高校進路ご担当先生・保護者様向け情報
公務員試験で出題される作文試験は、国家公務員一般職・地方初級公務員試験をはじめとして、高校卒業程度を採用対象とするほとんどの試験で実施されています。なぜ作文試験を実施するのか、作文試験から受験者のどのような能力・資質を見るのか、このような採用者側の意図を知っておかないことには、高得点の作文を書くことはできません。
作文試験とは、与えられたテーマに対して、受験者が自分で考え、その考えを自分の言葉で表現し、読み手に伝える試験です。
「ものの見方・考え方」
「自己表現能力」
「文章構成能力」
これらが一枚の作文から総合的に判断されます。作文試験において、①~③のような能力・資質がなぜ重視されるのかを知ることが合格作文を書くための第一歩となります。
採点者はこれらの点に着眼して、作文を評価していると推測します。試験時間内の限られた時間と文字数の中で、出題されたテーマについて具体性や積極性のある内容で書き上げなければならないため、対策には時間を要します。
作文試験の出題傾向を察知し、どのようなテーマが出題されるのか、ある程度予測した上で、対策を行っていくことが大切です。
全国各地の公務員試験で出題されたテーマを見ていくと、
の大きく3つが主な出題トレンドです。
以下、この3つに分類した過去の作文テーマをご紹介いたします。(なお、過去の作文テーマにつきましては受講生からの報告を基にしているものもあり、一部実際の出題とは異なる場合もございます。)
岩手県〈一般事務・教育事務〉《2021年度》
「今までで一番苦労したことと、そこから学んだこと。」
福島県警《2021年度》
「これまでの学校生活や社会生活で、あなたが人と協力して取り組んだことと、警察官になってからその経験をどのようにいかしたいと思うかを述べなさい。」
石川県〈行政・小中学校事務〉《2021年度》
「コミュニケーションをとる際に、心がけていること」
広島県広島市〈行政事務・学校事務・土木・消防〉《2021年度》
「社会人として働く上で、どのように成長していきたいか、あなたの考えを述べよ。」
福島県警《2021年度》
「警察官に必要な要素は何か、理由も書いてください。また警察官に採用された場合、県の安心・安全のため、どのような取り組みをするか書いてください。」
熊本県熊本市〈事務職・学校事務職・技術・消防〉《2021年度》
「本市市民が期待する市の職員像とはどんなものと考えるか。また、それに応えるためにあなたはどうしたらよいと考えるか。800字以内で述べなさい。」
岡山県〈事務・小中学校事務〉《2021年度》
「手軽なコミュニケーションの手段としてSNSが普及していますが、SNSのメリット、デメリットについて、あなたの考えを述べなさい。」
鹿児島県警《2021年度》
「あなたが最近最も関心を持ったニュース、事件、事故等は何か。それを踏まえて自分の考えを書きなさい。」
北海道〈一般行政・教育行政・警察行政・公立小中学校事務〉《2021年度》
「近年、地球温暖化が地球規模の深刻な問題となっており、この問題に対して私たち一人ひとりが意識を変え、自ら責任を持って行動することが求められています。温室効果ガスの排出削減に向け、私たちができることについて、あなたの考えを述べなさい。」
「①自分自身の経験」や「②将来像」のテーマはある程度想像できるかと思います。但し、「自分自身の経験」は少し注意が必要です。「個人の経験」よりも「集団との関わりの中での経験」から問うテーマが多いため、学校生活(クラブ活動・委員会活動など)や校外活動(習い事や町内会行事など)での学びや成果、苦労などをまとめておくようにご指導ください。
受験者にとって予測が立てにくく、対策に悩むテーマが、「③時事的な事柄」になります。
③時事的な事柄ですが、2021年から2022年初旬にかけての社会情勢からの出題が中心です。(弊社同HPの2022年度投稿記事「今年はこれが出る時事問題!」も併せてご参照ください)。
ズバリ2022年度で狙われそうな時事のテーマは以下の通りです。
●民法改正
例)成人年齢を定めている民法が改正され、2022年4月からは成人年齢が20歳から18歳に引き下げられました。成人年齢が引き下がることによりどのようなメリット・デメリットがあるかあなたの考えを述べなさい。
●マイナンバーカード
例)総務省が発表した2022年5月1日時点でのマイナンバーカードの全国普及率は44.0%であり、マイナンバーカードを所持している人は未だ半数未満です。普及率を上げるためにどのような取り組みが必要かあなたの考えを述べなさい。
●SDGs関連
例)○○市のSDGs目標を達成するためにどのように取り組むべきか述べなさい。
また、ロシアのウクライナ侵攻で世界中が震撼している中、平和で安全な社会に向けて、何ができるか、何で貢献できるかといった考えも特に警察官や消防官などの公安系職種を受験する方は考えておきたいところです。
最新の試験では2022年5月実施の海上保安学校学生(特別)の作文試験のテーマは、「事件・事故のない社会実現に向けて必要なこと」という内容でした。「これまでの経験(自己分析)」、「採用後の将来像(再現性)」と「時事問題の理解」の3点について、「ものの見方・考え方」、「自己表現能力」、「文章構成能力」を意識し、作文試験に備えていきましょう。これらの対策は、面接試験でも役立つことは言うまでもございません。
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次回は、「面接で聞かれたレアな質問例紹介とその対処法+貴重!今後聞かれそうな質問予想」と題し、9月試験に向けて押さえておきたい質問をお届けします。乞うご期待ください。