高校進路ご担当先生・保護者様向け情報
高卒者の就職後3年以内の離職率は約4割の状況が続いている昨今(*厚労省 新規学卒就職者の離職状況より)、生徒様が希望する職に就けるようにご指導されるには、まずは生徒様ご自身が、希望の職に対しての理解を深めることが第一だと考えます。特に近年は人物重視と言われ、就職においては面接が非常に重要な意味を持つものとなっております。
公務員試験においては、年齢制限や学歴制限があるため、一度どこかに就職後にもう一度公務員試験をチャレンジしたいと思っていても、受験資格がなくなってしまうということもあり得ます。そのため、現役で合格することが一番の理想です。面接試験は、今回が初めてという生徒様が大多数だと思われます。まずは、面接の重要性を生徒様に認識していただき、事前準備をしっかりした上で本番の試験に臨んでいただきたいところです。東京アカデミーでは、日頃から受講生の皆様にはガイダンス等を通じて、面接試験の攻略法をお伝えしており、“東京アカデミー生は面接試験に強い”という評価を、全国の高校様から頂戴しております。
今回は、「面接試験」についての基本事項をご紹介させていただきますので、ご一読いただき、面接指導の際にお役立ていただきたく存じます。
近年の公務員試験の面接は、1質問1回答の単純面接から、1質問1回答の後、さらに追加でいくつかの質問を繰り返す形式が主流になっています。用意している1つの回答を答えた後で、面接官から「それはなぜですか」「それに関して一つ具体例を挙げてください」「なぜそう断言できますか」など、回答への追加質問が2度、3度と繰り返されます。つまり、以前のような単純な準備では対応できない時代です。受験生の本質や本音を見抜くために、多角的な視点で質問が繰り出されます。本当にやる気のある人材、採用後、活躍できる人材が見抜かれる時代ですので、入退室マナーから回答の準備まで、その受験生らしい繋がった深い準備をするようにお勧めします。
面接試験においては、すべての動作が評価対象となります。面接試験会場の最寄りの駅に着いた時から、既に面接試験は始まっていると気を引き締めることが必要です。建物に入る時の立ち居振る舞い、受付での挨拶やお辞儀や表情など、すべて職員から見られています。受付担当者や控室へ案内していただける職員、廊下ですれ違う職員もすべて、先輩になるかもしれない人たちです。採用担当者に、そういう職員からの参考意見が入ることも珍しくないとご指導ください。動作の一つひとつにその人の持つ雰囲気やオーラが現れます。動作の基本を確認し、練習を行ってください。
お辞儀には3種類あり、場面に応じて使い分けます。また、大事なのはメリハリで、「お辞儀」と「挨拶」をきっちり分けます。お辞儀は腰から上体を倒すようにします。
お辞儀の際の角度や姿勢はもちろん、身体を倒すスピードや身体を戻すスピード、目線、表情にもその人らしさが表れます。面接試験での各場面でのお辞儀の角度については、絶対的な決まりやルールはありませんが、大事なことは、意気込みや意欲、面接官に対する礼儀がどう伝わるかです。少なくとも、入室した後の挨拶、椅子の横に立った時の挨拶、面接が終わった後の挨拶、退室時の挨拶といった4つの節目では、会釈(15度)ではなく、より強い意欲を伝えるためにも45度に近いお辞儀が望ましいと言えます。
姿勢や歩き方・立ち方は、面接官に対する敬意や自分のやる気の有無を感じさせます。はつらつとした美しい姿勢と歩き方・立ち方が大切です。背筋・首筋を伸ばし、胸を張り、真っ直ぐに立ちます。顔はうつむかずに前を向き、腕の付け根から腕を軽く動かしながら歩きます。歩幅や歩くスピードにも気を配るようご指導ください。
警察官などの公安職関係の面接試験では、事務系職種の面接より、動作の機敏性が見られます。きびきびとした動作、直立したときや歩くときに指先までしっかり伸びているか注意してください。
但し、座った時の手の位置については、絶対的な正解はなく、例えば公安職の女性の場合、男性同様の位置(軽くにぎりこぶしを作り膝頭の付け根の中間に置くこと)が望ましいといったケースもあります。
面接中はもちろん、控室でも気をつけるようご指導ください。
また、椅子から立つ際に椅子がずれてしまった場合は、きちんと直してからドアの方へ進みましょう。次の受験者への気配りが好印象を与えます。
東京アカデミーでは、入退室の動作や姿勢、歩き方など、面接の受け答えに入るまでの大事な印象となるボディーランゲージについて、特に時間を割いて練習しています。視覚や聴覚からの印象が良くないにも関わらず、回答内容は立派という、見た目と内容がちぐはぐな場合は、合格が難しいことが分かっているからです。日ごろの挨拶やマナーなど、日常生活での指導も行いながら、きめ細かい面接対策を行うのが、東京アカデミーの強みの1つです。
話すときの、表情や態度で全体的な印象は変わってきます。
自分に自信のある回答やきちんと用意してきた回答のときには、自信をもってハキハキと答える反面、自信のない回答や用意していない回答になると、突然、表情、態度が変わってしまうケースについて、そのいくつかを事例をもとに紹介いたします。
事例①眉間に皺を寄せて考えこんでしまう表情
事例②焦ったり、困ったりしたような表情
事例③回答する際に声が小さくなる、目を見て発言しない態度
事例④何度か繰り返し質問しているうちに、思わず出てしまう面倒くさそうな表情
事例⑤質問を待っている間、面接官が話している間、手をブラブラさせたり、髪の毛をいじったり、爪の先を見たりする態度
表情や態度も、面接においての重要な評価事項になります。無理に笑っている必要はありませんが、明るい表情で、真剣に面接官と向き合うことが大事です。イライラしたり、自信のないような表情や態度を見せることは厳禁です。面接官に敬意を見せ、貴重な時間を頂戴して面接をしていただいているという、感謝の気持ちを忘れずに挑みましょう。
面接対策、というと、まずは「自己分析」から始めるのが一般的だと思います。また自己分析を始めると同時に、自分が将来就く職種についての理解を深めることも必要です。合格したい公務員試験について、どんな場面でどんな仕事をするのか、どんな人と関わりながらどんな風に働くのか、などの職業研究を通して、仕事内容や仕事の仕方をイメージすることが、実は合格への近道となるのです。
これらの職種研究を通して、その仕事をするにはどんな人や能力が求められているのか、どんな人が活躍しているのか、どんな能力が必要か(=求められる人物像)を見極めます。並行して自己分析(どんな経験が生かせるか、自分のどこが生かせるか)を進め、志望動機や自己アピールの内容を作り上げていきます。求められる人物像と自己アピールをイコールで結ぶことがポイントです!求められる人物像に関しては、各自治体の採用案内やHPに記載されていることもあるので、しっかりと読み込んでおくことをお勧めします。
自己分析は、面接カードの作成や面接練習を行うために必要な準備です。以下の項目については、最低限必要となるので、あらかじめ準備をしておきましょう。また、それぞれの項目について、経験談+どのように取り組んだか+今後どのように生かしていくかまでをセットで考えておきましょう。
長所は、裏付けるエピソードを、短所は克服に向けてどう努力しているかまで述べましょう。
趣味や特技は、「特になし」ではダメです。特に趣味がないような人は、仕事のストレスなどをどのように解消できるか不安に思われます。
友人の中での立ち位置など、面接官が気になるところです。友人が多い少ないは人それぞれです。どのように友人と向き合っているかが知りたいところです。また、「苦手なタイプは?」という質問もよく聞かれますので、その「苦手なタイプ」とどのように付き合ってきたかまで考えておきましょう。
どんなことに力を入れて、そこから何を学んだかが面接官が知りたいところです。また、そのことを今後どのように仕事に生かすかまでを考えておきましょう。
失敗や挫折をどう乗り越えたかが大事です。この失敗を糧に今後にどう生かしていくか準備しておきましょう。
できれば、志望する職種に関連するニュースを探しておきましょう。また、そのニュースに対して何を思い、どう考えたかまでまとめておきましょう。誰かを批判するような内容は避けたいので、自分の意見が素直に言いやすい話題を見つけましょう。
自分の思い描く理想像です。なりたい自分になるために、今の自分に足りないところ、どのようにそれを身に付けていくかを具体的にまとめます。漠然とした生活全般のことではなく、仕事と関連付けた内容で考えましょう。
面接では、分かりやすく簡潔に答えることが第一です。聞き手にとっては、質問に対する回答までの道のりが長いと、受験生がせっかくいい話をしてもなかなか頭に入りにいというデメリットがあります。また答える側にとっても、回答の着地点を見失ってしまうことに繋がる危険もあります。そこで、回答の際は「結論→根拠となる経験談」の順に話すことを心掛けましょう。特に、「はい」「いいえ」のような一言で終わってしまう質問でも、そこに説明や経験談を一言加えると、他者との違いが出てその人らしさがアピールできます。
また、話す順番だけではなく、表現の仕方にも注意が必要です。特に、短所を答える場合など、自分の目指す職種に照らし合わせ、短所をそのまま答えて良いかは事前に考えておくことが必要です。
中身は大きく変わらなくても、言い方一つで聞き手の捉え方は大分変わってきます。面接官に不安を抱かせないような表現方法を考え、予め準備をしておきましょう。また、短所を伝える場合には、短所のみを一言で伝えるのではなく、その改善に向けての前向きな努力を示す必要もあります。「今は直すよう努めています」というような漠然としてものではなく、具体的に述べましょう。例えば、前述の「短気」の場合には、「ひと呼吸し、一旦考えてから行動に移すよう心がけています」などです。「短所を直すべきところとして認識しているので、今は改善に向けて努力している」という姿勢を見せることは大事です。
本番形式の練習の仕上げとして、一つの回答に対して、追加の質問を何度か行う形式で本番に備えましょう。第三者に見てもらい、自分の回答の中で説明が足りないと思ったところ、疑問に感じたところ、根拠が必要なところなど、気になるところは追加で質問をしてもらうという練習が大事です。一つの回答について掘り下げられ、さらにその回答についても繰り返し質問がされる、この形式に慣れておきましょう。自分がこう答えたらこのようなことが聞かれるかもしれない、という面接官の立場になったつもりで考え、想定される追加質問に対しての準備も必要です。どうしてそう考えた(行動した)のか、そう考えた(行動した)ことによってどんな変化が起きたか、今後はどう考えたい(行動したい)と思ったかなど、自分の経験や行動をもう一度見つめ直しましょう。何となく面接練習を行いそれなりの回数はこなした、では今の面接試験には対応できません。上記の内容を踏まえた上で、よく考え、調べ、準備をし、繰り返し質問型の面接への対応力を身につけましょう。
最後はやはりイメージトレーニングです。面接本番で、これまで準備してきたことがきちんと生かせている、きちんと回答できているなどといった、合格する姿をイメージすること、イメージできることが、とても大切です。合格のイメージ(成功イメージ)を持つことが第一です。しかし、上位で合格している人の多くはそれに留まりません。自分が採用後に活躍している姿のイメージを持って、面接試験に臨んでいます。消防官なら、制服を着て仲間と力を合わせて、消火、救助活動で人を助けている姿。市役所職員であれば、児童公園の企画、設置に関わり、そこで子ども連れ家族が楽しそうに遊んでいるイメージなど。このイメージトレーニングも大切にして下さい。
今回は、面接に必要な「面接試験の基本」についてご紹介させていただきました。コロナ禍によりマスク着用での対面面接やオンライン面接の導入など、自治体よっては面接形態に変更が生じております。東京アカデミーでは、受講生からの報告書を基に、全国各地の自治体の膨大なデータがございますので、面接指導の際にご不明な点などございましたら、ぜひ最寄りの東京アカデミーにお尋ねください。
次回は、様々な分野で活躍する公務員のお仕事についてご紹介いたします。高校生にはあまり知られていない職種や実態、仕事の魅力についてご紹介いたしますので、進路に迷っている生徒様には必見です。次回もご期待ください。