えた情報のほうが、朝覚えた情報よりも定着率が良いと言われています。よく言われることですが、暗記は寝る前に行うのが効果的です。暗記系科目や一日のまとめを就寝前に実施することをお勧めいたします。
そして一般知能については、1日の中で最低でも1時間~2時間程度の学習時間を確保し、解法・テクニックを身に付けましょう。この解法・テクニックを身に付けていただく必要性については、後述にてご説明いたします。
本試験までの学習プラン
科目 | 現在~6月末 | 7月 | 8月 | 9月 |
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政治・経済・社会 | 基礎固め(学習時間:30分~40分程度/週3.4回程度) | 実践(学習時間:30~40分程度/週3.4回程度/毎日) | 本試験 | |
地理・歴史 数学・理科 |
高校の授業を中心に学習 ※教養試験専用の学習は無理にしない。 |
出題ポイントを中心に学習 (学習時間:60~90分以上/毎日) |
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文章理解 | 問題演習:現代文・英文 毎日1問程度(学習時間:30分/毎日)本試験まで継続 | |||
一般知能 | 基礎固め(学習時間:60分~120分以上/毎日) | 実践(学習時間:30~90分程度/毎日) |
上記の“本試験までの学習プラン”にある通り、6月末までは基礎固め期間です。また闇雲に複数の科目・問題に時間を浪費するだけではなく、出題数の多い政治・経済・社会と一般知能について、出題頻度の高い分野を集中に学習した方が、得点率を高める(高得点を目指す)ことに繋がります。
【出題頻度の高い分野】 ※下記以外の科目の情報は、最寄りの弊社担当にお問い合わせください。
〔政治〕日本国憲法(特に基本原理)の条文・三権分立(特に国会の機能・権限)の知識に関する問題
〔経済〕第2次世界大戦後の日本経済(金融政策や財政政策)に関する問題
〔社会〕近年の環境問題・人口問題・社会常識などの問題
〔数的推理(処理)〕「算数」、「数学」で学習した文章題そのものから満遍なく出題
〔判断推理(処理)〕公務員試験独特の分野「順序関係」、「対応関係」、「集合」、「数量」、「論理」が頻出
〔空間把握〕「平面図形」ではジグソーパズルと折り紙、「立体図形」では正多面体の展開図、立体の切断が頻出
〔資料解釈〕数表やグラフを読み取り一定の事象を分析する問題が出題
やはり1次試験(教養試験)を突破するために、一般知能〔数的推理(数的処理)・判断推理(判断処理)・空間把握・資料解釈〕の対策は避けては通れません。“数学やパズルみたいな”公務員試験独自の問題(=一般知能)が出題され、生徒様は解答に時間がかかってしまい苦労されている方が多いのではないでしょうか。教養試験は時間との勝負です。1問の解答に時間をかけすぎてしまうと、得意分野の解答時間に影響が出てしまい、教養試験の得点が伸びないという事態に陥ってしまいます。
教養試験(基礎能力試験)の出題数と解答時間を、試験別に、1問当たりの解答時間をご覧ください。
試験名 | 出題数 | 解答時間 | 1問あたりの解答時間 |
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国家一般職(事務)・国家専門職(税務) | 40問 | 90分 | 2分15秒 |
都道府県職員(全国パターン) | 40問 | 120分 | 3分00秒 |
警察官 | 50問 | 120分 | 2分36秒 |
この様に、どの試験をとっても1問あたりにかけられる解答時間は、わずか2~3分です。(一般知識は1問1分以内、文章理解・一般知能は1問あたり3~5分程度が各科目の解答時間の目安となります。)正確さだけでなく、スピードが必要となりますので速さを習得するためには、次のような指導が効果的です。
「①一般知能は、解法テクニックを身につけ(覚えて)→問題にあてはめて解く」について、ご説明いたします。
一般知能において、『解法・テクニック』を覚えていただくことが非常に重要です。一般知能は独特な(学校では学ばない)分野からの出題があり、それ故に解法・テクニックがあり、問題を見ただけでは思いつかなかった(理解できないような)方法を用いるものもあります。解法・テクニックを使わない人は、その問題に対して数式を立ててみたり、図形を回転させてみたり試行錯誤しているため、解法・テクニックを使っている人と解答時間に差が生じます。
例題を用いてご説明いたします。
この問題はクイズ番組で出題されそうな問題で、学習するのも楽しそうですが、いざ解こうとすると問題の文章に「あてはめる」という言葉がありますから、初めてこの問題を見た生徒様は、必死に頭の中で図形を回転させて解こうとします。しかしながら、うまくあてはまるとは限りませんし、この問題のように枠の数が少ない場合は5分程度で解けますが、枠の数が多くなるほど解くのに時間がかかってしまいます。
この問題は『解法テクニック』を使えば、1分以内で正確に解くことができます。その『解法・テクニック』とは、「マスの数を数える」ただそれだです。
『解法・テクニック』を使うと
この『解法・テクニック』では、足し算と引き算、掛け算しか使いません。簡単な計算ができれば、十分使うことができます。ですが、出題される問題の中には、『解法・テクニック』と別の『解法・テクニック』を組み合わせることで、解答時間を短縮できる問題があります。
では、次の問題(空間把握 問題2)をご覧ください。この問題は先程の問題より一見難しく見えます。図形が2次元から3次元になり、頭の中で回転させながら解いていくのは少し困難になります。「頭の回転(柔軟性)」がいい生徒様でも試験本番で出題された時に『解法・テクニック』を使わずに解いた場合、5分以上かかってしまう場合もあるのではないでしょうか。
先程の空間把握の問題と同じように、今度は立方体の数を数えてみましょう。
『解法・テクニック』を使うと
正答にたどり着きましたが、ここまでの解法では、時間短縮につながっておりません。立方体の数を一つずつ数える方法は、このような立方体が重なった図形の問題では時間がかかってしまったり、数え間違えが生じたりする可能性もあります。
そこで「早く数え終えるテクニック」をお教えいたします。この問題の組み立てられた図形の立方体の数を数える時は、まずは完成図形の縦4×横3×奥行4が全て埋まっていると仮定して、全体でいくつの立方体があるか計算します。上記の組み立てられた図形では、縦4×横3×奥行4で48個になります。そこから抜けている立方体の数を引きます。上段から立方体の抜けている数は6個、2段目は4個、3段目は3個ですので、先程の全体の立方体の数から引いて、組み立てられた図形の立方体の数を出します。48-6-4-3=35個です。選択肢の立方体についても、選択肢1と選択肢2は掛け算を使った方が立方体の数を数え終えるのが早いですし、数え間違える可能性が減ります。
一般知能は、
①「早い解法・テクニック」をマスター
②実際の問題でこの解法の使い方を繰り返し練習
③問題をみた瞬間「!この解法だ」と分かるようになれば・・・・合格はすぐそこです。
解法があることを知り、たくさんの問題を解いて慣れる・・これをアドバイスしてください。
東京アカデミーの通学講座では、講義時間の多くを一般知能に割り当て、200以上の解法・テクニックを説明し、かつ、それを組み合わせ、練習を繰り返しています。余程の難問でない限り、1~2分以内で解けるスピードが身につくと自負しております。
今回は学習プランと学習のポイントをテーマに、この時期の高校生が不安に感じる試験対策の流れや細かい勉強方法についてお伝えしました。
次回は面接試験対策をテーマに公務員試験直前期に準備すべきことや知って得する情報をお伝えいたします。生徒様へのご指導にお役立て下さい。