公務員試験対策講座(大卒程度)
公務員試験情報(日程・試験科目・受験資格)
本格的な地方自治の時代を迎え、住民の生活に密着した業務を日々担当している地方自治体に寄せられる期待はますます大きなものとなっています。
国の政策を各地域の実情に合わせて市町村が実現する際のリーダーシップを取るのが都道府県庁の役割。市町村の範囲を超える広域業務(総合開発計画、基幹道路・河川の整備など)や地域的な統一業務(義務教育、社会福祉事務、警察の運営)を担うなど、市町村を包括し助言・指導・調整などの役割を果たしています。
札幌、仙台、さいたま、千葉、横浜、川崎、相模原、新潟、静岡、浜松、名古屋、京都、大阪、堺、神戸、岡山、広島、北九州、福岡、熊本の20市。人口規模が非常に大きいこれらの市は、本来都道府県の業務である都市計画、社会福祉、保健衛生などの業務を処理することができます。各々が特徴を持った都市圏を形成しており、周辺市町村を牽引し、産業・文化の中心的役割を果たしています。
6月第4日曜日
(北海道・東京都・東京特別区・大阪府・大阪市は別日程で実施)
※年度により異なる場合があります。
7月中旬~8月上旬
8月上旬~9月上旬
都道府県では学歴制限を設けず年齢制限のみという場合が多いですが、政令指定都市では年齢制限に加え大卒(見込み含む)であることを要件にしている場合が多く見られます。
また、学歴制限を設けず年齢制限のみの自治体では、中級試験を大学生(卒)が受験できるところもあります。試験科目に専門科目が課され、実態は「短大生ではなく大学生のための中級試験」となっていることも多いので、希望自治体の中級試験が受験可能か見逃さないようにしましょう。
【行政系】
一般行政・教育行政・警察行政・福祉行政
【技術系】
土木・建築・機械・電気・化学・水産・畜産・林業・農業・農業土木・農業経済・環境科学など
【その他】
公立小中学校事務・社会福祉・保健師・保育士・(管理)栄養士など
転勤がほとんどなく、愛着のある地域に貢献できることから、第1志望とする人が増えてきています。市町村職員の仕事内容は、地域住民のためにできること・しなければならないこと全てに及び、驚くほど多岐に渡っています。その中には、必ず皆さんの専門知識を活かせる部署や興味のある部署があるはずです。
各市町村の試験日は例年同じ日程で行われることが多いので、まずは受験したい市町村をいくつかピックアップしてこれまでの試験日程を調べ、その日程を目安に学習を進めましょう。
ただし、例年であれば全国的に統一実施日とも呼べる試験日が数回あり(7月第4週や9月第3週など)、大多数の市町村はこの統一試験日のいずれかで実施されます。同一日程で行われる試験の問題はほとんど同じ出題内容となっていることが多いので、注意しましょう。
市町村試験の受験資格は①年齢制限と②学歴資格の2つを設けていることが多いですが、さらに居住地制限(住所要件)を設けているところも少数ながらあります。また、年度によっては採用試験が実施されない市町村もあるため、こまめな情報収集が不可欠です。また、転職志望の方は民間企業経験者採用試験もご参照ください。
幅広い業務をこなす行政職とは別に、大学などで得た高い専門知識を活かすため、最初からある程度業務内容を限定した上で採用されるのが「技術職・専門職」です。現在は研究や現場での業務だけではなく、専門知識を活かした関連施策の企画・立案の推進、関係機関との調整、折衝などいわゆる行政職的な能力も求められるようになっており、人間的に幅広いバランス感覚に優れた人が評価されているようです。
【技術職】
地域を問わず幅広く採用試験が行われており、受験資格として各試験区分に関係する科目を履修していることが条件になる場合もあります。土木・電気・農学(農業)などは比較的採用人数が多いですが、全体として行政職と比べると採用人数は少なめです。また、採用計画の年ごとの変動が大きく、区分によっては採用がゼロのときもあります。試験情報も少ないため、合格した先輩や大学の先生、最寄りの東京アカデミー各校などを利用してこまめに情報を収集しましょう。
【専門職(資格職)】
「専門職」とは、受験の条件として、ある特定の資格を有していること、または指定された学科などで所定の科目を履修していることを挙げている採用試験を指し、「資格職」と呼称されることもあります。その受験条件からも分かる通り、採用後に即戦力として各現場にて勤務することが求められます。また、何年かの現場勤務を経た後は、行政職員と同じように企画立案や事業実施に携わる場合もあります。主に地方自治体での採用となりますが、決して採用数が多いとは言えず採用のない年も珍しくありません。希望自治体の採用予定は直接自治体に問い合わせたり、インターネットを活用したりして調べておきましょう。
【技術職】
【専門職(資格職)】
保健師、看護師、助産師、(管理)栄養士、社会福祉士、薬剤師、保育士 など
1次試験は教養試験と専門試験が課されます。通常、教養試験は行政職と同じ問題が出題され、専門試験ではそれぞれの試験区分に関連する科目が出題されます。また、専門試験では多肢選択式に加え記述式が出題されることもあります。大学や研究室、民間企業などで経験・研究を深めている受験生が多いため、専門試験対策は比較的万全でありながら、教養試験対策を疎かにしている受験生が多いのが実状です。合否はあくまでも教養試験と専門試験の合計点で決まるので、合格点が比較的高い「技術職・専門職」試験を確実に突破するためには、教養試験で高得点を得てライバルに差をつけることがカギです。
近年、民間企業等での職務経験のある人を対象とした公務員採用試験が増えています。その呼び方は「民間企業等経験者採用試験」や「経験者採用試験」など試験により異なります。多様化する行政や地方自治の業務や課題に対し、民間企業等で得た経験や能力、識見を活かし、より良い行政サービスを行うことが求められていることが背景としてあり、これまでの古い体質から脱却し、行政組織に新しい風を巻き起こす人材が必要とされています。
ただし、「民間企業等経験者採用試験」は試験によりその実施時期・試験内容等には差があり、毎年安定して実施される試験ではありません。そのため、正確な情報収集と的確な対策が重要となってきます。まずは試験の現状と傾向を知り、そこから公務員への転職の道を歩み始めましょう。
まずは年齢制限と職務経験の2つがある場合が多いです。年齢制限では下は20代前半から上は最高60歳まで受験が可能な点が特徴です。また、ほとんどの試験で職務経験を必要とします。直近数年以内に2年~10年ほどの職歴を有する必要があります。これもこの試験特有の受験資格です。その他、職種に応じた職務経歴が必要な場合など試験により異なるので、確認が必要です。
試験によりばらつきがあり、大卒程度・高卒程度とさまざまです。また、従来の区分設定がない場合もあります。この場合、試験の実施時期や試験傾向から判断する必要があります。試験によっては、民間企業等経験者採用試験専用の問題を設定している場合もあります。
6月実施もありますが9月・10月にも多く実施されています。自治体にもよりますが、若干名~10名前後の採用予定者数となっており、それに対し受験者数は多いため、受験倍率も高倍率になりやすい傾向にあります。(〈例〉 名古屋市事務(行政一般)(職務経験者)2020年度受験倍率20.2倍)
※国家公務員での経験者採用は、人事院実施の「経験者採用試験(係長級)」や一部省庁ごとに実施する経験者採用試験があります。
自治体により試験内容にはばらつきがあります。従来の教養試験(大卒・高卒程度)を実施し、しっかりとした筆記試験対策が求められる試験、多くの民間企業等が導入しているSCOAや一般常識試験を導入している試験、職務経験・実務能力を重視する職務基礎能力試験・職務適応性検査などを実施する試験などがあります。全体的な傾向として、筆記試験等での学力よりも前職で得た能力・経験を重視する場合が多いです。また試験によっては書類選考等を導入している場合もあります。
多くの試験で論文試験も実施されます。公務員試験でよく実施されるような課題式論文試験のほか、「経験者論文」として具体的な職務経験や能力を踏まえた内容が求められる論文試験を実施する場合もあるのが特徴です。
ほぼすべての試験で個別面接が実施されます。一般採用の面接試験で聞かれる質問項目に加え、前職での仕事内容や経験・能力・勤務態度に関する質問項目が目立ちます。また、プレゼンテーション試験など実際の職務能力を評価する試験も実施される場合があります。