高校進路ご担当先生・保護者様向け情報
毎年、生徒様の公務員試験の結果について、驚かれる先生もいらっしゃると思います。例えば、模試の成績(合格可能性判定)が「D・E判定(※①)で合格」という喜ばしいものもあればよいのですが、「A・B判定(※②)で不合格」という事例です。また、「難易度(競争率)の一番高い試験に合格したにも関わらず、それよりも難易度が劣る第一志望不合格」というケースは、回避しなくてはならない事だと考えます。(※①・②:弊社模擬試験成績判定6段階のうち、Aは「このままいけば合格確実」Bは「合格確実にもう一歩」Dは「今後の努力で合格可能」Eは合格には一層の努力が必要を指しています。)
この不合格の原因には、様々なことが考えられますが、一番想定されるのは、試験当日の時間配分の誤りです。まずは下表をご覧ください。
職種 | 出題数(問) | 制限時間(分) | 1問あたりの解答時間 | |
---|---|---|---|---|
国家公務員 | 国家公務員一般職・税務職員 | 40 | 90 | 135(秒) |
刑務官、海上保安学校学生・入国警備官 | 40 | 90 | 135(秒) | |
海上保安学校学生・入国警備官 | 40 | 90 | 135(秒) | |
裁判所職員一般職 | 45 | 100 | 133.3(秒) | |
地方公務員 | 地方初級(9月16日)StandardⅡ | 40 | 120 | 180(秒) |
地方初級(9月16日)LogicalⅡ | 40 | 120 | 180(秒) | |
地方初級(9月16日)Light | 60 | 75 | 75(秒) | |
地方初級(9月23日)全国パターン | 50 | 120 | 144(秒) | |
警視庁警察官Ⅲ類 | 50 | 120 | 144(秒) | |
東京消防庁Ⅲ類 | 45 | 120 | 160(秒) |
上記は、2018年度高卒程度公務員試験教養(基礎能力)試験の出題数、制限時間等をまとめたものになります。注目すべきは、1問あたりの解答時間です。職種によって解答時間は異なりますが、例えば、国家公務員(一般職・税務職員他)試験では、1問あたり135秒、地方公務員新教養試験Light試験にあっては、75秒というスピード勝負の試験になります。
したがって、1問にかける時間を見誤ってしまうと、時間が足りなく解答できないことや、焦って本来の力を出せないこともありますので、事前準備(問題を解く・時間配分のシュミレーション等)が不可欠になります。
そこで、まず受験生に知っていただきたいことが、試験によって問題の順番(配列)が異なることです。これを知らないと、事前のシュミレーションができません。
そこで下表をご覧ください。これは、職種別に教養(基礎能力)試験における、問題の順番を記した表になります。
問題の順番・配列からタイプを整理すると、文章理解から始まる「文章理解先行型」と一般知識から始まる「一般知識先行型」に分けられます。「文章理解先行型」は国家公務員系の試験に多く、「一般知識先行型」は地方公務員系の試験に多いのが特徴です。下記は職種別問題の順番・配列をまとめたものになります。
職種 | 問題の順番・配列 ※( )数字は問題数 | 制限時間 | |
---|---|---|---|
文章理解 先行型 |
国家公務員一般職・税務職員 | 「文章理解(7)」→「一般知能(13)」→「一般知識(20)」 | 90分 |
刑務官 | 「文章理解(7)」→「一般知能(13)」→「一般知識(20)」 | 90分 | |
海上保安学校学生・入国警備官 | 「文章理解(7)」→「一般知能(13)」→「一般知識(20)」 | 90分 | |
東京消防庁Ⅲ類 | 「文章理解(8)→「一般知能(14)→「一般知識(23)」 | 120分 | |
一般知識 先行型 |
地方初級(9月16日)StandardⅡ | 「一般知識(20)→「文章理解(6)」→「一般知能(14)」 | 120分 |
地方初級(9月23日)全国パターン | 「一般知識(25)→「文章理解(9)」→「一般知能(16)」 | 120分 | |
警視庁警察官Ⅲ類 | 「一般知識(25)」→「文章理解(8)」→「一般知能(17)」 | 120分 | |
裁判所職員一般職 | 「一般知識(21)」→「文章理解(9)」→「一般知能(15)」 | 100分 |
※地方初級(9月16日)LogicalⅡ、Light試験は、一般知能先行型となります。詳しくは、同HP「Part.4 新教養試験は何が変わった?」をご確認ください。
ここで受験生が解き方で一番失敗してしまう例を挙げます。それは、文章理解先行型のタイプで、問題を1問目から問題順どおり解く場合に陥ってしまうケースです。例えば、最初の出題、文章理解(長文読解)は、緊張がピークの状態で初めて目にする問題ですので、普段は得意な方でも、文章を理解するのに時間を要してしまうことが多いです。また、最初の問題のため何としても正解したい思いが強く、いつもよりも時間をかけてしまい、ペースを崩してしまうこともあります。一度崩したペースを元に戻すことは容易ではありません。続く一般知能でも同じペース若しくは、解けそうで解けない問題に時間を費やしてしまうと、一般知能を解き終えた頃には、一般知識を解く十分な時間は残されておらず、ベストの結果を得られなかったという話しはよく耳にします。
ここで、まず前提条件として、忘れて欲しくないことが2つあります。1つは、教養(基礎能力)試験の1次合格ラインは、6~7割(中には5割程度も)程度が多い(※言い換えれば、2割程度が正答できなくても1次試験は合格できるということ)。もう1つは、同じ試験であっても、問題の難易度(1問にかけるべき時間)は異なるということです。
余談にはなりますが、2018年度の国家公務員(北海道の場合)の1次合格最低点(基礎能力試験)は、一般職事務22点、税務職員20点(東京アカデミー受講生調べ)でした。仮に正答率が40%以上の問題を全て正答していれば(正答率30%代以下の問題を全てできなくても)、22点で合格という結果でした(国家公務員一般職事務・税務職員試験には、別途適性試験もあります)。これは、極端な例ですが、1問1問に固執すぎることがないよう、自分の解き方のスタイルをつくっていくことが求められます。
そこで、失敗したくない人にオススメする解く順番は、一般知識先行(一般知識→文章理解→一般知能の順)で解くやり方です。理由(ポイント)は3つあります。
1つ目は、一般知識(政治・経済・社会、地歴・理科等)は、基本的には答えを知っているか?知らないか?ですので、マークシートを黒く塗りつぶす単調な作業を繰り返すことで、緊張を緩和する効果(自分のペースに持ち込むこと)を期待。
2つ目は、一般知識を最初に解く(1問1分以内/45~50秒目標)ことで、上述したようなリスクが低くなる(後半に多数の問題を残してしまう)。
3つ目は、一般知識を最初に解くことで、文章理解がスムーズに解けるようになる。
一般知識の問題形式は、通常「次の文の中で正しく言える(妥当な)のはどれか?」という設問が多数です。一方、文章理解、例えば現代文の内容合致では「次の文と内容が合致しているのはどれか?」になりますので、解き方は基本同じ(仮に、正答がわからなくても、消去法で選択肢4つ消すことができれば、答えを導くことができる)ですので、究極的に、一般知識は、短い文の文章理解とも言えるのではないでしょうか。
したがって、一般知識(短文)に慣れてから、文章理解(長文)へ行った方が、解き方の準備体操(頭の整理)ができていますので、 1つの手法として、推奨させていただきます。
【問題の解き方・順番・配分例】国家公務員(一般職・税務職員他)試験(40問/90分)の場合(一般知識先行型)
国家公務員(一般職・税務職員他)試験は、40問/90分の試験のため、他の地方公務員試験に比べると時間の余裕がありません。上記の目標・目安の時間をみると厳しく見えますが、実際は難しい問題は飛ばしたり、捨て問題(マークのみ選択)にすることになるため、上記の時間配分よりは、落ち着いて解ける場合が多いです。
受験生の中には、「最初に、一般知識を解くのではなく、一般知能や文章理解を解いた方が点数を取れる」という方もいらっしゃると思います。もちろん、試験問題を解く順番・やり方には、答えはありません。一人ひとり個性・能力・適性は異なりますので、模試を複数回受験して、いろいろな解き方をして、自分なりのスタイルを確立させてください。そこで、オススメしたいのが東京アカデミーの模試です。東京アカデミーの模試は職種別となっており、本試験のタイプとほぼ同じスタイルとなっておりますので、ぜひチャレンジしていただきたいです。
同HP「Part.3 模試の活用法」をご覧ください。
上記、【問題の解き方・順番・配分例】において、時間配分をご紹介しましたが、やはり、この短い時間で問題を解くのは難しいと思われた先生も多くいらっしゃると思われます。そこで、時間に余裕を持って解くためには、「時短問題」を作り出す取り組みがその一歩となります。
特に教養(基礎能力)試験において約1/3を占める一般知能(判断推理、数的推理、空間把握、資料解釈)の対策は重要です。東京アカデミーでは、単に解法パターンを丸暗記するのではなく、解法のテクニック・センスを磨く指導をしているため、1問に費やす時間を短くすることができます。
さらに、東京アカデミーでは、過去問題の研究に力を入れています。東京アカデミーの教材・模試では、ズバリ的中した問題が多数ございます。この教材は徹底した過去問題研究(特に、問題非公表試験である、地方公務員試験においても、受験生からの聞き取り調査を徹底的に)を行い、東京アカデミー受講生に対して、教材、模試はもちろんのこと、講義にも組み込んでいますので、そこで着実に1点1点を積み重ねていきますが、実は効果はそれだけではありません。
特にズバリ的中の問題が出題すると、一般知能の場合、通常5分以上かかるような問題でも、その半分以下程度で解ける場合がありますので、時短となり、他の問題にまわせるわけです。
話は少し変わりますが、公務員試験に限らず、マークシートの答えがわからない時に、「とりあえず、選択肢3にマーク!」という噂は聞いたことがあると思います。結論から言いますと選択肢3にすることは、間違いではありません。
下表は、国家公務員試験(一般職・税務職員)〈試験形式が変更された、平成24年から30年の7年分〉の正答の選択肢データになりますが、全問のなかで考えると、選択肢1~5の中で、選択肢正答数のシェア(確率)が高いのは選択肢3となるためです。
しかし、選択肢正答数のシェアを比較すると、大きな差異はありませんので、迷ったら「選択肢3」を強くオススメする程の数字ではありません。むしろ、正答の選択肢を分散させている傾向が読み取れます。東京アカデミーは、さらに詳細なデータを分析しており、受講生に対して有益なアドバイスをしています。これは、上記と同じ国家公務員試験(一般職・税務職員)分野別の選択肢データです。
今回は全て掲載いたしませんが、アドバイス例として【文章理解】をご紹介いたします。
【文章理解】
選択肢正答数のシェアを比較すると、圧倒的に、選択肢3.4.5が多い傾向です。言い換えれば、選択肢1.2が少ないです。これは、受験生が問題を解く際、選択肢1(上)から順番に肢を見極めていくことが一般的なため、仮に、選択肢1.2の正答が多いと、短時間で解答を終えることになりますので、このような問題構成になっていると推察されます(※問題を解く時間がない場合は、選択肢3~5から見極めていくのも一考)。
というように文章理解だけではなく、一般知能や一般知識、様々な試験のデータを受講生にアドバイスすることができます。
※今回は、他の国家公務員試験(例:刑務官、入国警備官・海上保安学校学生)データは割愛しますが、概ね同程度の傾向となっております。多くの地方公務員試験の場合は、問題非公表のため、このようなデータ分析は不可となりますが、便宜参照してください。
今回は、「失敗しない問題の解き方・順番」について、様々なデータに触れながら、ご紹介をさせていただきました。
上述のとおり、教養(基礎能力)試験には、情報(問題の順番・配列等)と事前の準備(シュミレーション)が不可欠であることについて、ご理解いただければ幸いです。
東京アカデミーでは、昭和42年創立以来培った合格ノウハウ・データと、常に正確で新しい情報(新教養試験他)を融合させ、通学講座、通信講座、短期講習、模試、教材等に反映しておりますが、今後も、受験生・先生方と共に合格=感動を共有できるよう、全力でサポートして参ります。
次回は、『過去問を制する者、公務員試験を制する!過去問題集「出たDATA問」』と題し、過去問取組みの重要性及び弊社教材出たDATA問の紹介をいたします。ぜひ、ご期待ください。