高校進路ご担当先生・保護者様向け情報
高卒程度公務員試験を目指される方にとっては、9月はまさに筆記試験の月となり、さらに現役生の皆様にとっては、生涯初めての公務員試験となります。
今回は、1次試験として筆記試験のアドバイス並びに、翌月以降に迎えられます2次試験としての面接試験に向けての心構えとしてのアドバイスを数字でご紹介してまいります。
ぜひご指導の際に、ご活用いただければ幸いです。
公務員試験では、1次試験で筆記試験、2次試験以降で人物試験(面接)が課されますケースが殆どです。
ここで筆記試験の合格倍率と人物試験の合格倍率を比較してみます。
※1次試験合格者数=2次試験受験者数ではないため、実際の数値とは異なる場合があります。
数値より、国家は人物試験倍率が比較的低く、地方公務員試験は人物試験倍率が比較的高いということが分かります。数値はあくまで全国の平均であり、人物試験倍率が筆記試験の倍以上あるという自治体もあります。
地方公務員試験を受験される方は特に、面接対策が最終合格するために重要となります。
反対に、国家一般職や税務職員の試験を受験される方は、筆記試験で合格できれば面接試験は他と比べて合格できるチャンスは大きいです。
国家一般職の筆記試験が先日9月1日に実施され、翌日には人事院からの正答も公示されております。受験された生徒様から、自己採点結果や出来具合の報告があるかと存じます。その際、正答率が6割前後以上であれば(マークミスにより自己採点と差異が生じる場合もありますが)合格の可能性がございますので、2次試験の面接対策に注力するようご指導ください。同HPの過去記事において、多数の面接試験対策法を紹介していますので、それもご活用いただけると幸いです。
2018年度高卒程度公務員試験結果 | 筆記試験合格率 (1次受験者数/1次合格者数) | 人物試験合格率 (1次合格者数/最終合格者数)※ |
---|---|---|
国家一般職 (事務区分全国平均) |
4.0 | 1.4 |
税務職員 (全国区分平均) |
2.8 | 1.8 |
県庁 (行政・事務区分全国平均) |
3.5 | 2.7 |
政令市 (行政・事務区分全国平均) |
3.8 | 3.1 |
逆に、地方公務員は、2次の面接試験が重要視される傾向にあります。
例えば、横浜市は、2次試験の面接試験が総合得点の「70%弱」を占めております。
住民と触れ合う機会が多い地方公務員ですので、納得の数値と言えます。
豆知識/その①
国家一般職 基準点 人物試験「5分の3」/ 作文試験「6分の3」
国家一般職では人事院から公示されている基準点がございます。これによると人物試験では、A~Eの5段階評価のうち基準点をCとしています。つまり、D・Eの評価であれば、他の試験の結果にかかわらず不合格になってしまうことになります。合格するには5段階評価の上位3ランクに入っている必要があります。上位3/5に入ることが合格には必要です。
また作文試験についても、6段階中、合格の基準は上位3段階までとなっております。
さらに国家一般職では、基礎能力試験と適性試験との合格算出基準も公示されており、例えば、関東甲信越では、基礎能力試験が21点の場合、適性試験が61点であれば、一次試験が合格となります。同様に基礎能力試験が15点と低くとも、適性試験が99点取れていれば、一次合格となりますので、基礎能力試験が悪くて生徒様が落胆されていた場合、適性試験の出来きにより可能性があることで励ましていただけると良いと思われます。
郵送で出願の場合、筆記試験のおよそ1週間前には、受験生に受験票が届きます。
その受験票には、筆記試験当日の受付開始時間の記載がありますが、一体、どのくらい前に会場に到着しておくべきかと、弊社の通学部生から質問を受けます。
試験によっては大学や高校などを試験会場としているため、その学校に辿り着いても、正門が見つからずに迷うなどのケースが考えられます。
余裕をもち、受験票記載の受付開始「20」分前程度が安心です。
この時刻は、あくまで迷わずにたどり着いた上での、目安です。
時刻表や地図上のみなどでの確認だけは危険です。
例えば、バスを利用される場合、受験者が多い試験当日は、バスの待機も混雑し乗車したかった時刻のバスに乗り切れない危険性もあります。また別のケースでは、資格試験と公務員試験が同日で同大学で実施されたこともあり、駅からひとの流れについて行ったところ、資格試験の建物に着いてしまったケースもありました。可能であれば、下見やスマートフォンのアプリなどで、事前確認も必要とご指導願います。
豆知識/その②
国家一般職 官庁訪問 「20」時
公務員試験の中でも、唯一 就職活動と同様に自らアポイントをとり、官庁に訪問するといった工程が必要な「国家一般職(行政)」の官庁訪問。
当然、現役高校生の方にとっては、初めてのことで戸惑いも多いかと存じます。
そのポイントは2つでして、
ひとつは、先方に訪問するからには、表向きの表現が「説明会」であったとしても、①その官庁の志望動機 ②長所は最低限答えられるように準備して訪問することです。
中には、訪問した先で用紙が配付され、上記を書かされたとか、応接室に通され面接のようなことをさせられた、といったこともあります。
そして、もうひとつは、スケジュール管理です。
訪問した際の拘束時間もまちまちでして、中には開放された時間が20時近かったといったケースもありました。
1日で訪問先を欲張りすぎて、第一志望の訪問時間に間に合わなかった、などがないよう、第一志望を優先してスケジュール管理をすることが大切となります。
現役高校生の方は、活字離れが進み、新聞を見る機会が、正直皆無といった方も少なくないかと思われます。
ただし、公務員試験では、筆記及び面接試験で、時事に関する問題/質問があります。
たとえば、人気と職種「警察官」の代表ともいえる警視庁警察官では、2017年度「日露首脳会談の内容を答えよ」「北方領土の四島を答えよ」(※2017年4月27日、安倍首相とロシアのプーチン大統領の間で17回目の日露首脳会談が開かれた)、2017年度 警視庁警察官女性(Ⅲ類)でも「一票の格差とは何か」(※小選挙区数を6つ削減し、13都道府県でも1票の格差が2倍未満になるように「0増6減」の選挙区見直しを定めた法案が国会で成立した)という質問が面接でされています。
時事対策のひとつとして“新聞を読む”ということがあります。
ただし、面接までのおよそ一か月間ですので、現役高校生に対してこの時期からすべてを読むようの指導は、現実的ではありません。
では新聞はどこを読めばよいのか? 「1」の数字をキーワードにポイントをお伝えします。
新聞の顔です。新聞社がその日最も重要であると考える記事がジャンルに関係なく掲載されています。目次もありますので、その他の重要ニュースも把握できるようになっています。2018年度 横手市行政では「新聞は読むか」、2018年度 警視庁警察官男性(Ⅲ類)でも「前日の新聞記事の内容を答えよ」という質問がされていますので、最低限このページは読んでおきたいところです。また、時事対策とは若干離れてしまうのですが、一面下のコラムも読んでほしい記事です。読売新聞は「編集手帳」、朝日新聞は「天声人語」、毎日新聞は「余録」の名で掲載されていて、「編集手帳」が約450字、「天声人語」が約600字、「余録」が約650字で構成されています。この字数は教養試験の文章理解で出題される問題文に近く、文章を読むのに慣れる良い練習ともなります。
前週あるいは今週のニュースを曜日ごとに振り返る記事があります。読売新聞では毎週土曜日、毎日新聞では毎週月曜日に載っています。新聞を毎日読む時間がない人は1週間に一度このページだけ読み、さらに気になったニュースはネットなどで深掘りするのも良いかもしれません。ジャンルとしては、政治・経済・国際・社会などを押さえておくと良いと思います。
新聞に関するQ&A
Q.電子版でも良い?
A.タブレット端末などで見ることができる各紙の電子版は新聞の紙面と同じレイアウトとなっており、ざっと見渡すという意味では紙よりも見やすいと思います。一方で気になった記事を保存する時には、電子版はワンタッチでできますが、紙だとスクラップします。より記憶に残りやすいのは切り貼りという手間をかける紙の方かもしれません。どちらにもメリット・デメリットがありますので、より使い勝手の良い方を使うようアドバイスいただければと思います。
豆知識/その②
警察官/消防官 体力試験「30」
警察官や消防官の試験には、体力試験がつきものです。体力試験の内容は、上体起こしや腕立て伏せなど様々ですが、それぞれの検査を「30回」や「30秒」で行っていくことが多いです。
例えば、神奈川県警では「上体起こし30回」、警視庁・東京消防庁・横浜市消防・相模原市消防は「上体起こし30秒」を実施します。他にも神奈川県警では、「バーピーテスト30回」や「反復横跳び」、「閉眼立ち30秒」なども行います。
本格的な体力作りは、入庁後の警察学校/消防学校で、とことん鍛えられますので、公務員試験の体力試験では、最低限の基準をみられると思っていただければと思います。
サッカー部や、野球部などの運動部の方が、日頃の基礎体力を発揮できれば、体力試験で落とされることはまずありませんので、体力試験に関してご相談があった際には、キビキビした動作で号令に従って、普段通りできていれば大きな心配はないといったアドバイスでよろしいかと思います。
※自治体により回数や制限時間、そして、回数の上限の有無などは異なりますので、過去の実施例を確認してから対策を講じるよう、ご注意ください。
今回は、筆記試験と面接試験を両面の重複を控える時期として、両試験のアドバイスを数字で取り上げてまいりました。法令違反などを取り締まる警察官志望者には、一次試験合格後は特に、夜間の外出で補導されるような行動や行為、交通マナーの違反などには気を付けるよう、慎重な行動の心がけをご指導ください。
次回は、面接指導内容を「意思が伝わる面接回答・伝わらない回答」として、具体的な例をあげ、本格的にご紹介させていただきます。ご期待ください。