高校進路ご担当先生・保護者様向け情報
高校新卒者の就職内定率は、2022年3月末時点で99.2%(前年比0.1ポイント上昇)という高い水準を保っています(厚生労働省 2021年度『高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況』より)。また、高校新規学卒就職者の就職後3年以内の離職率は36.9%(2021年10月 厚生労働省 報道発表資料)と5年連続で改善に向かっています。しかし、いまだ3分の1以上が再就職を余儀なくされている現状では、「雇用のミスマッチがまだまだ発生している」と言えます。特に、コロナ禍で、先行きの見通しが不透明な時代にあって、「労働時間、賃金の条件が合い、かつ、やりがいを感じられる仕事」を見つけることは、高校現役生にとって簡単なことではないと推察いたします。
そこで弊社では、公務員の仕事や職種研究に近年、非常に力を入れています。公務員については、地方公務員の退職状況等調査(2020年度 総務省)によると25歳未満の方の普通退職者数が4,678名、地方公共団体定員管理調査結果(2021年12月 総務省)によると地方公共団体の総職員数は2,800,661名ということから、若年層の離職者は全体のわずか0.16%と低い割合と言えます。公務員という職業選択は、後悔の少ない進路先と言えるのではないでしょうか。そこで、今回は公務員にはどんな仕事があるのか、様々な職種について生徒様の興味や特性から紹介させていただきます。
公務員の仕事は、多岐にわたっています。生徒様の性格や好きなことから公務員の仕事を見つけることも可能です。例えば、鉄道が好きで仕事でも鉄道にかかわりたいという方にどのような仕事をお薦めできるでしょうか。
■国土交通省の鉄道局、運輸局、運輸安全委員会
国土交通省は、国土の総合的かつ体系的な利用、開発および保全、そのための社会資本の整合的な整備、交通政策の推 進、気象業務の発展並びに海上の安全および治安の確保などを担う官庁となります。その業務の一部に鉄道に関する仕事があります。
国土交通省で働くには、国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)に合格し、国土交通省や上記機関より採用内定を得る必要があります。
■自治体の都市局や土木部の交通政策課(自治体により名称は変わります)
各自治体内における鉄道について、定時性・高速性・快適性をより一層発揮させるため、既存輸送サービスの維持・確保、安全性向上のための施設整備を進めるとともに、沿線市町と連携し、より効果的な利用促進策を検討・実施しています。また、地域鉄道について、地方運輸局と連携し活性化に取り組んでいます。こちらは各自治体の行政職試験に合格する必要があります。
■自治体の交通局
鉄道やバスなどの交通機関を運営する公的機関となります。神戸市では、地下鉄・バスで別々に採用試験を行っていますので、直接鉄道にかかわる仕事ができます。ただし、自治体が運営する交通機関は少しずつ減っているのが現状です。将来的に交通機関が残っても身分が公務員ではなくなるという可能性はあります。こちらで働くには各自治体の交通局職員採用試験に合格する必要がございます。
■鉄道警察隊
各都道府県警察に設置され、駅などの鉄道施設や、列車内のパトロール、痴漢や盗撮、すり等の犯罪の取締りを行います。こちらは各都道府県警察官の採用試験に合格することが必要です。
上記以外の例も簡単に挙げておきます。
・スポーツが好きで体を動かすことにかかわる仕事に就きたい…スポーツ庁や警察官・消防官など
・子どもが好きで子どもにかかわる仕事に就きたい…子ども家庭庁(2023年4月設置予定)、自治体の子ども課(名称は自治体により変わります)、学校事務など
公務員の仕事も時代の変化に伴い変わっていきます。日本は他の先進国に比べ、行政のデジタル化が遅く、コロナ禍でのワクチン接種予約の混乱などを引き起こしました。そのため、行政のデジタル化を進めるほか、社会全体のデジタル・トランスフォーメーション(DX)を推進するために2021年9月に新しくデジタル庁が設置されました。このように社会の変化や課題解決のため、新しい省庁や部署が出てくることが予想されます。
それでは、今後どのような仕事がでてくるのか予想してみましょう。
例えば、ドローンを用いることでインフラの点検や農薬の散布、災害救助、物品の輸送サービスなど様々なことが可能になってきています。このドローンの利用については、現在、国土交通省 航空局に申請をする必要がありますが、航空局への申請だけでは飛行できない地域やケースもあります。今後ドローンの利用が増えてくることは間違いないでしょう。よりドローンを使いやすくすることや、利用が増えた場合のトラブル対応等、新たなニーズに対応した省庁ができると予想されます。
他にも今後、注目したい仕事として、「地方創生・地方再生」が挙げられます。ICTの発展とコロナが交わり、都市集中であった雇用やヒトが地方に分散することが予想されます。また、アフターコロナでは外国人観光客のリターンも予想されます。性別、国籍にとらわれない多様な時代となり、住まいも仕事も地方に分散されることが予想されます。
以下は、地方の自治体ですが地元の産業や技術、遺跡や自然、文化、伝統を活かした「地方創生」の例を挙げます。
・徳島県神山町…過疎化が進んでいたが、高速ブロードバンド環境を早くから実現させ、多数のICT系企業の誘致に成功。雇用も生まれ、今後はICTの人材輩出にも期待が持てます。詳細は、総務省HP関連サイトでご参照ください。
(https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/top/local_support/ict/jirei/2017_073.html)
・岐阜県可児市…市内に点在する城や城跡をフルに活用した「戦国城後巡り事業」を展開。チャンバラ合戦やワークショップでの交流などで、人口増、若い世代の流入に成功し、今後は外国人観光客の増加を狙います。詳細は、可児市HP関連サイトでご参照ください。(https://www.city.kani.lg.jp/11517.htm)
・福井県鯖江市…鯖江市まち・ひと・しごと創生総合戦略により、地域ブランドの「めがね」を柱に「めがねのまち さばえ」を国内外にPRしています。詳細は、鯖江市HP関連サイトでご参照ください。
(https://www.city.sabae.fukui.jp/about_city/kekaku_torikumi/kakushukeikaku/sogosenryaku/soseisogosenryaku.html)
上記のように多様な時代、ICTの発展により地方にも競争のチャンスが生まれ、その行政や基盤整備を担う公務員にも新しい街づくりに携わることができるようになります。そこから、新たなモノを生み出す楽しさ・やりがいを得ることもできるでしょう。
今回は生徒様の興味・特性から考える職種研究をテーマに進路先の選び方についてご紹介させて頂きました。上記に上げた仕事はほんの一部です。より具体的な仕事内容を知りたい場合は、公務員説明会の実施のご協力も可能ですので、お困りのことがございましたら、お近くの校舎までご連絡ください。